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6年ぶり、覚悟の古巣復帰…ジュビロ磐田MF太田吉彰が語る決意

2015.02.17

 現在31歳となった太田吉彰は、ジュビロ磐田ユースから磐田を経て2010年に仙台へ加入。今シーズン、6年ぶりに古巣の磐田に復帰した。自身初のJ2挑戦となる今季。J1への昇格を果たすべく決意の移籍となった太田に開幕前の意気込みを聞いた。

恩を返せるのはこのタイミングしかない

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[写真]=秋田陽康

──ユース時代を含め、長年在籍したジュビロ磐田に、6年ぶりに戻ることを決断した理由は何でしょうか?

太田吉彰 ベガルタ仙台で5年間やらせていただいて、自分にとって特別なクラブになりました。東日本大震災があって、サポーターや宮城の方たちと一体になって戦えたということは、本当に自分にとって大きくて。自分はこのまま仙台で引退するんだろうなという思いも、もちろんあったんですけど。

 オファーもない中で海外に挑戦したいっていう思いがあって磐田を退団して、それがダメで仙台に行ったんですけど。その時、磐田に育ててもらった恩を何も返せていないので。何かタイトルを取れたわけでもないですし、もちろん仙台には感謝しているんですけど、結局、自分の身勝手で違うチームに移籍して。

 磐田は、小学校6年生の頃からお世話になっているクラブで。ジュニアユース、ユース、プロと成長することができ、さらに2軍から1軍へ上がって。試合には出場できませんでしたけど、日本代表にまで育ててもらったクラブであって。そのクラブが、J2から1年間でJ1に復帰できず、攻撃陣も去年で退団した人がたくさんいる状況になり、低迷している中、自分が恩を返せるのはこのタイミングしかないな、ということが強く感じていました。磐田に対する恩を返す意味でも、ここで入ってJ1に上げることが自分にとって今できる使命なのかなと。それが復帰を決断した理由です。

──オファーは名波浩監督から直接あったんですか?

太田吉彰 名波さんや服部年宏強化部長にはお二人が現役の頃からお世話になっていて、今回そういう話をいただいて。正直、2日間くらいで決断しなければいけなかったんです。遅くなると仙台にも迷惑がかかりますし。だからその2日間は、非常に悩みました。仙台も大好きだし、磐田にも恩を返したかったので。仙台は完全に自分のクラブと思ってやっていましたし、すごく楽しく生活もさせてもらっていたので、それをパッて捨てるとなると迷いがありました。

──名波監督になってからの、サッカーを含めた磐田の全体の印象はいかがですか?

太田吉彰 仙台でプレーしていた時から、磐田のJ2の試合はほぼ全部見ていました。今の磐田は、みんなテクニックがものすごくあると思います。もちろん実績もありますし。ただ、プレーで鼓舞する選手、誰かのために走る選手が、チームに1人入ると変わるんじゃないかと思っていました。自分がそこに入れば、その存在になれるという思いも正直見ていてあったので。そこの部分があと1つあればすごいいいチームになると感じていました。

──監督としての名波さんの印象はいかがですか?

太田吉彰 まだ一緒にやっているわけではないので何とも言えませんが、見ていて『ブレない』という印象があります。名波さんが会見で話している言葉を聞き、自分の思いを持っていて、やりたいサッカーがあって、信念を持ち…。本当にブレていないです。そういう監督が周りから信頼されると思うので。選手時代もそうでしたが、そういった部分でも素晴らしい人だと思います。

かっこ悪くてもいいので、執念で勝ち上がっていきたい

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[写真]=秋田陽康

──J1昇格という絶対目標に向けて、ポイントになるのはどういうところだと思いますか?

太田吉彰 ダイジェスト映像などは見ましたけど、J2は正直わからないので。経験しているわけでもないですし、もちろん油断しているわけでもないです。それこそ初めてなので。ただ、今年はいい選手、いいチームがJ2にたくさんいますし、相当厳しいところに入ってきたと思っています。イメージとしてはよく走り、よく蹴って、パワープレーも多いですし、そういったイメージがある中で、走り負けてはいけないなと。

 自分の持ち味はスピードです。気持ちも含め、それを失ったら終わりだと思っているので。負けないために、スプリントトレーニングに参加していますし、さらにもう一段階レベルを上げるため、一歩でも前に出るように。根性サッカーに多少なりともなるかもしれないですけど、負けないようにしたいと思います。

──太田選手はゴールへの気持ちも強いですよね。ゴールへ直結するプレーを選ぶ場面が多いです。

太田吉彰 相手にとってはそこが脅威だと思うので。点を取れて、アシストができて、ゴールに常に向かう選手が一番の選手だと思っています。その部分は昔から忘れず、試合前にずっと自分自身に言い続けて戦っています。

──負けず嫌いでもありますね。

太田吉彰 本当に負けず嫌いですね。一対一で1回止められただけでもムカつきますね(笑)。アホみたいに突っ込んでいくので、何回も取られて怒られるんですけど、それでもチャレンジしたくなるんですよ。

──J1でプレーできることから自らの選択でJ2に行ったことに気持ちを感じます。2015年シーズンの抱負を教えてください。

太田吉彰 この選択が、絶対間違ってなかったと自分自身も思いたいので。そのためにも絶対にJ1に上がらないといけないと思いますし、自分のため、磐田のために、このままJ2で終わるつもりもないので。もう一度J1の舞台で戦って、もっともっと活躍して、上へ行きたい気持ちも当然あります。気持ちが折れてJ2に来たわけではないので。J2からでも這い上がって、もう一度J1のチャンピオンを目指せるよう、自信と強い気持ちを持って臨みたいです。

 プライド捨ててでも、泥臭くても、恥かいてでも、どんな戦い方してでも、J2で勝ちたいです。そういうチームも絶対多いので。自分自身、かっこ悪くてもいいので、執念で勝ち上がっていきたいです。

 今も磐田に帰れば大きな声援をいただけますし、もちろん期待されているのはわかっています。プレッシャーもものすごく感じています。『お願いします』とか『吉彰が来たからJ1確定だね』と言ってくれる方もいるので。そういったプレッシャーを感じますが、自分はそのプレッシャーが嫌いではないので。プレッシャーを楽しみながら、今シーズン笑って終わりたいと思います。

若い選手との合宿は刺激

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[写真]=秋田陽康

──今回、シーズン前の自主トレとして「ツネイシしまなみビレッジ」を利用していますが、どういった経緯だったんですか?

太田吉彰 槙野智章選手や関根貴大選手といった浦和レッズの選手たちと一緒に参加しているんですが、僕は“槙野と愉快な仲間たちの一人”なので、呼んでもらいました(笑)。でも、関根くんとか若い選手たちと絡むこともないので、一緒に走っても、ものすごく速いですし、いい勉強になっています。刺激も受けています。『まだまだ負けられないぞ、若い選手には』っていう感じですね。このキャンプでは、初速の部分を強く意識しています。僕は初速が速くないので。伸びはあるんですけど。スタートの10メートルだけは全然速くないんですよ。

──そこを強化されているんですか?

太田吉彰 今、しています。そこが速くなればもっと速くなるので。そういうイメージ持ってやっています。加速を伸ばすトレーニングもしていますけど、まずは初速ですね。

──この施設はいかがですか? サッカーコートや宿泊施設なども充実していますが。

太田吉彰 温泉もあって、ゆっくりできる施設もありますし、サッカーの環境も何面もグラウンドがあって。素晴らしい施設ですし、温泉入っているときの景色も最高で、すごくリラックスできますね。疲れて帰ってきたときにあんな景色を見たら癒されますね。

──温泉は確かにすごいですね。

太田吉彰 あんな景色の見られる温泉はなかなかないですね。最高です。施設もグラウンドもしっかりしていて、やりやすいですし。Jリーグのキャンプ地になってもおかしくないレベルだと思います。将来的には絶対なると思いますよ。ここはオススメの施設です。

取材協力=ツネイシしまなみビレッジ

「ツネイシしまなみビレッジ」とは?

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[写真]=秋田陽康

 2015年1月上旬、『ツネイシしまなみビレッジ』で太田吉彰(磐田)、槙野智章(浦和)らによる合同自主トレが行われた。ツネイシLR株式会社の岡本昇さんは「『ツネイシしまなみビレッジ』は、学び・スポーツ・レジャーの場を提供する瀬戸内体験型の“総合宿泊施設”です。サッカーに集中できる素晴らしい環境にある総合宿泊施設ですので、様々な強化・育成の場としてご利用していただければ」と語っている。

ツネイシしまなみビレッジ 瀬戸内の穏やかな気候と豊かな緑に囲まれた環境の中で、学び・スポーツ・レジャーの場を提供する瀬戸内体験型の「総合宿泊施設」。スポーツ施設として、962名分の宿泊施設に隣接した4万平方メートルの敷地に国際試合規格サイズのサッカーフィールド3面にロングパイル人工芝を備えており、1年を通じて良好なフィールドコンディションを保ち、大会や合宿で重宝されている。フィールドのうち1面は、「広島県フットボールセンター」として日本サッカー協会に認定されている。
2014年は年間利用者が5万5000人を突破。ジュニアユースチームやレディースチームがあり、スクール事業も行うなど、育成面にも力を入れている。

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