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ゼップ・ブラッター、サッカー界の独裁体制の崩壊

2015.07.19


文=マッテオ・マラーニ

権力を失った男は突然老けたかのようにも見えた

 1枚の写真が世界に向けて時代の変化を伝える。『ライヒスタークの赤旗』とは、ソビエト連邦の国旗がドイツ国会議事堂(ライヒスターク)の頂上に掲げられた写真のこと。ナチスドイツの崩落を世界に伝えた1枚である。同じくサイゴンで撮影された『アメリカ大使館の屋上から離陸するヘリコプター』もまた、ベトナム戦争の終結と大国アメリカの敗戦を世界に印象づける写真だった。

 ゼップ・ブラッターがサッカー界のトップの座から辞任するという会見を終え、その会場を出ていこうとする瞬間、数百のシャッターが切られた。まさにブラッター時代の終わりを如実に表す1枚で、今後の数十年、我々の記憶に残るだろう。演壇に最も近いドアから逃げるように会場を去る彼には、へつらう者も、手を差し伸べる者もいなかった。そこにあったのは、権力を失った1人の男……。ブラッターの年齢は79歳。権力を失った男は突然老けたかのようにも見えた。

 1998年6月8日に世界のサッカーの王座に就いて以来、今年の6月2日に至るまでの長い間、ブラッターは最後の君主制を保持してきた。だが、権力は崩れる時は一瞬で崩れるもの。彼の忠実な支持者の多くが逮捕され、やがて火の粉が自分にも及ぶと推測し、辞任を決めたのだろう。

 FIFAのナンバー2とも言うべきジェローム・ヴァルケ事務局長が、W杯開催に立候補していた南アフリカからCONCACAFに渡った1000万ドル(約12億円)の送金に関与していた容疑ですでに逮捕されたということがブラッター辞任の引き金になったということは容易に推測される。
 FIFAは未曽有のスキャンダルで混乱している。これから先、どのくらいの数の理事、関係者に逮捕状が出るのだろうか……。かつてない規模の騒動の最中、「最後の独裁者」は身を引いた。

グエリン・スポルティーヴォ
イタリアで発行されている最古のスポーツマガジンです。ピックアップした記事を日本語化して『サッカーキング・オピニオン』読者にお届けします。
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