2得点を挙げた立川の中村充 [写真]=SHOKO
6月27日から30日にかけて、Fリーグ2024-2025 ディビジョン1 第5節の6試合が行われた。
変則的な日程で、木曜日に日環アリーナ栃木でのナイトゲームを行ったしながわシティは、ヴォスクオーレ仙台と対戦。6分、仙台自陣のキックインに高い位置でプレスをかけるしながわは、藤川侑哉が奪ってゴール前に送ったボールを東出脩椰がダイレクトで流し込み先制に成功。18分には橋本裕貴が自陣でのキックインを前線の小野寺那央を狙って大きく蹴り出すが、堤優太がしっかりとマークにつくと、ボールが渡る前にGK黒本ギレルメがキャッチ。小野寺の帰陣が遅れ数的優位の状態を作り出し、堤のアシストから東出が2点目を挙げた。直後にタイムアウトを取った仙台はキックインから渡邊一城が1点を返すが、19分には堤のチャンスメイクから藤川が追加点。3-1としながわリードで第1ピリオドを終えた。
第2ピリオド立ち上がり、巻き返しを図りたい仙台だったが、23分、ゴールクリアランスを受けた平田ネトアントニオマサノリのアシストから堤がゴールし、さらに点差が開く。なかなかチャンスを作れない仙台は5分強を残し今井翔をGKに置いたパワープレーを開始。37分には今井が1点を返すが、追撃及ばす4-2で試合を終えた。
この試合では、スペインのモビスター・インテルFSからしながわに移籍し、この日が国内復帰戦となった山田凱斗が第1ピリオド終盤から出場した。試合を終え「約2年半ぶりの国内のリーグ戦。自チームのサポーターに応援してもらってプレーできる環境は改めてしあわせだったし、その上で、勝利で終われてよかった」と笑顔を見せた。第2ピリオドではスタートから起用され、復帰ゴールかという惜しいシーンも作った。2年間のインテルでの経験を経て心身ともに焦りがなくなったといい「適度な緊張感の中でも落ち着いてプレーができた」と成長を印象づけた。
敗れた仙台の清水誠監督は「負けがつづいていても、ポジティブになれるような時間をクラブとして作らせてもらっている中で迎えた試合だった。自分たちが戦う姿を見せようとスタートした。失点が多く、イージーなミスもつづいているのでどこかで断ち切ってほしいという気持ちはあるが、スコアを動かしたことや、ロースコアで進みながら多少なりとも相手が慌ててくれるような時間を作れたことは収穫。このクラブを成長させるためにいろいろな種を蒔いてきたが、選手の起用は自分にも反省点がある。勝つことや試合のクオリティを下げないことに向き合っている段階」と振り返る。
F1復帰し、ここまで5連敗。毎週、強度の高い試合がつづくが「立川アスレティックFC戦や名古屋オーシャンズ戦は試合が壊れてしまった。この試合ではそうならないように、選手にも自信を持たせながら準備をしてきた。出場時間のない選手もいて申し訳なかったが、今のメンバーであれば今日のような試合はできる。心を鬼にして、勝ちにこだわってやっていきたい」と清水監督。「チームや選手の状況を見ながら、理想にも向かっていきたい。このクラブの歴史はきちんと背中にくっついてきている。どういった姿勢や戦術であれ、ハードワークをしていく姿は見せつづけ、プラスして勝つために上積みもしていかなくてはいけない」と今後の展望を語った。
長時間出場しながらも積極的にゴールに向かう姿勢を見せていた森村孝志は「悔しい結果だが、このクラブはまだまだ少しずつなので。連敗しているがネガティブな要素だけではなく、積み重ねてきているものもある。F1に戻ってきたことはすごくうれしいし、毎試合毎試合、まだまだやれるという手ごたえもある」と試合を振り返る。今後の試合については「警戒されている中でも長い時間出場しているので、スコアを動かしたり得点に絡んだりしていかなくては。これまでミスから自滅するような失点が多かったが、それも少しずつ減ってきている。中断前までの試合ではそういった失点を0にして、なおかつ得点も取り、しっかりと勝点を取っていきたい」と意気込みを語った。
開幕5連勝を目指す立川アスレティックFCは、ホームにY.S.C.C.横浜を迎えた。
立ち上がり、まずチャンスを作ったのは横浜。GK井戸孔晟が起点となり、小林拓夢がファーストシュートを放つ。序盤こそポゼッションを保った横浜だったが、徐々に立川がリズムを作る。皆本晃のサイド突破や酒井遼太郎のポストを直撃するシュートなど横浜ゴールを脅かすシーンを幾度となく作ると、15分には横浜のボール回しを中村充がカットし、皆本とのワンツーから先制点を挙げる。このリードを保ち、1-0で第1ピリオドを終えた。
第2ピリオド序盤には相手のハンドによりPKを得た立川が、中村のゴールで追加点。しかし、横浜も184cmの樋口岳志や185cmの荒川勇気といった体格の優れた選手を同時に起用し立川ゴールに迫る。29分には荒川が対人の強さを生かして突破を見せ、立川DFに当たったボールを安井嶺芽がショートパス。これを左サイドから詰めた樋口が押し込み1点を返した。1点差に迫られた立川だったが、勝利を重ねてきた勝負強さを見せ、南雲颯太のキックインから上村充哉が追加点。「ああいった10mより少し後ろからのゴールは去年も何本か決めていて、いい形が出た」と上村が話すとおり、得意のシュートを決めきり横浜を突き放した。2点ビハインドの横浜は3分を切り小林をGKにパワープレーを開始。しかし、得点を挙げることができず3-1で試合を終えた。
立川を率いるサバス監督は「立川の選手は速くてテクニカルだけど、横浜や次節のフウガドールすみだのようなフィジカルの強い選手(への対応)は難しい。すごく良いプレーをしてシュート数も多かったが、私たちの定位置攻撃にはたくさんのコンセプトがある。そこはもっと練習をする必要がある」と試合を振り返る。上村充哉主将も「勝てたのは良かったが、内容はもっと改善できるところがある」としながらも「停滞した展開になったときに勝ち切る力があるのが立川。勝ち切れたことはプラスに思う」とコメント。好調な観客動員について問うと「私たちの目的は試合に来てもらい、楽しんでもらうこと。立川には強いサポーターがいて、毎試合サポートしてもらっている」とサバス監督が笑顔を見せた。
横浜の高橋響主将は「立川は開幕から勝ち続けていて、とてもいいチームだと感じていた。立ち上がりに失点をして、ハーフタイムで攻撃のやり方やスイッチを切り替えられた感覚はあったが、細かいところの修正や試合への順応はもっと早く、もっとやっていかないといけない」と振り返る。個性を引き出し、局面によって組み合わせを変える稲葉洸太郎監督のスタイルについては「キャプテンということもあって、チームファーストという気持ちがより大きくなってきた。稲葉監督のスタイルもあり、改めてチームって楽しいなと感じている」と笑いを誘い「うまくいかず暗くなりそうなときでも声を出して盛り上げてくれる選手もいて助けられている。チームの雰囲気はいい」と手ごたえをのぞかせた。
▼Fリーグ2024-2025 ディビジョン1 第5節 結果
しながわシティ 4-2 ヴォスクオーレ仙台
湘南ベルマーレ 2-5 ペスカドーラ町田
立川アスレティックFC 3-1 Y.S.C.C.横浜
バルドラール浦安 3-2 フウガドールすみだ
バサジィ大分 0-1 シュライカー大阪
名古屋オーシャンズ 6-2 ボルクバレット北九州
By サッカーキング編集部
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