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【インタビュー】イケル・カシージャス「僕はこれからも成長を続ける」

2011.11.17

ワールドサッカーキング 12.01.17(No.197) 掲載]

どん欲な若手のように勝利に飢え、タイトルへの執着心をむき出しにする。イケル・カシージャスは30歳を迎えた今もなお、GKとして、キャプテンとして、どのように成長していけるかを冷静に見据え、激しい練習に打ち込んでいる。クラシコを目前に控え、自らの強い意志と今シーズンの確かな手応えについて、本人が口を開いた。
カシージャス
インタビュー・文=ホセ・フェリックス・ディアス・フェルナンデス 翻訳・構成=高山 港 写真=フォトスポーツ

 昨シーズンのリーガ・エスパニョーラにおいて、レアル・マドリーは一度もバルセロナに勝つことができなかった。それだけにコパ・デル・レイのタイトルは、プライドを保つためにどうしても必要なものだった。ところが決勝ではバルセロナの猛攻にさらされ、後半の残り15分は「忍耐」以外、彼らにふさわしい言葉は見当たらなかった。リオネル・メッシ、ペドロ・ロドリゲス、アンドレス・イニエスタによる3本の強烈なシュートは、死闘を決着させるに十分なレベルだったが、イケル・カシージャスの驚異的なセーブで得点を許さなかった。偉大な守護神の活躍で延長戦に持ち込んだ彼らは最終的にカップを手にしたのだ。

 そして、ワールドカップを手にした時と同じようにカシージャスは涙を流した。この勝利への執着心こそ、キャプテンの証だと彼は公言する。期待が高まるリーグとチャンピオンズリーグ(以下CL)の制覇に向けて、彼はどんな執着心を持って挑もうとしているのか。その自身に満ちた発言は、今シーズンの成功を予感させるに十分なものだった。

スペイン人GKのレベルは世界最高と言っても過言ではない。

最初に君のプレースタイルについて聞かせてくれるかな。若い頃に目標にしていた選手はいた?

カシージャス 憧れていたのはデンマークのペーター・シュマイケルだね。シュマイケルは身体的な強さだけでなく、俊敏性と反射神経にも優れていてカリスマ性もあった。GKとして必要な資質をすべて持ち合わせている選手だった。僕が小さい頃、スペインには優秀なGKが多くいたけど、彼らと比べてもシュマイケルが断トツで世界最高のGKだったと思う。

シュマイケルと対戦したことはあるの?

カシージャス 一度だけあるんだ。2000年のCLでスポルティングと対戦した時だった。僕にとっては感動的な試合だったよ。何せ、憧れの選手と同じピッチでプレーできたんだからね。試合が終わったらすぐシュマイケルに駆け寄ってユニフォームの交換をお願いしたんだ。そのユニフォームは今でも大事に保管してあるよ。僕にとっては宝物なんだ。

君は今や、かつてのシュマイケルのように多くの若手GKが目標とする選手になった。国内外の若手GKで注目している選手はいる?

ギグス
的確なセービングに加え、フィードの精度にも定評あるデ・ヘア。今後の成長が期待される

カシージャス スペイン人なら(ダビド)デ・ヘアがナンバーワンだろうな。20歳という若さで、マンチェスター・ユナイテッドのようなビッグクラブで正GKを務めているんだからね。ポジショニングの良さ、鋭い反射神経、冷静な判断力など、GKとして既に完成された選手だと思う。他では、チームメートの(アントニオ)アダンに注目している。基礎技術が高くプレーに安定感がある。今後与えられるチャンスを生かせれば、大きな成功をつかめるはずだ。

マンチェスター・シティーのジョー・ハートも高く評価していると聞いたけど。

カシージャス 「注目の若手」としてハートの名前を挙げるのは彼に失礼だよ。ハートは既にクラブとイングランド代表で確固たる地位を築いているし、いずれ世界最高のGKになる選手だと思う。

スペインは君やデ・ヘア以外にも、バルセロナの(ビクトル)バルデスやリヴァプールの(ペペ)レイナといったトップレベルのGKを数多く輩出している。なぜこれほどハイレベルなGKが多いのかな?

カシージャス カンテラ(下部組織)でのGKに対する教育がしっかりしているからだろう。ここ数年、代表に選ばれているのは僕とバルデス、レイナだけど、国内にはこの3枠に割って入れるだけの実力者がたくさんいるんだ。例えば、セビージャのハビ・バラスを代表に招集すべきだという声が多く上がっている。今シーズンのバルサ戦でのパフォーマンスが示す通り、彼の活躍は特筆すべきものだよ。その他にもビジャレアルのディエゴ・ロペス、バレンシアの(ビセンテ)グアイタなど、スペイン人GKのレベルは世界最高と言っても過言ではない。

君が若手だった15年前と今とでは、GKのプレースタイルはどう変わってきていると思う?

カシージャス バックパスのルールが変わって、足でボールを処理する機会がとても増えた。昔はゴールライン上がGKにとって主なプレーエリアだったけど、今ではエリアの外に出てプレーに参加することも珍しくない。今のGKには、サッカー選手としてよりハイレベルな能力が求められている。昔と今とではGKのプレースタイルが完全に変わったと言っていいだろう。

<誌面に続く>

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