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バルセロナの強さの秘密を解き明かす超戦術論 第8回「ボールを大切にする」

2011.12.18

 世界一のタイトル獲得を目指すバルセロナが、ついに来日した。直前のクラシコではレアル・マドリーに3−1で逆転勝利し、改めてその強さを世界に知らしめた。究極形とも言える彼らのフットボールは何が優れて、何が違うのか。ペップ・バルサの“真の戦術”を読み解く。(第8回/全9回)

 バルサのビルドアップについてもう少し説明しよう。GKやセンターバックなど後方からのビルドアップにおいて、サイドでボールを受ける選手が絶対にボールを失わない方法としては、3つのオプションがある。サイドに位置した選手は素早く状況を把握し、これらの3つのオプションを用いてボールを保持する。
 
 また、この3つのオプションの選択(個人戦術)に合わせて、ボールを持っていない周囲の選手がポジションを変えてパスコースを作り、そこにパスを出すことによってグループでボールを保持し続ける(グループ戦術)。
 
 この非常にシンプルな個人戦術とグループ戦術の組み合わせは、トップチームだけでなく育成年代の指導においても重要かつ普遍的なメソッドの一つとして指導されており、アレビン(U-12)以下の小学生年代のチームでもトップチームと同じやり方を実行している。日本で開催されたバルサキャンプでもボールポゼッションのための重要な要素として指導されており、知覚・判断・実行の3つによって遂行される重要な個人戦術だ。
 

 

 バルサのポゼッションサッカーは、「ボールを大切にする」というメソッドに基づいた個人戦術の実行が大前提となっている。個人→グループ→チームという戦術の発展によってポゼッションが成されているのだ。そのため、戦術を語る上で「3-4-3か4-3-3か」といったシステム論がそれほど重要ではないことは、繰り返し強調しておきたい。
 
(第9回につづく)
 

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