昨年のドイツ・ワールドカップで初優勝を果たし、今夏に行われるロンドン・オリンピックでも金メダルの筆頭に挙げられているなでしこジャパン。そんな彼女たちの取材を続け、澤穂希選手や川澄奈穂美選手など、なでしこジャパンの選手を多く抱えるなでしこリーグの最強軍団INAC神戸の番組「INAC TV」(毎月第3・4・5金曜、BSフジ23時~)のオフィシャルキャスターも務める松原渓が、なでしこリーグやなでしこジャパンの動向やこぼれ話などを紹介していきます。
[松原渓のなでしこ体験記より転載]
ロンドン・オリンピックに向けて、着実にチームの底上げを行なっているなでしこジャパン。前回から、ロンドン・オリンピックでの活躍が期待されるなでしこを紹介しています。
澤穂希選手に続く第2回は、昨夏に行われたワールドカップで2ゴール4アシストと大車輪の活躍を見せてなでしこの世界一に大きく貢献し、FIFAバロンドール候補に選ばれるなど、世界を代表する選手の一人となった宮間あや選手。今年3月に行われたアルガルベカップでは、澤選手からキャプテンマークを引き継ぐと、いきなり大会MVPを獲得する活躍を披露し、2012年5月現在、代表通算110試合、27ゴールをマークしています。
彼女がサッカーを始めたのは、小学校1年生の時。サッカーチームのコーチだった父が作った「フッチボール Surf」というクラブに入ると、小学校5年生の時に国際交流イベントでのちの恩師となる本田美登里氏(現U-20日本女子代表コーチ)と出会います。中学2年時には、読売メニーナ(現日テレメニーナ)に入団。自宅のある千葉県大網白里町から読売ランドの練習場まで片道3時間半かけて通っていました。
1999年にメニーナからベレーザへの昇格を果たしますが、高校2年時に退団し、高校3年生で前述の本田氏が結成した岡山湯郷Belleに、第1期生として現なでしこジャパンGKの福元美穂らとともに入団。高校卒業後は岡山に拠点を移すと、2004年には17ゴールをあげてLリーグ2部(現チャレンジリーグ)得点王と最優秀選手に輝き、1部昇格の原動力となりました。
日本代表にも初招集されたのは2003年。大橋浩司監督が就任した2005年には主力として定着すると、両足から繰り出される正確無比なキックで確固たる地位を築き、2007年のワールドカップでは2本の直接FKを沈め、一躍注目を集めました。
2009年にはその活躍が認められ、アメリカで誕生した女子プロリーグ(WPS)のロサンゼルス・ソルからドラフト指名を受けて海外挑戦を決意。その後、同リーグのセントルイス・アスレティカ、アトランタ・ビートでもプレーし、2010年シーズン終了後にプロ契約で岡山湯郷Belleに復帰しました。そして、昨年行われたワールドカップでの活躍は、改めて言う必要はないでしょう。

[写真]=千葉格
そんな宮間選手の持ち味と言えば、両足から繰り出される正確無比なキックと、試合の流れを読む鋭い戦術眼です。湯郷Belleの種田監督は、「彼女が卓越していのは分析力で、サッカーを客観的に分析できる頭脳。試合の中でリアルタイムに試合を分析して進められる。またその能力が年齢とともに発達している」と話していました。
柔らかいボールタッチから繰り出されるキックは両足ともに精度が高く、なでしこジャパンでもFK、左右のCKなど、すべてのキッカーを任されていますが、そのキックも卓越した戦術眼が備わっているからこそ生きるものなのです。
7月25日から開幕するロンドン・オリンピックでの活躍が期待される宮間選手は、どう大会で同じグループに入ったカナダ、スウェーデン、南アフリカについてこう話しています。
「カナダとの対戦戦績は五分ですが、強敵です。クリスティ・シンクレアという選手はアメリカの時も対戦相手としてやっていますし、彼女の質はすごく高いので、要注意人物だと思います。スウェーデンに対しては、ここ最近は私たちが勝利しています。私たちがうまくスウェーデンの良さを消せているのか、彼女たちが自滅しているのかはわからないのですが、他の国との対戦ではかなりいいサッカーをしている印象なので、油断はできません。南アフリカに関してはまったくわからないので、機会があればどんどん情報を収集していい準備をしたいなと思います」
ワールドカップとオリンピックの2冠を狙うなでしこジャパンですが、いまだかつて、ワールドカップとオリンピックを連覇した国はありません。そんな中で、宮間選手はなでしこジャパンにとって、これまで以上に大切な大会になると話しています。
「これは私的な考えですけど、これまで以上になでしこジャパンに注目していただいて、何となく知名度が上がってきてはいますけど、サッカーの質を見てもらっているのかどうかと問われれば、不安はあります。男子サッカーを見る中で、勝とうが負けようが内容を見ている人も多いですし、男子サッカーを見てから女子サッカーを見る人がほとんどだと思うので、男子サッカーと比べると退屈に見えてしまうことが多いかもしれません」
「そんな中、ロンドン・オリンピックでもう一度結果を出すことによって、女子サッカーの新たな良さを発見してもらいたいです。環境的にもいろいろと難しいところはあると思いますが、せめてサポーターの人数やサポーターの皆さんの熱さを男子サッカーと同じぐらいにしていけたらいいなと思います。今までもこのワールドカップが大事とかこのオリンピックが大事と考えてやってきましたけれど、そういった点で、このロンドン・オリンピックはこれまで以上に大事な大会になるのではないかと思います」
キャプテンとして臨む初めてのオリンピック。宮間選手はどのようなプレーで私達を魅了してくれるのでしょうか。沈着冷静にチームをけん引する彼女に要注目です。
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2011年、女子ワールドカップ ドイツ大会優勝、ロンドン五輪アジア最終予選を突破し、五輪出場権を獲得したなでしこジャパンに7人もの選手を送り出していた「INAC神戸レオネッサ」にスポットを当てる、日本の女子サッカーチームでは初のオフィシャル番組。
【松原渓】(まつばら けい)1983年8月25日生まれ。タレント。スポーツライター。女子芸能人フットサルチーム「南葛シューターズ」に所属。「INAC TV」(BSフジ)オフィシャルキャスターを務める。2008年よりスポーツライターとしての活動を始め、『サッカーゲームキング』などで連載を持つ。父親の影響で幼少時からアウトドア体験は豊富で、普段はハーレー(FXDL)などを乗りこなす。公式ブログはこちらから!
