2015.07.17

ぜひ一度、埼玉スタジアムへ 細田みずえ(浦和レッズ 競技運営部)

浦和レッズ 埼玉スタジアム
浦和レッズ 埼玉スタジアム
子供からお年寄りまで、笑顔に満ち溢れたスタジアム。
そこにいるだけでワクワクするような非日常的空間だ。©Urawa Reds

 Jリーグクラブのスタッフは、スタジアムに足を運んだ人々に「行ってみたい! また来たい!」と思ってもらえるような企画を常に考えている。浦和レッズ競技運営部の細田みずえさんも、そんなクラブスタッフの一人。彼女は既存のファン・サポーターを大切にしつつ、新規の来場者を開拓するために、浦和レッズらしさとは何かを日々、追究し続けている。

Jリーグ事務局との出会い

 細田さんがサッカーと出会ったのは、彼女が小学校6年生の頃だった。1993年のJリーグ開幕は、彼女が通っていた学校にも大ブームを巻き起こした。スタジアム観戦こそ経験していなかったが、テレビでJリーグの試合を見ては、友人同士で応援しているクラブについて語り合うのが日常となっていた。
 
 その後、サッカーと明確な接点を持つことはなかったが、イギリスに留学していた大学生時代の1999年、現地のテレビでワールドユース(現U-20ワールドカップ)の試合を見たことで、彼女のサッカー熱に再び火がつく。小野伸二や高原直泰、永井雄一郎ら“黄金世代”を擁し、準優勝したナイジェリア大会で、細田さんは彼らと同世代だった。

「自分と同い年の選手たちが、世界と戦っている姿が衝撃的でした。元々、スポーツ業界で広報やPRの仕事をしたいと思っていましたが、それと同時に、イギリスに住んでいるとサッカーが当たり前に生活の一部になっているのを目の当たりにしていましたし、そんな環境の中で、具体的に『サッカー界で働きたい』という気持ちになりました」

浦和レッズ 埼玉スタジアム
「レディアファミリーとHAPPY SHOT!」。
スタジアムでは試合前にも楽しいイベントが盛りだくさん。©Urawa Reds

 イギリスの大学ではメディア学を専攻しており、毎年2カ月ほど、将来の就職を検討している職種へのインターンシップが必須となっていた。スポーツ業界への就職を考えていた細田さんは、Jリーグクラブやスポーツブランドとコンタクトを取り、インターンシップ受け入れの依頼をする。

「さまざまな企業に申し込んだ中で、『いいですよ』と連絡をくれたのがJリーグ事務局でした。それがサッカー界との最初の接点ですね」

 こうして、細田さんは大学の長期休暇中は日本に戻り、リーグでのインターンシップとサッカー関連のPR会社でアルバイトをしながらJリーグのサポートをするという生活を送ることとなる。大学卒業後はイギリスのイベント会社に就職したが、2002年の年末、彼女の運命は大きく変わる。

「Jリーグ事務局から、『広報の仕事をしませんか』と声を掛けていただいて、日本へ戻ることを決めたんです。Jリーグには2003年の1月から2005年3月まで勤務していました」

浦和レッズ 埼玉スタジアム
スタジアムではファン・サポーターとチームが一丸となって闘っている。©Urawa Reds

華やかな仕事と思われる「広報」の仕事

 Jリーグ事務局広報の仕事は、チェアマンを始めとするJリーグ首脳陣の取材対応、「Jリーグ百年構想」に代表されるJリーグの広報活動、そしてクラブの広報サポートの3つが柱だった。インターネットが普及し始めていた時期でもあったため、新たなメディアルール作りや広報担当者の育成・教育などにも携わっていたという。

 リリースの作成や記事の校正といった実務をこなしながら、各クラブの広報サポートとして週末ごとに日本全国を飛び回る多忙な日々。「地味なことから華やかなことまで何でもやった」日々にはやりがいを感じていたが、その一方で「Jリーグの“現場”であるクラブで働いてみたい」という思いが高まっていった。

 クラブで働こうと決意した細田さんは、縁あって05年4月、浦和の一員となった。最初の5年間は、チーム付きの広報として働いた。選手やチームに関わるメディア対応が主な業務で、メディアが動くところ、チームが動くところに、常に姿を見せていなければならない。練習場に来るメディアを迎え入れ、練習終了後に行われる選手への取材や監督会見の段取りを行い、試合はホーム、アウェイを問わず全て帯同してメディア対応に当たった。

「休日もあまりなかったけど、楽しかったですよ。貴重な経験をさせてもらえたし、ポジティブな忙しさでしたね。若いうちにこのような業務に携われたのは、本当に大きな経験でした」

浦和レッズ 埼玉スタジアム
浦和レッズは家族連れにも優しいスタジアムを目指している。©Urawa Reds

いかにしてスタジアムに来ていただくか

 その後、細田さんは運営部(現・競技運営部)に異動し、チケット担当となった。競技運営部は試合の運営を担当する部署で、イベントの企画と実施、飲食売店の取りまとめ、会場でのセキュリティー対応、そして細田さんが担当するチケッティングなどが主な業務となる。スタジアムを訪れる全ての人々が安全で快適に、楽しく過ごせるようにするのがこの部署の役割だ。

 浦和の営業収入はスポンサー収入、グッズ収入、チケット収入の3つが大きな柱となっており、他のJクラブと比較してもチケット収入の比率が大きい。約6万人を収容する埼玉スタジアムと、そのスタンドを埋めるファンやサポーターの存在なくして、浦和の経営は成り立たない。

「浦和レッズのファン・サポーター層は30代から40代後半の割合が高く、Jリーグが開幕した時に若者だった方たちが、お子さんがいる世代になってきているんですよね。そんな方たちに、奥様やお子様たちにも『埼スタは楽しい空間だから行ってみようよ』と誘っていただいて、家族みんなで観戦しに来ていただきたい。実際に試合を観戦すれば、未来のレッズサポーターになっていただけるかもしれないですしね。そういう想いをクラブの中で共有し、席割りや料金についても考えています」

 浦和は今シーズンから、チケットの席割りを大幅に変え、高校生やファミリー向け席種料金の値下げなどを実施した。

「浦和レッズといえばゴール裏の熱狂的なサポーターというイメージがありますよね。テレビで映るのもこのエリアが多いですし。ただ、埼玉スタジアムではお客様のニーズに応じて様々な席を用意しています。いろいろな席を体験して、自分の好きな座席を見付けて、ずっと応援していただけるようになっていってほしいと思っています」

浦和レッズ 埼玉スタジアム
ファミリーシートで観戦する方の特典「キッズぱ~く」は
小さなお子さんと保護者がくつろげる、うれしいスペース。©Urawa Reds

また来ていただけそうな表情を見たい

 広報担当から運営担当になり、細田さんの中で大きく変わったものがあるという。

「広報時代は試合終了後にミックスゾーンに行って選手やメディアの方たちの声を聞き、帰宅後にスポーツニュースを見たり、翌朝の新聞を見たりというのが楽しみだったんですけど、今はチームが頑張ってくれて、その熱がスタンドと一体になり、皆さんが笑顔で帰っていく姿を目にすると幸せな気持ちになりますね。負けた試合の後は、ポジティブな感情ではないと思いますけど、それでも『また来たい』と感じていただけるような試合運営をしなくてはいけないと思っています」

 多くの方々にスタジアムに来てもらうため、そして笑顔で帰ってもらうために、創意工夫の日々を送っている細田さん。最後に、ファンの方々に向けて笑顔でこのように語ってくれた。

「埼玉スタジアムを、長年にわたって応援してくださっている方から初めて応援しに行こうと思っている方まで、すべての方が楽しめる場所にすることが、私たちの大きな仕事の一つです。新しい企画も考えていますし、浦和レッズのホームスタジアム『埼スタ』」にぜひ、足を運んでいただきたいです!」

浦和レッズ 埼玉スタジアム
ゴールデンウイークに行われる「ファミリーJoinデイズ」では
天然芝の上でサッカー教室を開催した。©Urawa Reds

インタビュー・文=能千佳(サッカーキング・アカデミー
写真=浦和レッズ

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