サッカーゲームキングジャック6月号
2016.01.17

U-23代表が誇る“夜の主役”…鉄のハートを持つ宴会部長・三竿が支える舞台裏

三竿健斗
三竿は明るい性格でピッチ外でも人気者となっているようだ
2013年までサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で編集、記者を担当。現在はフリーランスとして活動中。

「高いパフォーマンスを示してくれたと聞いている」

 MF三竿健斗(鹿島アントラーズ)について水を向けると、手倉森誠監督は満足げな顔で微笑んだ。ただし、三竿が周囲をうならせるクオリティを示したのは、ピッチ上ではなく「夜の宴会」の場。ここまで1試合も出場していない三竿だが、自らを「ギャグ係」と称して裏方仕事に徹してきた。

 招集歴は浅いのだが、「それで雰囲気が良くなるなら、自分は構わない」と率先して笑われ者になることもいとわず、すっかりチームに溶け込み、もはやチームに欠かせぬ存在感を出しつつある。手倉森監督も、「三竿はそちら(お笑い方面)からチームに入ってきてくれた」と、その姿勢を高く評価している。

 16日夜に行われた南野拓実(ザルツブルク/オーストリア)とチームスタッフの誕生日では、もはや恒例となった“一発芸”を完遂。その詳細は「代表の品位に関わるので秘密です」(チーム関係者)とのことだが、三竿本人によると「リズム系のネタをやって、じわじわ系をやった」という。キャプテンのDF遠藤航(浦和レッズ)曰く、「二個すべって、三度目にちょい受け」だったようだが、めげずに試みた3度目のギャグについてFW鈴木武蔵(アルビレックス新潟)は「二度失敗しても、なお三度目に挑むメンタルが素晴らしい」と称賛を惜しまなかった。遠藤も「(ムードメークを)三竿がすべて請け負ってくれているので、雰囲気はいい。あいつは持っています」と、これに続いた。

 一発芸のネタ元は「芸人さんとか友達とか」と多彩で、「(周りに)『やれよ』と言われたら、やる」という姿勢を貫徹。同時に「同じネタは二度とやらない」と、芸に対する強固なプライドも持ち、そうした「ギャグ係」としての根性は「(東京Vの)ユース時代に培ってきた」と胸を張った。まさに“手倉森ジャパンの宴会部”である。

 たかが雰囲気、されど雰囲気である。

「笑い」が心理面にもたらすポジティブな効用は科学的にも証明されつつあるが、チームのムードはしばしばパフォーマンスを左右する。A代表でも槙野智章(浦和)のような“タレント”がムードを作っているが、こうした“宴会部長”の存在は組織を活性化させる。これまではどちらかと言うと寡黙なタイプが多かったチームにあって、いい意味で「バカになれる」三竿が土壇場で入ってきた意味は小さくなかった。

 もちろん、プレーヤーとして出場の可能性は虎視眈々とうかがっている。手倉森監督はサウジアラビアとの第3戦で、三竿ら出場機会のなかった選手たちの一斉起用を明言。チャンスが回ってくることは確実な情勢だ。「(サウジアラビアのような)フィジカルの強い相手に対しても、球際や競り合いで勝つのが自分の仕事」と、持ち前のタフネスを武器に戦い抜く覚悟を示した。

「いつ出ることになってもいいように、いい準備はしている。ネタも出せないくらい、試合に出てヘトヘトになるまでやり切りたい」

 1月19日、サウジアラビアとの第3戦は勝ち点計算の上では「消化試合」。しかし、これまで陰ながらチームを支えてきた選手たちにとっての晴れ舞台であり、自らの力を示す場となる。2試合にフル出場してきた主力選手たちも「チームみんなで戦って、そして勝ちたい」(遠藤)と、全力でサポートすることを誓った。サウジアラビア戦は、チームの総合力と一体感を証明する――。そんな試合となりそうだ。

文・写真=川端暁彦

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