2016.01.18

J SPORTS 編成部長が語る「全くの異業種からスポーツ業界へ転職した理由」/前編

国内最大の4チャンネルマルチ編成を誇るスポーツテレビ局、「J SPORTS」。昨年日本代表が目覚しい活躍を遂げたラグビーワールドカップを全試合ライブ中継するなど、国内スポーツ業界における最大メディアのひとつとして、スポーツ放送を徹底的に極め続けている。今回はJ SPORTS編成部長の池田泰斗(いけだ・たいと)氏に、スポーツテレビ局の担うべき使命について語ってもらった。

インタビュー・文・写真=波多野友子

――池田さんの大学卒業後のキャリアについて教えてください。

池田泰斗 新卒で入社した企業は大手鉄鋼メーカーでした。就職活動に取り組んでいた頃は、どんな分野で働きたいかという明確なビジョンを持っていなかったんです。銀行や商社、不動産会社などさまざまな企業を受けた中で、最初に内定を頂いた会社に入社したということですね。とはいえ、その企業で得たさまざまなビジネススキルや考え方が、今でも要所要所で活かされていると感じています。

――鉄鋼メーカーではどんな業務に携わり、どんなスキルが今の仕事に生きているのでしょうか。

池田泰斗 製鉄所での管理会計や本社営業、システム開発にいたるまで幅広い業務を担当しました。おかげで数字には強くなりました。営業担当の頃、担当製品のメイン生産ラインが火災に見舞われ出荷が大幅に滞り、全てがまったくうまくいかない時期がありました。お客様に迷惑を掛ける日々で初めて大きな挫折を経験しましたし、激務に疲弊しましたが、この経験がうまくいかず悩んでいる後輩の気持ちを察したり、チーム全体で解決しようという意識を形成してくれたのだと思います。営業システム開発プロジェクトでのワークフロー分析では、現場の実務者にヒアリングを行うことで、物事を俯瞰で把握する重要性を知ることができました。それから、子会社との事業統合及びその後の東証一部上場に関われたことも有益な経験でしたね。

――鉄鋼メーカーから2003年に株式会社ジェイ・スポーツへ。どのような経緯でスポーツ業界へ転職することになったのですか?

池田泰斗 ある時ふと、「この仕事は自分のライフワークなのだろうか?」と疑問を感じたんです。一生仕事を続けていくのなら、自分が最もやりがいを得られる分野で働きたいと。そこで改めてスポーツ業界が視野に入ってきたんです。もともとスポーツは好きで、子どもの頃から水泳、サッカー、テニスを経験し、大人になってからは趣味でインラインホッケー、アイスホッケーをたしなみました。観戦にも精力的で、98年の長野五輪やサッカーW杯フランス大会は現地で観戦し、ロンドンまで足を伸ばしてウィンブルドンも観に行きました。2002年の日韓ワールドカップももちろんスタジアムで観戦。スポーツに対する関心の深さを改めて実感していた頃、日経新聞の求人欄でたまたま見つけた株式会社ジェイ・スポーツに応募してみたところ運よく合格し、入社に至ることができたんです。

――転職後に携わった仕事についてお聞かせください。

池田泰斗 「社内に私ほどの職歴をもつ人間はいないのではないか?」そう思うほど多くを経験してきましたね。初めの頃は経営企画と営業企画を兼務し、他チャンネルとの合併実現に携わったり、スカパー視聴者向けの戦略を立案したりしました。その後CATVの営業担当へ異動になり、全国のケーブル局をまわって契約交渉を行ったりもしました。ケーブル局とコラボレートして、フットサル大会やサッカークリニック、ツールドフランスのイベントなど、さまざまな企画を実現させたのはいい思い出です。前職で長く堅い仕事に就いていた私が、柔軟なアイデアも出せるという一面を自覚するきっかけにもなりました。J SPORTS初のインターネット配信をローンチしたことも、記憶に新しい仕事のひとつです。

――もっとも印象に残っている仕事は何ですか?

池田泰斗 個人的に思い出深いのは、東日本大震災復興支援活動への取り組みですね。2013年に企画した「東日本大震災復興チャリティーTシャツ」には特に思い入れがあります。松原良香氏を通して、元ウルグアイ代表キャプテンのパオロ・モンテーロ氏らが震災復興のために協力を申し出てくれたんです。彼らを始め著名なサッカー関係者たちが喜んで力を貸してくれ、似顔絵をイラストにしたTシャツをECサイトで販売しました。収益金をJFA復興支援特認コーチを務められた加藤久氏が推進する、陸前高田に新しい天然芝のグラウンドを作る活動や、松原氏が行った仙台の子どもたちを招いたサッカー大会開催などの支援に寄付しました。そういった活動をオリジナルサッカー番組「Foot!」の中で紹介し、スポーツテレビ局としての立場で復興支援に携われたのは感慨深かったですね。

株式会社ジェイ・スポーツ
編成部長
池田 泰斗(いけだ たいと)

慶應義塾大学経済学部卒業後、1993年に新日本製鐵(株)(現新日鐵住金(株))に入社し、管理会計、営業、営業システム開発を経験。
1997年よりEI事業部(現新日鐵住金ソリューションズ(株)、後に出向・転籍)にて金融システムソリューション、新日鉄情報通信システム(株)との合併、東証一部上場などに携わる。
2003年に(株)ジェイ・スカイ・スポーツ(現(株)ジェイ・スポーツ)に入社。経営/営業企画部門にて経営/営業戦略構築などに携わり、他スポーツテレビ局との合併なども担当。
2006年よりCATV局、2011年より事業開発部門を経て、2013年より現職に就く。
J SPORTS の4チャンネルの編成ビジョン/方針/戦略やコンテンツ戦略の構築に携わる。
また東日本大震災の際には、アトランタ五輪サッカー日本代表松原良香氏など、著名なサッカー関係者と共にメディアとして復興支援活動にも尽力。

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