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【丸岡】地元開催のインハイ経て進化 貪欲に成長し、16強越え狙う<第100回高校選手権>

2021.12.25

丸岡の横山潤成(左)と小関晴人 [写真]=森田将義

 2018年度と2020年度には選手権で2勝し、ベスト16に進出。インターハイでも2019年にベスト16を記録している。私立優勢の時代と呼ばれる中、近年の丸岡が残してきた成績は特筆に値する。

 ただ、今年の代はこれまでとは少し違う。ここ数年の好成績は、丸岡の代名詞である前線からのアグレッシブな守備と、奪ってからの素早い攻撃を実行できる活発なタイプが多かった影響があったが、現3年生はどちらかと言えば、大人しい選手が多い。地元開催のインターハイで第1代表の座を射止めながらも、予選前に小阪康弘監督が選手権出場を不安視していたのもメンタル面が要因だった。

 だが、蓋を開けてみれば予選での勝ち上がりは他を寄せ付けず、4試合で奪ったゴールは42。守備も決勝の1失点のみに抑えた。横綱相撲とも言えるほどの戦いぶりには、夏以降に見せたチームの変化が大きかった。インターハイ初戦となった2回戦は地元開催という事もあり、プレッシャーもあったが瀬戸内にPK戦で勝利。「インターハイで一つ勝って、自信をつけたのは間違いない。踏ん張って勝てたというのは彼らにとって大きかった」(小阪監督)

 続く3回戦は、青森山田に0-8で大敗となったが、全国トップレベルを肌で感じられたのは大きな収穫だった。小阪監督は「青森山田など全国で上位に入るチームは気持ちが強い。あのハングリーさは見習わなければいけない。決勝に上がった2チーム(青森山田、米子北)とうちを比べると、セカンドボールの予測とか回収の部分が全然違うなと思った」と口にする。

 そうしたメンタルや守備の部分とともに参考にしたのはサイドからの崩し。主将のDF横山潤成(3年)が「青森山田はゴール前に選手が飛び込んで来るのが武器。僕らも真似というか、選手権予選まではそれが当たり前になるような練習内容を続けてきた」と振り返る通り、サイドを勢いよく崩し、中央と反対サイドの選手が合わせる形を続けてきた。幸いにも今年はFW小関晴人(2年)や佐藤流星(3年)などスピードに長けた選手がいる。インターハイ王者の攻撃スタイルは、今年の丸岡に合っていた。

 一方で、青森山田と同基準のパワフルな攻撃ができないのも理解している。そこで参考にしたのは、同じ公立高校である大津のスタイルだ。小阪監督は、平岡和徳総監督と連絡を取り、プレミアリーグWESTで格上であるJリーグアカデミー勢と渡り合う秘訣を教えてもらったという。予選直前からは、速い判断でテンポよくパスを繋ぐ大津スタイルのエッセンスを練習から取り入れた。現状に満足せず、指揮官と選手が貪欲に成長するきっかけを探り、練習を続けた成果が4年連続での選手権出場に繋がった。全国では、先輩たちが越えられなかったベスト16の壁を越えるのが目標だ。勝ち進めば、3回戦で青森山田と対戦する可能性が高い。夏からの成長を示すチャンスを掴むためにも、まずは阪南大高との初戦に全力を尽くす。

取材・文=森田将義



By 森田将義

育成年代を中心に取材を続けるサッカーライター

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