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サポーターとメディアの無知が起こす移籍の悲劇。代理人・田邊伸明氏「正しい知識がなければ、理解は深まらない」

2013.04.06

 今月15日から、ニュースサイト「サッカーキング」を運営する株式会社フロムワンで、日本サッカー協会公認選手エージェントの田邊伸明氏(株式会社ジェブエンターテイメント)を筆頭講師に迎え、「フットボール業界で働く人のための基礎セミナー~フットボールエージェントが教える仕事の流儀」が開催される。

 田邊伸明氏は1999年に日本サッカー協会公認選手エージェント第2回試験を通過して翌年にライセンス取得。日本人代理人の第一人者として活動してきた。また田邊氏が代表を務める株式会社ジェブエンターテイメントは、国内では理解の乏しい代理人の業務について、2006年から「選手を支えるフットボールビジネス」と題したセミナーを開催し、情報公開と理解や認知の向上に務めてきた。

 同セミナーは2011年9月から「選手とクラブの利益を生み出す選手エージェントビジネス」と改名され続けられてきたが、今回、内容を改め「フットボール業界で働く人のための基礎セミナー~フットボールエージェントが教える仕事の流儀」と題し、フロムワンが運営する「サッカージャーナリスト養成講座」の一環として開催されることになった。

「選手第一主義」を掲げ、「選手のスキルアップ・人間的成長」を目的として、ピッチ外から手助け可能なあらゆるサービスを創り出してきた同社が伝えるノウハウとは、またJリーグが2010年から国内独自の移籍金制度を撤廃し移籍制度をFIFA基準に合わせたことで、選手とクラブ、代理人との関係はどのように変わったのか、田邊氏に話を聞いた。(取材・構成 岡田康宏)


岡田 田邊さんはずっと日本人代理人の第一人者としてやってきて、こうしたセミナーを開催されてきたわけですが、日本に於ける代理人の地位や役割というのは移籍制度の改革以前と以降とで変わりましたか?

田邊 まず私は一人ではなく、ジェブエンターテイメントという会社でずっとグループとして活動してきたということがあります。複数の専門家がチームとして集まることによって、選手に対して一人では生み出すことの出来ないサポート体制を作ってやってきました。また、JリーグがFIFA基準の移籍制度を採用したことで、代理人とクラブの関係も大きく変わりました。例えば、私の名前が有名になったのは2005年の中田浩二選手の移籍のときです。あのときの図式を今振り返ってもらうなら、選手、代理人サイドが主張したのはFIFAルールであり、クラブ側が主張したのは日本のローカルルールでした。国際移籍ですからFIFAのルールで物事は動いていきますし、今であれば皆さんもそのことはご理解いただけると思います。ただ当時は、感情的な部分で私たち代理人が悪者にされてしまった。日本国内の移籍ルールと国際移籍のルールが違ったから、あのような対立が起こったわけです。ですが、今は日本でもFIFA基準の移籍ルールが適用されるようになりました。そうなると今度は同じルールのもとで、クラブと代理人はお互いに協力し、いかに良い関係を作っていくかということが重要になります。国内独自の移籍ルールが撤廃され、FIFAルールに統一されたことで、クラブと代理人は対立関係から共闘関係に変わったわけです。これがものすごく大きな変化で、弊社がセミナー名を「『選手』を支えるフットボールビジネス」から「『選手』と『クラブ』の利益を生み出す選手エージェントビジネス」に変えたのも、そのためです。

岡田 代理人の業務や移籍ビジネスに関する理解に関して、例えば昨年、ライターの小澤一郎さんが選手の移籍ビジネスを主に扱った「サッカー選手の正しい売り方-移籍ビジネスで儲ける欧州のクラブ、儲けられない日本のクラブ」(カンゼン)といった書籍を出すなど、以前よりは進んできたのではないかと感じることがあります。田邊さんご自身は、そのことは実感されますか?

田邊 小澤さんの本には私も協力し、清水の岡崎選手の移籍について解説しています。ただし、あれはあくまで一事例です。そうした事例を積み重ねていくことでわかっていくこともありますが、私たちがセミナーで教えているのは、そうした事例の元となるフットボールビジネスのスタンダードなルールや考え方です。選手の移籍や契約の際に問題となる様々な事例が、どのような考え方、どのようなルールに基づいて生まれてくるのか、その根幹となる部分を教えて行きます。日本では残念ながらまだ、こうした移籍や契約に関するルールへの理解は低い。例えば、降格するクラブから別のクラブへ移籍した選手がいて、サポーターが彼を非難したとする。だけど実際は、その選手は所属クラブから契約満了を言い渡されており、移籍せざるを得ない状況だった。ただクラブは自分が悪者になりたくないから、クビだったとは言わないわけです。それで移籍が決まったという事実だけを発表し、サポーターは移籍した選手を非難する。こういったことが現実に起こっているわけです。

岡田 それはサポーターの無知もありますけど、間に入って情報を伝えるメディアの無知もありますよね。

田邊 そのとおりです。サポーターが選手に対して愛情を持つことはわかりますが、同時に正しい知識も持ってほしい。そうしないとサッカーに対する理解が深まって行かないんですよ。エージェント業務の本質は選手の人間的成長とスキルアップをあらゆる方面からサポートしていくことです。その結果、選手の評価が上がれば、より強いチームから必要とされるようになる。選手が成長していく過程で移籍というのは避けて通れないものです。サッカーを見ていくのであれば、サポーターもそのことは理解しなくてはいけないし、だから、まず基本を知りましょうと。そういったことをこのセミナーでは伝えて行きたいと思っています。

田邊氏は今回のセミナーではこれまでのものに比べて、より基本的な内容から伝えて行きたいという。将来、エージェントを目指す人だけではなく、フットボールビジネス、メディアに関わる人、そして目の前のサッカーをより深く楽しみたいサポーターにとっても実のある内容になりそうだ。

フットボール業界で働くための基礎セミナー ~フットボールエージェントが教える仕事の流儀~
https://www.soccer-king.jp/event/article/102868.html

フットボール業界で働くための基礎セミナー セミナー概要
http://www.soccer-j-ac.jp/jeb

セミナー開催にあたり、ご挨拶ならびにご報告
http://www.jebentertainment.jp/seminar/obj.html

フットボール業界で働くための基礎セミナー ~フットボールエージェントが教える仕事の流儀~

jeb

【エージェントは、ただの交渉人ではない。~エージェント業務の本質とは~】

(1)【入門編】フットボールエージェントになるために必要な基礎知識

日本サッカー協会 公認選手エージェントである株式会社ジェブエンターテイメントの田邊伸明氏を筆頭講師に迎え、セミナーを開催いたします。

受講申込

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講師
株式会社ジェブエンターテイメント スタッフ(田邊伸明 他)
株式会社ジェブエンターテイメント

日本サッカー協会認定選手エージェント・田邊伸明氏が代表を務めるプロフットボール選手の総合マネージメントサービス会社。エージェント業務/プロダクション業務/財務管理・税務補助業務の3つを軸に、選手の総合マネージメントを行う。主な契約選手は稲本 潤一(川崎フロンターレ)、中澤 佑二(横浜F・マリノス)、大久保 嘉人(川崎フロンターレ)、平山 相太(FC東京)、槙野 智章(浦和レッズ)、栗原 勇蔵(横浜F・マリノス)など。

【講義概要
日本サッカー協会 公認選手エージェントである株式会社ジェブエンターテイメントの田邊伸明氏を筆頭講師に迎え、「フットボール業界で働く人のための基礎セミナー~フットボールエージェントが教える仕事の流儀」を開催いたします。

フットボール業界で働きたい方、フットボール業界で働く準備をしている方、またフットボール業界とはどういったものかを知りたい方は、ぜひご参加ください。

※  ※  ※  ※  ※

 皆さんは、エージェントという職業がどのようなものかご存じでしょうか? おそらく多くの方々が、『選手とクラブの間に立ち、移籍や年俸交渉を行う人間』というイメージを持っているかと思います。しかし、移籍や年俸交渉というのはエージェント業務における一つの側面でしかありません。エージェント業務の本質とは“選手の人間的成長とスキルアップを二人三脚で行っていく”ことです。その実現により、おのずと選手の評価は上がり、より強いチームから必要とされるようになります。

 エージェントには、知識、教養はもちろん、豊かなコミュニケーション能力が必要とされます。また、1つの取引で選手、移籍元クラブ、移籍先クラブなどたくさんの利害が絡むという特殊性があり、常に客観性と専門性が問われます。その業務をすべて個人で行うには限界があり、仕事の幅も狭くなってしまいます。ですから我々は、会社としてのチームワークを最大の武器としてこの業務を行っています。エージェントの業務において最も大切なのは、フットボールと同じくチームワークとコミュニケーションだと思います。

※  ※  ※  ※  ※

「選手にとって一番の理解者となり、選手の人間的成長とスキルアップをあらゆる方面からサポートし、導く」。それが田邊氏率いる株式会社ジェブエンターテイメントのチーム戦術であり、哲学です。

 本セミナーでは、田邊氏率いる株式会社ジェブエンターテイメントが今までエージェント業務の中で培ってきた考え方やノウハウを惜しみなくお伝えいたします。

 今回はフットボール業界入門編の全4回のセミナーの受講生を募集いたします。

 各回ごとにテーマが設けられているので、ご自分の興味のある回を選んでご参加いただけます。「エージェントという職業に興味がある」という学生さんから、「エージェントのノウハウを仕事に活用したい」というビジネスマンの皆さんまで、幅広い年齢・業種の方のご参加をお待ちしております。

 ※法人様の領収書発行も可能です。受講の際にお知らせください。

受講申込

web受講

講義内容&日程 (1)【入門編】フットボールエージェントになるために必要な基礎知識

全5回/講義名/開催日時(1講義90分が基本)

第1回 エージェントの仕事内容。エージェントとは?
 講師 田邊伸明 4月15日(月)19時~20時30分
第2回 選手とエージェントの契約内容について
 講師 未定 5月7日(火)19時~20時30分
第3回 エージェントが移籍で果たす役割(1) 海外編・稲本
 講師 未定 5月13日(月)19時~20時30分
第4回 エージェントが移籍で果たす役割(2) レンタル編・水沼
 講師 未定 5月20日(月)19時~20時30分

■全5講義(1講義90分予定)。都合により講義日時や講義内容、対象チーム、会場などは変更になる場合があります。あらかじめご了承ください。
受講条件:性別・年齢・職歴不問
応募締切:2013年4月8日(月)17時
 ※講義の催行が決定いたしましたら、受講料のお支払い案内メールをお送りいたします。
会場:フットボールプラザ 3F アクセス
定員:各78名(申込先着順)
 ※最少催行人数は30名。
 ※参加可否に関しては全員にご連絡差し上げます。当養成講座からのメールが届くように、@soccer-j-ac.jpドメインからのメールを受信できるように設定してください。

(1)【入門編】フットボールエージェントになるために
必要な基礎知識
各回一般:10,000円
各回学割:8,000円
全4回セット受講一般(4,000円お得です):3万6,000円
全4回セット受講学割(3,200円お得です):2万8,800円
* 金額はすべて税込。

■主催 協力
主催 株式会社ジェブエンターテイメント
協力 株式会社フロムワン

■その他
* 会場での受講をお申し込みいただいた方には申込から4営業日以内と、開催が決定した際にメールをお送りいたします。事務局からのメールが届くように、@soccer-j-ac.jpドメインからの メールを受信できるように設定してください。
* 受講申込者が最少催行人数に満たない場合は、講義の実施中止をご連絡させていただきます。
* 事務局からのお支払い案内メールに従い、受講料をお支払いください。期日までに入金が確認できない際は、申込をキャンセルとさせていただく場合がございます。

JEBエンターテイメント主催セミナーの今後の予定
(2)【入門編】フットボールビジネス(エージェントに限定せず)のキャリアデザイン(5月予定)
フットボール業界全体図の説明、業種ごとのフットボールビジネスモデル紹介、フットボールビジネスに携わるには

(3)【番外編】エージェントから見たJリーグ(トークショー形式)(5月予定)
フットボール業界全体図の説明、業種ごとのフットボールビジネスモデル紹介

(4)【実践編】ライフプランナーとファイナンシャルプランナーとしてのエージェント(6月予定)
エージェントが行う選手の資産設計術。資産設計するための基礎知識。将来の資産のために今しておくべきこと

(5)【実践編】エージェントに学ぶ、伸びる人材の見分け方と育成法(6月予定)
伸びる人材の見分け方、年代・タイプ別育成方法

(6)【実践編】エージェントに学ぶ、決断力を高める思考法・メソッド(7月予定)
決断までのプロセスを学ぶ、決断力を高める思考法・トレーニング方法

(7)【実践編】世界に通用するプロの交渉術(8月予定)
交渉を成立させるための準備、交渉におけるテクニック、交渉力を身につける方法

(8)【番外編】フットボール選手の正しい買い方、売り方(移籍ビジネス裏話)(9月予定)
過去に話題となった移籍の事例とその後の成果(国内外)、選手を獲得する際のチェックポイント、移籍金額はどのように決まるのか、移籍交渉のテクニック、売れる選手の育て方

(9)【番外編】海外クラブから求められる日本人選手像 (6、8、10月予定)
海外から見た日本人選手の特徴、元“海外組”が答える海外移籍の裏側(オファーを受けた経緯、クラブから評価されたポイント、日本と海外での違い)、現“海外組”の状況、ビッグクラブへ移籍するためには

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