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「奈良劇場総支配人」奈良クラブ岡山一成のJリーグへの道:第二回

2013.11.20

 11月17日、キンチョウスタジアムの会議室で、蹴球堂さん・大阪スポーツカンファレンスさん共同主催のイベントで講演をさせてもらった。

 奈良クラブの選手がセレッソのお膝元で話をするのは縄張り荒らしでマズイんちゃうの?と思うやろ。でも、このイベントを企画してくれたのがセレッソサポの有志やってん。セレッソに在籍していた時に絡みがなかった人たちとあるイベントで仲良くなった。

 震災後に長居でセレッソ対ベガルタの試合が行われる時に力を貸してくれた。あの時、俺はどこも所属先がなく、一個人として、ベガルタ仙台に在籍していた人間として、何か力になれないか模索していた。そして、自分が在籍していたチームにベガルタがやって来た時はスタジアムみんなで迎え入れて、ベガルタのコールをしてほしいなと思っていた。

 そのためには、セレッソサポの協力がいるからと、知人を通じて紹介されたのがきっかけやった。
 10年前にセレッソにいた時にも応援してくれていたみたいやけど、俺にとっては初対面に等しかった。ましてや、セレッソを戦力外通告を受けて、ホームページにチーム批判を書いて去っていった俺に対して良い感情を持っていないやろうなと。

 会いづらいな。でも、協力を取り付けなと思って会った早々……
「岡山さんの天皇杯決勝での活躍と、負けた後の号泣にほんまに感動しましたよ。その後の他のチームでの活躍めっちゃうれしかったです。セレッソで岡山劇場してほしかったですわ」

「でも、戦力外の次の日にホームページでチーム批判したのを怒ってないんですか?」
「そんなんかまへん。逆に選手の本音を聞けておもろかったですやん」

 めちゃくちゃ嬉しかった。
 心に突っかかっていたものが解けた気になった。

「ベガルタのコールをセレッソサポでしてもらいたいんですけど」
「そんなええこと、みんなでやりましょう。岡山さんもその日に来てくださいよ」

 スペインにテストに行くために当日はいけないことを伝えると、「ほな、オーロラビジョンで岡山さんがみんなに呼びかけてください。早速チームに話してみますわ」。
 トントン拍子にオーロラビジョンで流すビデオを撮ることになり、試合当日にスタジアムで流してもらえることになった。

 別れ際にお礼を言うと、
「そんなんいいですから、いつか、セレッソサポの前で岡山劇場をなんでするようになったか話をしてください」
「絶対にしますので待っていてください」

 あの時のお礼と約束をやっと果たすことができた。

「奈良クラブ選手兼奈良劇場総支配人の岡山一成です。僕がなんで岡山劇場をするようになったかを話す前に、セレッソを戦力外になった次の日にホームページでチーム批判をした件についてお詫びさせてください。あの時は自分の力不足を棚に上げて、チーム批判をしてしまいすみませんでした」

 そう言うと、みんなが笑顔で拍手をしてくれた。若気の至りとして笑って許してくれた。

 時の流れを感じ、あの時の自分がいるから、現在の自分があるんやなと思った1日やった。

奈良劇場総支配人
岡山一成

追伸
11月24日(日)、15時から舞洲グラウンドでセレッソと奈良クラブの練習試合があります。今から楽しみや。

岡山一成(おかやま・かずなり)
1978年4月24日生まれ。大阪府出身。
初芝橋本高卒業後、テスト生として横浜Mへ。打点の高いヘディングとガッツ溢れるプレーが評価されてプロ契約を勝ち取ると、デビュー戦から3試合連続ゴールを記録して一気に頭角を現した。大宮、横浜FM、C大阪、川崎F、福岡、柏、仙台と渡り歩く中、川崎F時代に始めた試合後の“岡山劇場”でサポーターの心をつかむ。柏時代には日立台のゴール裏でサポーターともに応援したこともある。09年に移籍した韓国・Kリーグの浦項ではACLを制し、FIFAクラブW杯で3位に入った。11年から昨シーズンまで札幌に在籍し、今夏からアマチュア選手として奈良クラブへ加入。J1通算64試合6得点、J2通算214試合20得点。

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