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データスタジアム社員が語る③…ニーズに合わせたデータ活用の有効性

インタビュー・文/池田敏明
写真/小林浩一

 Jリーグは、2015年シーズンから「トラッキングシステム」と呼ばれるデータ計測システムを導入した。試合中、選手がどの位置にいてどんな動きをしているのかを自動追尾し、そのデータを元に走行距離や最高速度、スプリント回数などを算出する。

 集められたデータはJリーグの公式WEBサイトで気軽にチェックできる。データ好きのファンはもちろん、今までそういった数値に関心がなかったファンにとっても新たなサッカーの見方を開拓できるため、非常にうれしいシステムと言えるだろう。

 このトラッキングシステムを運用・管理しているのが、サッカーや野球、ラグビーを始め、様々なスポーツにおいてデータ収集・分析を行っているデータスタジアム社だ。

 トラッキングデータは、ファンに公開されるだけではない。データスタジアムは、集積したデータをさらに細かく分析し、Jリーグクラブに提供する事業も展開している。コーチングスタッフは、そのデータを元にチームの特徴やウィークポイントを把握し、どのように強化していけばいいのかという方針を立てる。

 藤宏明氏は、データスタジアムのフットボール事業部に所属し、Jリーグクラブにデータを提供する際の窓口となっている。

 元々、ヴィッセル神戸や名古屋グランパスで分析担当を務めていただけに、データ活用の重要度や有効性は熟知している。その経験を生かし、チーム側がどのようなデータを求めているのか、どこまで踏み込んで分析すればいいのかを判断しながら、チーム強化のサポートに務めている。

 分析のスペシャリストとしての視点から、藤氏はJリーグの現場においてデータがどのように利用されているのか、将来的にデータはどのように活用されるべきかを語ってくれた。

チームの勝利のために…必要なデータを提供する

――まず、大学卒業後のご本人の経歴について教えていただけますか。
藤 宏明 筑波大学を卒業し、そのままヴィッセル神戸にマネージャーとして就職しました。当初は専任のマネージャーとして活動していたんですが、途中で分析担当も兼ねるようになりまして、合計で8年間働きました。その後、名古屋グランパスに移りまして、ここでも分析担当として働かせていただきました。名古屋を退職後、その頃からお付き合いのあったデータスタジアムに今年2月に入社し、現在に至っています。

――分析担当というのは、どのような役割なのでしょうか。
藤 宏明 主な仕事としては、チームの戦略を監督やコーチングスタッフと一緒に考えたり、映像を使って選手ミーティングをする際のサポートをしたり、データを解釈したり、といった役割ですね。

――元々、大学時代にそのようなことを学ばれていたのでしょうか。
藤 宏明 いえ、そういうわけではないですね。大学は体育専門学群というところに在籍していて、体育全般のことを学んでいました。専攻としてはマネジメント分野のレジャー論といって、観戦者がどれくらいいるかとか、そういったことを学んでいました。同時にサッカー部(筑波大学蹴球部)にも携わっていまして、4年生の時にはチームマネージャーとしてトップチームを動かすような仕事もしていました。そういった経緯から、Jリーグクラブに就職する形になりました。

――では、分析の技術や能力、知識はどのように身につけたのでしょうか。
藤 宏明 筑波大出身のテクニカル担当の方が業界内に結構いるので、そういった横のつながりを生かしていろいろ学ばせてもらいましたし、後は現場で勉強させてもらいながら経験を積んで、という形ですね。どこかで勉強したというよりは、いろいろなスタッフや監督、選手の話を聞いて学ばせていただいたという感じです。

――では、現在の仕事内容について具体的に教えていただけますか。
藤 宏明 主に二つありまして、一つ目はクラブへの営業ですね。契約して頂いているクラブに対して、分析システムのサポートをしたり、チームに選手個々のパフォーマンスを向上させるためのアドバイスをしたりと、ニーズに応じたサポート、チームの勝利に結びつくようなサポートをしているというのがまず一つです。

――クラブに対する営業活動ということですね。では、もう一つは?
藤 宏明 二つ目は、今データスタジアムが手がけているトラキャブ(データスタジアムで使用しているトラッキングシステムの名前)の運用があります。Jリーグの試合で走行距離などのデータが出ると思うのですが、それらのデータを収集するための専用カメラの設置だとか、現場でのパソコンの対応だとか、そういった部分も、実際にスタジアムに行って対応しています。

――営業だけではなく、現場での作業も実際に行われているんですね。では、現在データスタジアムさんがデータを納品しているJリーグクラブは、だいたいどのくらいあるのでしょうか。
藤 宏明 リーグ全体の半分以上のクラブと取引させていただいています。

――具体的に、どのようなデータを提供しているのでしょうか。
藤 宏明 試合のプレーデータがメインになりますね。分かりやすいところで言えば、シュート数やパスの本数、タックル数、もっと細かいところで言えば、ショートパスの本数や、ペナルティーエリア内からのシュート本数、ボールを奪ってから何プレー以内でシュートまで持っていったか、などですね。それらの提供可能なデータの中から、チームが求めているものをセレクトしてお渡ししていきます。

――クラブへのデータ提供に際し、データを納品すること以外で求められること、特に気を遣っていることはありますか。
藤 宏明 チームの意図や「何でこのデータがほしいのか」というのをクラブ関係者に直接聞いたり、こういうふうに思っているんだろうな、と考えたりしながら対応するようにしています。

――リクエストされたものから、相手がどんなデータを必要としているのかを「分析する」ということですね?
藤 宏明 そうですね。チームの根幹にあるものをしっかり考えながら提供していくことが大切だと思っています。リクエストしていただいたデータを提供することももちろん重要なのですが、相手の意図を汲んで、ここまで出したほうがいいのかな、これくらいでいいのかな、と判断しつつデータを提供するバランス感覚も備えていなければなりません。それはお互いにコミュニケーションを取る中で分かるようになってくるので、いろいろ考えながらやるように心掛けていますね。

データスタジアム社員が語る②…活用できる場をもっと増やすべき、データ分析の未来 ? 予約済み
データスタジアム社員が語る③…活用できる場をもっと増やすべき、データ分析の未来 ? 予約済み

データスタジアム株式会社
フットボール事業部
藤宏明

1982年生まれ。筑波大学卒業後、ヴィッセル神戸にてチームマネージャー、分析担当として従事。
その後、2014年から名古屋グランパスでコーチ(分析担当)を経験。2016年2月より現職。
現在は、チーム向けの分析システムなどの営業やトラッキングシステムの運用などを担当している。

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