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“順当”なグループ突破…舞台は日本の力示すノックアウトラウンドへ/戸塚啓の日本代表分析

2015.01.22
“順当”なグループ突破…舞台は日本の力示すノックアウトラウンドへ/戸塚啓の日本代表分析
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[写真]=兼子愼一郎

 アジアカップに出場している日本代表がグループリーグを無敗で突破した。3連勝で得点7、失点0という数字は申し分のないものだ。

「多くのチャンスを作りましたし、後ろも3試合ゼロで抑えていますから、そういう意味では多少余裕のあるグループリーグだったかなという感想はありますけど」

 首位通過について聞かれたキャプテンの長谷部誠は、控え目に切り出した。それも当然だっただろう。

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[写真]=兼子愼一郎

 パレスチナの選手の名前をあなたは覚えているだろうか? イラクの選手の名前は? ヨルダンの選手の名前は?僕は誰ひとり覚えていない。思い出せない。

 イラクでもっとも印象に残っているのは監督のラディ・シュナイシェルである。現役時代にエレガントなリベロとして名を馳せた彼は、1993年のアメリカ・ワールドカップ、アジア最終予選でプレーしている。当時のイラクはアジア屈指のタレント集団で、日本との力関係では彼らが上回っていただろう。シュナイシェルだけでなく、アーメド・ラジ、フセイン・シハーブといった選手たちが、僕の記憶のなかで立ちあがる。

 しかし、つい先日対戦したばかりのチームは、まるで記憶に残らないチームだった。キャプテンのユースフ・マフムードは何度も観ている選手だが、そのプレーから受ける印象は目減りするばかりである。

 1980年代からサッカーを観ている者には、ヨルダンのレイ・ウィルキンス監督もノスタルジックな存在だ。イングランド代表のMFとしてW杯に出場し、ミランでもプレーした彼の目の前で、現在のミランの背番号10がプレーしている。日本サッカーの変化を感じさせる一コマだが、さて、ヨルダンにはどんな選手がいたのか。次に対戦するときのために記憶しておかなければ、という選手はひとりもいなかった。

 僕とはまったく違う意味合いで、長谷部も対戦相手に物足りなさを感じたようだった。「これからがいよいよ本当の戦いじゃないですけど、相手も良くなってくるので。いま考えると、グル―プリーグはチャンスの割にゴールが少ないというのがあるので、後ろはゼロで抑えられているぶん、攻撃で決定力というものをもう少し上げていきたいかなと思います」

 シーズン中の海外組とシーズン終了直後の海外組で開きがあり、海外組のなかでもばらつきのあったコンディションは、ようやく足並みが揃ってきた。大会3試合目のヨルダン戦は、チームとしての連動性の高まりを感じさせた。右サイドバックで先発している酒井高徳は、「3試合目ですから、当然上向かなければいけないところはありますけれど」と前置きしたうえで、「コンディションにしてもコンビネーションにしても、どんどん良くなっていると思います」と話す。

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[写真]=兼子愼一郎

 グループリーグで互いに手の内をさらしたこともあり、ここから先は相手の良さを消し合う色彩が強まっていく。ましてや日本はメンバーを固定しており、途中交代のオプションもなかばパターン化している。

 対戦相手からすれば戦略を練りやすいが、酒井が話すように個々のコンディションは右肩上がりで、チームとしての連動性も高まっている。そもそもコンディションについては、最初から決勝トーナメントにピークを合わせてきた。対戦相手のスカウティングを超えたサッカーを、日本が見せていく可能性は高い。

 しかも、準々決勝で対戦するUAEは1996年大会以来のグループリーグ突破だ。日本が足元をすくわれるとは考えにくい。ヨルダン戦で香川真司が待望のゴールをあげたのも、ここから先の好材料だ。

「ノックアウトステージですから、厳しい緊張感のなかで何が起こるかわからない。仮に先制点を取れるようなことがあっても、2点を取らないといけないというようなことがあれば、どうやって2点を取るのか。同じ攻撃をさせてもらえないのであれば、どういった攻撃をするのか、そういったところまで、いくつかオプションは持っておきたいし」

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[写真]=兼子愼一郎

 大会前に「色々なことが起こり得るのがアジアカップ」と話していた本田圭佑は、ノックアウトステージの難しさを再確認している。一方で、「個人的にはいくつかもう少しオプションを持つべきだと思っていて、違うことも考えてはいます」とも語り、チームのレベルにも手応えも感じている。

「いまのチームの経験値なら、僕だけじゃないと思います、そういうオプションを持っている選手は。だから割とぱっと試合中でも、ちょっとの会話でそういう解決策を見出すことが、アジアではできるような気はしていますね」

 本田の言葉は、過信や慢心の表れなどではない。大会最多優勝を誇る“アジアの巨人”として、自分たちの力で相手を押し出すようなサッカーで連覇を果たすのが、日本の力を示すことにつながるのである。

戸塚啓(とつか・けい)。1968年生まれ。サッカー専門誌を経て、フランス・ワールドカップ後の98年秋からフリーに。ワールドカップは4大会連続で取材。日本代表の国際Aマッチは91年から取材を続けている。2002年より大宮アルディージャ公式ライターとしても活動。

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