FOLLOW US

元仙台ジュニア監督率いるU-15カンボジア代表来日~2週間の宮城県キャンプの成果

2015.07.19


文=小林健志

 東南アジアのインドシナ半島南部に位置するカンボジア王国。その地に一人の日本人サッカー指導者が派遣され、U-15年代の代表チームを率いている。

 壱岐友輔監督。宮城県出身で2000年からベガルタ仙台のアカデミー・スクールでコーチを務め、2007年から発足間もなかったベガルタ仙台ジュニアのコーチに就任。2009年からは監督に昇格。すると2012年、2013年の「バーモントカップ全日本少年フットサル大会」で2年連続準優勝。さらに2013年5月に行われた「JA全農杯チビリンピック小学生8人制サッカー全国決勝大会」で優勝。

 ベガルタ仙台ジュニアの実力を全国トップレベルの強豪に引き上げた手腕を買われ、2013年12月よりカンボジアに派遣され、2014年2月に創設された全寮制の「カンボジアサッカーアカデミー」にて指導に当たっている。2023年に自国開催となる予定の「SEA Games(東南アジア競技大会)」に向けて、その大会にU-23カンボジア代表として出場する世代を10年がかりで国を挙げて強化を行うという壮大な計画だ。

 強化の一環としてほとんど国際試合のないU-15カンボジア代表の選手たちを3週間来日させ、対外試合を精力的に行った。今までは「カンボジアサッカーアカデミー」の選手がそのまま代表として戦っていたが、「協会にはたらきかけて、他の良いチームで頑張っている選手も入れたい」と壱岐監督の強い要望で今回初めて別のチームから3名の選手を加えた形で代表を組んだ。7月1~3日はJ-GREEN堺にて「日本・メコンU-15サッカー交流プログラム」に出場。1次ラウンドでU-15日本代表、U-15ベトナム代表、ヴィッセル神戸U-15と試合を行い、3戦全敗。しかし順位決定戦U-15タイ代表戦は2-2で同点と善戦。PK戦で7-8と惜敗したが、1年半の強化の成果を見せた。

 そして5日からは壱岐監督の故郷宮城県で長期のキャンプを行った。仙台育英高、利府高、宮城県工業高、壱岐監督の母校東北学院高の主に1年生チームと練習試合を行い、キャンプの締めくくりとして、18日長年壱岐監督が指導をしてきたベガルタ仙台アカデミーとの練習試合を行った。

 18日対戦したのはベガルタ仙台ジュニアユースU-15チームとU-14チーム。いずれも壱岐監督がベガルタ仙台ジュニア監督時代指導してきた選手が多数在籍している。その一人MF工藤蒼生は現在U-15日本代表に選出されるまでに成長。もう一人ジュニア出身ではないが、MF粟野健翔もU-15日本代表に選出されている。現在のベガルタ仙台ジュニアユースU-15チームはU-15日本代表2名を抱える強豪チームだ。

 45分×2本で行われたベガルタ仙台ジュニアユースU-15チームとの試合。前半はU-15カンボジア代表は自陣で守備ブロックを組み、前線でスピードのあるFWがカウンター攻撃を狙った。「素人集団だった」というU-15カンボジア代表の選手たちだが、1年半で組織的な動きを身につけ、ベガルタ仙台ジュニアユースを苦しめた。しかし地力の差が出て、前半わずかな隙を突かれて2失点。後半に入ると暑さと疲れで足が止まり始め、さらに失点を重ねた。それでも後半19分、粘り強くカウンター攻撃を狙っていたスピードのあるFWがゴールを決め、一矢報いた。その後は大量失点となり1-10と完敗だったが、今後の伸びしろ、可能性は十分に感じられる試合内容だった。

小林健志
ベガルタ仙台・東北の育成年代サッカーを取材しています。
サッカーキング・オピニオンとは
「サッカーをテキストで楽しむ!」(読む、書く、仲間を探す、コミュニティで議論する)ことを目的とした、サッカーファン、サッカーライター、ブロガー、みんなが主役のメディアです。「サッカーについてもっと知りたい人」のために、ニュースから一歩踏み込んだ記事を発信します。
http://opinion.sk/

SHARE

RANKING今、読まれている記事

  • Daily

  • Weekly

  • Monthly

SOCCERKING VIDEO