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東アジアカップ コリャコリャ日記 第2回「勝たなきゃ何も始まらない」

2013.07.24

中国戦で奮闘した原口元気[写真]=Getty Images

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文/竹田聡一郎

 3─3。中国相手に3─3だった。
 まずポジティブな要素として(それを収穫と呼ぶなら)、名前が挙がるのは柿谷なんだろうが、あんまり「本田の代役」みたいな目で見るのはちょっと違うのではないか。柿谷に求められるのは「タメ」や「守備」ではなくて、とにかく数字だ。そういう意味では1ゴール1アシストしてくれれば及第点で、アジア以外でもああして毎試合、スコアに絡んでくれれば守備免除でいいような気がする。
 
 それよりも個人的には原口のキレを頼もしく感じた。長いボールをボランチがサイドに散らしている際は工藤や柿谷のそばで短いボールの出し入れを意識していたし、彼らに当てて自ボールホルダーに寄るなり追い越していくなりを繰り返した。彼が絡むと多くの場合パスが3本以上、続いた。
 
 出しどころも、外に出しといて中と工夫していたし、パスを見せておいてカットインという緩急と仕掛けのリズムも効果的であった。まだ気が早いが、中国戦だけで一軍昇格させるなら彼だと思う(ある新聞は彼に5.0という評価をつけていた。記者はトッポギでも食いながら適当に観ていたに違いない)。
 
 ネガティブな話もしなければならない。むろん、センターバックについてだ。某ライターは「森重が安定感を見せた」というコラムを書いていたが、あれを安定と呼ぶならジェンガで丸ビルが建つ。最終ラインでパスミスをしていたし、2点目のきっかけとなったミドルは目の前で打たれている。確かに対人の強さ、ビルドアップの意志は感じたが、例えば彼が今野の代わりにコンフェデに出てたらと想像すると、あんまりいい映像は浮かんでこないのは僕だけではないだろう。
 
 そして栗原である。Jリーグでは中澤やドゥトラらと、いかにも冥界の番人ケルベロスといった感じで相手の攻撃に噛み付いているが、この日はポマードを塗った柴犬でしかなかった。前半だけで1点目の場面を含んで、エリア内で2回、決定的にかわされてシュートを撃たれていたし、槙野や駒野をバランスよく動かすことも叶わなかった。一列前の山口螢がフィルターとして機能してなかったら、中国相手に15年ぶりの黒星を喫していたかもしれない。

 これで森脇良太や鈴木大輔、千葉和彦、徳永悠平らがピリっとしなかったら、あるいはザックが彼らを使わなかったら(ありそうだ)、そろそろガチで闘莉王先輩に出陣伺いをしなくてはならない。
 

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 でもまあ、グチグチ言っても仕方ない。この3試合はサバイバルなのだ。本大会のメンバー決定まであと9ヶ月をきった。使える選手は残すし、ダメなら切る。ザックも切り替えて可能性のある選手にどんどんチャンスを与えてほしい。
 
 豪州戦は極端な話、全とっかえでもいいと思う。で、2試合を比べて良かった選手を11人、韓国戦のピッチに送り出す。このほうが分かりやすいし、選手もプレーしやすいのではないか。
 
 また、ひとつだけ、お願いしたいというか、大前提があるのだが、勝ってほしい。

 2軍とか言われているけど、日の丸をつけたら代表は代表。アジア制覇の誇りを胸に、豪州だろうが韓国だろうが、しっかり勝ち切ってほしい。ザックや協会が「どんなに良いプレーしても優勝しなかったら1軍昇格はゼロ」としばりを発表してもいいくらいだ。
 
 どんなに劣勢でもアウェイでも即席チームでも過密日程でも、勝ちに向かう姿勢の中で見せるプレーこそがその選手の本質を現す。本田や長友、川島や長谷部や岡崎、彼らが持っている一番のアドバンテージはそこにあるともいえる。とにかく勝つこと。そこから多くのことは始まる。

 写真は去る日曜に行われた「豪州×韓国」を観ていたサッカールーズのサポーター、ダン氏(右)だ。
 
「日本とのゲーム? 守備が洗練されているからたくさん点を取るのは難しいかもしれない。1─1だろう。1点の根拠? カガワでもホンダでもない早くてタフなストライカーがいただろう。マエダ? 違う。オカザキ? そう。それだ。ドイツでプレーしている。ヤツにやられる気がするよ」

 その予想は嬉しいけど、残念ながらオカザキは今大会に帯同していないんだ、と伝えると、「じゃあ、アイツだな。アジアカップでボレーシュート決めたヤツだ。あれは悔しかった」だそうだ。李のことだろう。彼もいない、今回は新戦力のピックアップがテーマだから、と捕捉する。

「日本にはそんなにたくさんストライカーがいるんだな。うらやましいよ」
 
 そうだと、嬉しい。明日は豊田陽平がダン氏の期待に応えてくれるだろう。さあ、オージー戦だ。侍が真剣勝負でカンガルーに負けるわけにはいかない。負けたら落ち武者ジャパンとか呼ばれちゃうぜ。誰に? オレにだよ!

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著者/竹田聡一郎(たけだ そういちろう)
1979年神奈川県生まれ。同い年の小野伸二にヒールで股抜きされたことを妙な自慢としながら、フリーランスのスポーツライターとして活動。戦術やシステムを度外視した「アンチフットボールジャーナリズム宣言」をして以来、執筆依頼が激減したのが近年の悩み。著書に蹴球麦酒偏愛清貧紀行『BBB』(ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅/講談社文庫)と、スルガ銀行のサッカーweb「I Dream」で連載中のコラムを書籍化した『日々是蹴球』(講談社)がある。
twitter:@takedasoichiro

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