FOLLOW US

まさかの落選、負傷欠場、予選敗退…ユーロ2016で見られないスター選手たち

2016.06.10

負傷のため、W杯に続いてのビッグトーナメント欠場となったロイス [写真]=Getty Images

 10日に開幕するユーロ2016の出場選手登録が5月31日に締め切られ、参加24カ国のメンバーが出揃った。この大舞台に立つことを許された選手たちのプレーを見るのは楽しみだが、一方でフランス行きの切符を逃した選手たちも、また存在する。ここでは、本大会で見られない名選手たちを、理由別にまとめて一挙に紹介しよう。

■メンバー漏れ
 代表チームは本大会出場資格を持ち、本人もプレーできる状態にありながら、メンバーに選ばれず。そんな悲運な男たちがいるものだ。

フェルナンド・トーレス

代表復帰を期待されながらも、落選したトーレス [写真]=Getty Images

 史上初のユーロ3連覇を狙うスペイン代表では、FWフェルナンド・トーレス(アトレティコ・マドリード)とMFフアン・マタ(マンチェスター・U)のメンバー漏れが現地で大きな話題を呼んだ。前者は、チームのチャンピオンズリーグ(CL)準優勝に大きく貢献。後者も、プレミアリーグで1年を通じて安定したプレーを見せていた。しかし、ビセンテ・デル・ボスケ監督が発表した候補メンバーに2人の名前はなく、前回大会の決勝でゴールを挙げた彼らは、今夏、テレビ観戦を強いられることに。また、CL決勝に出場していたMFイスコ(レアル・マドリード)とMFサウール・ニゲス(アトレティコ・マドリード)も土壇場で落選。FWジエゴ・コスタ(チェルシー)、MFサンティ・カソルラ(アーセナル)、MFハビ・マルティネス(バイエルン)、GKペペ・レイナ(ナポリ)ら“海外組”も選外となった。前評判はそれほど高くないものの、欧州王者の選手層の厚さを物語っている。

カリム・ベンゼマ

不祥事によりメンバー落ちとなったベンゼマ [写真]=Getty Images

 一方、自らの不始末が原因でユーロ出場を逃したのが、フランス代表で絶対的エースに君臨していたFWカリム・ベンゼマ(レアル・マドリード)だ。昨年11月、代表の同僚であったMFマチュー・ヴァルブエナ(リヨン)を“セックステープ”をもとに恐喝した疑いでフランス警察に逮捕され、国民から総スカンを食らうことに。この事件によって代表追放となり、ディディエ・デシャン監督も三行半を突き付けた。さらに、“被害者”であるヴァルブエナも選外となったが、こちらはいくらか同情の余地があるかもしれない。

 前回大会準優勝のイタリア代表では、メジャーリーグ・サッカー(MLS)で好プレーを披露しているMFアンドレア・ピルロ(ニューヨーク・シティ)とFWセバスティアン・ジョヴィンコ(トロントFC)、また、4年前には裸での“仁王立ちパフォーマンス”で世界を騒然とさせたFWマリオ・バロテッリ(ミラン)がメンバー外に。またイングランド代表では、FWセオ・ウォルコット(アーセナル)や日本代表FW岡崎慎司の同僚であるMFダニー・ドリンクウォーター(レスター)がフランス行きを逃した。

■ケガ
 チームの主軸であり、メンバー入り確実と見られていたにも関わらず、開幕前のケガで涙を飲む――。今大会は特に、上位進出が期待される有力国で、そんなアクシデントが相次いだ。

ヴァンサン・コンパニ

ベルギーは主将であり、守備の要のコンパニを欠いて本大会に臨む [写真]=VI Images via Getty Images

 FIFAランキング2位と、欧州最上位につけるベルギー代表では、主将でチームの精神的支柱でもあるDFヴァンサン・コンパニ(マンチェスター・C)が欠場する。ここ数年、異なる箇所で度重なる故障に悩まされてきた同選手は、5月4日に行われたチャンピオンズリーグ準決勝セカンドレグのレアル・マドリード戦で太ももを負傷し、わずか10分で交代。これでユーロ出場の望みが完全に断たれた。

クラウディオ・マルキージオ

イタリアは中盤の主軸であるマルキージオ(写真)とヴェラッティが欠場 [写真]=Getty Images

 そのベルギー代表と同グループのイタリア代表では、MFマルコ・ヴェラッティ(パリ・サンジェルマン)がそけい部を、MFクラウディオ・マルキージオ(ユヴェントス)が左足の前十字じん帯を負傷し、欠場が決定。また“世界王者”として初めての国際大会に臨むドイツ代表でも、MFイルカイ・ギュンドアン(ドルトムント)がしつがい骨の脱臼により、フランス行きを断念。MFマルコ・ロイス(ドルトムント)も「深刻な負傷を抱えている」として、2年前のブラジル・ワールドカップに続いての落選となった。中盤の要となるべき選手を失った両国の指揮官にとっては、痛恨の極みだろう。

ラファエル・ヴァラン

ヴァランは直前で母国開催のユーロ出場を逃すこととなった [写真]=Getty Images

 それでも、フランス代表に比べれば、幾分マシかもしれない。同代表は、先月12日の時点で登録メンバー23名と予備登録8名を発表。しかし、登録期限となった31日までに、DFラファエル・ヴァラン(レアル・マドリード)、DFジェレミー・マチュー(バルセロナ)、MFラサナ・ディアラ(マルセイユ)の3名が負傷によりチームを離脱することとなった。果たして、この想定外の事態をどう乗り越えるのか。デシャン監督は早速、大きな試練に直面している。

■予選落ち
 今大会のユーロの特徴の1つと言えば、出場枠の拡大が挙げられる。前回大会まで「16」だった枠は、今回から「24」まで1.5倍に増加。しかしそれでもなお、常連国が本大会出場を逃す波乱があった。

アリエン・ロッベン

ロッベン擁するオランダはまさかの予選落ちに終わった [写真]=VI Images via Getty Images

 最大のサプライズは、2年前のブラジル・ワールドカップで3位入賞を果たしたオランダ代表の予選敗退だろう。またここ数年間、国際舞台で確かな存在感を発揮していた旧ユーゴ諸国からも、スロヴェニア代表、セルビア代表、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ代表がフランス行きの切符を逃した。ギリシャ代表とデンマーク代表の、ユーロ優勝経験を持つ2カ国の不在もトピックの1つだ。

 そんな中、英国『スカイスポーツ』は昨年11月、予選落ちした国の選手で構成した“ベストイレブン”を発表した。いずれも本大会で主役になり得た選手たちばかりである。これも欧州サッカー界の競争力の高さの裏返しと言えるかもしれない。

<予選敗退国の選手ベストイレブン(英国『スカイスポーツ』より)>
▼GK
アスミル・ベゴヴィッチ(ボスニア・ヘルツェゴヴィナ代表/チェルシー)

▼DF
ブラニスラフ・イヴァノヴィッチ(セルビア代表/チェルシー)
ダレイ・ブリント(オランダ代表/マンチェスター・U)
アレクサンダル・コラロフ(セルビア代表/マンチェスター・C)

▼MF
ダレン・フレッチャー(スコットランド代表/ウェスト・ブロムウィッチ)
ネマニャ・マティッチ(セルビア代表/チェルシー)
アリエン・ロッベン(オランダ代表/バイエルン)
クリスティアン・エリクセン(デンマーク代表/トッテナム)
メンフィス・デパイ(オランダ代表/マンチェスター・U)

▼FW
エディン・ジェコ(ボスニア・ヘルツェゴヴィナ代表/ローマ)
ロビン・ファン・ペルシー(オランダ代表/フェネルバフチェ)

■その他、予選敗退国の有力選手
▼GK
カスパー・シュマイケル(デンマーク代表/レスター)
サミール・ハンダノヴィッチ(スロヴェニア代表/インテル)
ヤン・オブラク(スロヴェニア代表/アトレティコ・マドリード)

▼DF
ソクラティス・パパスタソプーロス(ギリシャ代表/ドルトムント)
コンスタンティノス・マノラス(ギリシャ代表/ローマ)

▼MF
ミラレム・ピアニッチ(ボスニア・ヘルツェゴヴィナ代表/ローマ)
ヘンリク・ムヒタリアン(アルメニア代表/ドルトムント)

▼FW
ステヴァン・ヨヴェティッチ(モンテネグロ代表/インテル)

■引退
 ユーロで見られない選手のなかには、今も現役バリバリながら自らの意思で代表を退き、今大会をファンの1人として観戦する往年の名プレーヤーたちもいる。

フィリップ・ラーム

ブラジルW杯でトロフィーを掲げたラーム(中央)は大会後に引退した [写真]=FIFA/FIFA via Getty Images

 その多くは、2年前のブラジルW杯を機に代表引退を表明した選手たちだ。スペイン代表の黄金期を支えた、シャビ(アル・サッド)とシャビ・アロンソ(バイエルン)。イングランド代表の重鎮であった、フランク・ランパード(ニューヨーク・シティ)とスティーヴン・ジェラード(ロサンゼルス・ギャラクシー)。そしてドイツ代表を世界王者に導いた、ミロスラフ・クローゼ(ラツィオ)、フィリップ・ラーム(バイエルン)、ペア・メルテザッカー(アーセナル)――。彼らの勇姿をもう見ることはできない。また、大会直前に代表復帰が囁かれたフランク・リベリー(バイエルン)も、最終的には母国を影から応援することを選んだ。

 その一方で、今大会の予選突破に貢献しながらも、本大会開幕を目前にして、後進に道を譲った選手がいる。今年3月、クロアチア代表からの引退を表明した、FWイヴィツァ・オリッチ(ハンブルガーSV)だ。現在36歳のオリッチは2002年から同国代表でプレーし、ユーロは過去2大会連続出場。今予選は8試合に出場し、昨年3月に行われたノルウェー戦ではゴールも決めていた。しかし所属クラブでは、今年に入ってから1試合に出場しただけで、納得のいくプレーを見せられないと悟ったオリッチは、潔く代表チームを去る決断を下したのだ。

「この夏、代表チームが最高の結果を残すことを願っている」。オリッチの切なる想いは、果たしてフランスの地で結実することになるのか。4年に1度の祭典だからこそ、晴れの舞台に立てなかった(立たなかった)者たちに思いをはせながら試合を見るのも、またユーロの楽しみ方の1つかもしれない。

(記事/Footmedia)

By Footmedia

「フットボール」と「メディア」ふたつの要素を併せ持つプロフェッショナル集団を目指し集まったグループ。

SHARE



LATEST ARTICLE最新記事

SOCCERKING VIDEO