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【インタビュー】ビーチサッカーに魅了された男、日本代表・後藤崇介 「W杯で優勝してビーチサッカーをメジャーなスポーツにしたい!」

2014.10.30

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 アクロバティックなプレーや、独特のエンターテインメント性で観客を魅了するビーチサッカー。黒く焼けた肌と白い歯が印象的なビーチサッカー日本代表・後藤崇介選手は「本当にプレーが楽しいんですよ」とさわやかな語り口で話す。

 2015年夏、ビーチサッカーW杯がポルトガルで開催される。「ビーチサッカーをメジャーなスポーツにしたい」、そんな想いを胸に日々のトレーニングに励んでいる後藤選手に、競技の魅力や今後の目標について聞いた。

-まず始めに後藤選手はどんなきっかけでビーチサッカーに転向したのですか?
 以前はかりゆしFCという沖縄のサッカーチームに所属していたのですが、オフシーズンにビーチサッカーの全国大会に出たんです。その大会にビーチサッカーのプロチームが出ていて、そこに声をかけてもらったことがきっかけです。チームの監督が元ブラジル代表のW杯得点王になったことがある方で、その出会いからとても刺激を受け、「ビーチサッカーをやるしかない!」と思いました。初めてビーチサッカーをプレーした時から、楽しくてしょうがなかったです。もともとサッカーではFWでプレーしていたので、ゴールがたくさん入るビーチサッカーの魅力にはまっていきました。

-ビーチサッカーは、サッカーファンでもあまり馴染みがない人もいると思いますので、後藤選手からビーチサッカーについて簡単に教えてください。
 プレーは5対5で行い、コートはフットサルより少し大きいくらいの広さです。オフサイドはなく、交代も1試合で何人でもOKです。プレー時間は12分×3ピリオド制で、プレイングタイムなので、実質1ピリオド20分くらいですね。当然ですが、砂の上なので裸足でプレーをします。ソックスも履きませんし、すね当てもしません。相手の足がぶつかることもありますが、痛いと思うことはありませんね(笑)。また、ボールは5号球で、大きさや硬さはサッカーと一緒ですが、ビニールのような生地でできているので、蹴っても痛くないようになっています。

-ルールはサッカーと同じなのですか?
 いいえ、サッカーのファウルとは違う部分があって、ファウルを多く取ってくれるのが特徴と言えるかもしれません。ビーチサッカーでは砂の中からボールを救い上げる「スコップ」という基本技術があるのですが、ボールをすくい上げてオーバーヘッドやアクロバティックなプレーの体勢に入った場合、相手選手は体をぶるけることはできません。そこからフリーキックになるのですが、ビーチサッカーのフリーキックは壁を作れないので、キーパーと一対一のフリーキックになります。

-ビーチサッカーならではの技について教えてください。
 一番特徴的なのは今話した「スコップ」だと思います。やはりコートがデコボコなので、浮かせてパスを出す方が正確にパスが通りますから。また、ビーチサッカーではキーパーがキモですね。フリーキック後の1回はバックパスがOKで、手で処理ができます。キーパーのスローからシュートチャンスが生まれたり、アシストしたり、前線に上がってシュートを打ったりするのがビーチサッカーの特徴だと思いますね。

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-リーグの仕組みや契約形態はどのようになっていますか?
 ビーチサッカーの選手は、少し特殊な契約形態です。国内のプロチームは東京と沖縄に2チーム。海外にはプロリーグがいくつかあります。年間をとおして試合があるリーグはないため、ヨーロッパのシーズンに半年間、南米のシーズンに半年間といったように、各地でシーズン契約をします。試合がある地域に移動しながらシーズン契約や大会ごとに選手個人で契約を結び、いろいろなチームでプレーをするというスタイルです。僕自身は、昨年ヨーロッパのシーズンが終わった後に、ブラジルに渡ってプレーをしました。日本の全国大会以外はずっと海外でプレーしていました。

-プレーをする上で、サッカーとの違いはどういったところですか?
 持久力系の体力を使うのは芝(サッカー)で、瞬発系が多いのがビーチという感じでしょうか。海外では、小さい頃に先にビーチサッカーをやっていて、途中からサッカーに転向する人も多いですね。幼い頃にビーチサッカーをやったら、足も速くなるし、裸足なのでボールのタッチも柔らかくなる、音楽を流しながらプレーをすることが多いのでリズム感も身に付くと思います。あとはドリブルもめちゃくちゃうまくなりますね。実際にプレーしていて感じるのは、サッカーとビーチサッカーを並行してトレーニングをしていたら、とても良い選手になるのだろうということ。ブラジル代表のネイマール選手もビーチサッカーを幼い頃にやっていたぐらいですから(笑)。

-ビーチサッカーの魅力はどんなところですか?
 一つはオーバーヘッドキックなどアクロバティックなプレーが多いこと。華やかで迫力がある技がたくさん繰り出されるところはサッカーにはない魅力だと思います。大音量で音楽を流しながら試合をするので、エンターテインメント性もありますし、選手との距離も近いのも魅力じゃないでしょうか。また、サッカーと異なるのは、ゴールの数が多い点です。1試合で7点、8点入るのは普通で、両チームとも無得点で終わる試合はほとんどありません。ですから、初めて観戦した人は「次もまた観たい」と言ってくれることが多いですね。

-ご自身でスクールを開いているそうですね。
 海外、特にブラジルなどの様子を見ていて、日本の子ども達にもビーチサッカーをやってほしいと思ってスクールを始めました。生徒はとても意識の高い子ども達が多いですし、プロを目指している子もたくさんいます。ビーチサッカーで鍛えた技術をサッカーで活かしたいという考える子どもも多いです。一方で、サッカーもやったことのない初心者の子ども達も入会しています。裸足でボールを蹴るのは楽しいんでしょうね。現在は幼稚園から中学生まで、ビーチサッカーのクラスだけで80名程度参加しています。

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-日本代表について教えてください。チームの雰囲気はどんな感じですか?
 監督が代わり、選手も入れ替わったので、平均年齢が大きく下がりました。今の監督は試合規模の大小にかかわらず全部視察に来てくれるので、いろいろな選手が呼ばれ、毎回メンバーが一部入れ替わっています。ただ、チームの雰囲気はとても良く、ベテランと若手がうまくコミュニケーションを取れていて、和気あいあいとしていますね。僕自身はこれまで年齢が一番下だったのですが、今年から自分より年下の選手が入ってきたので、イジれて楽しいですね(笑)。後輩が毎回一発芸をやるので、それを見るのが楽しみです。最近は監督もイジるようになりました(笑)。

-10月中旬には沖縄で強化キャンプがあったそうですね。
 10月の沖縄合宿は4日間だけだったのですが、今までの合宿に比べてもキツかったです。戦術練習や紅白戦などもやるのですが、それ以上にボールを使ったフィジカルトレーニングを行い、相当走りましたね。監督が練習メニューをたくさん持っているので、やっている方も新鮮で楽しいです。その分キツイですけど。合宿中は午前と午後の2部練で、夜はミーティングとみっちり頭と体を鍛えられたのでとても充実していましたね。

-監督はどんな方なのでしょうか?
 ブラジル人のマルセロ・メンデス監督というビーチサッカー専門の監督で、ビーチサッカー界では知らない人はいないです。戦術が本当に豊富で、1回でも代表合宿に参加しないと、覚えられないくらいのバリエーションを持っています。

-今後の予定について教えてください。
 11月4日から『インターコンチネンタルカップ』という大会がドバイで開催されます。サッカーでいうコンフェデレーションズカップにあたる大会で、世界の各大陸の王者が出場します。アジアからは日本とイラン、開催国のUAEが参加し、ロシアやブラジルなど強豪国も出場します。この大会に向けて今は準備をしているところです。インターネットで試合が見られる予定なので、ぜひ注目してほしいです。その後は11月下旬にはオリンピック協会主催の『アジアビーチゲームス』という、さまざまなビーチスポーツのオリンピックがプーケットで開催されます。来年は2月のブラジル遠征の後、3月にカタールでアジア予選、7月にポルトガルでW杯があります。とても充実していますね。

-来年のW杯に向けての目標を聞かせてください。
 優勝ですね。優勝しない限りはビーチサッカーがメジャーなスポーツにはなれないと思っています。個人的な目標はたくさんありますが、今はとにかくビーチサッカー日本代表としてW杯で優勝して、ビーチサッカーをメジャーなスポーツにしたい! そのために僕たちが頑張って結果を出して、ビーチサッカーの魅力を全国のサッカーファンに伝えていきたいです。

-実際に日本代表にはその力があると感じていますか?
 世界を見ても、10年くらい前はブラジルが他国を圧倒していました。でも、最近はヨーロッパ各国でもビーチサッカーが盛んになっています。前回、前々回のW杯もロシアが優勝していますし、W杯に出場する国はどこもレベルが高くで、どこが勝ってもおかしくない状況です。アジア勢は世界に比べると、まだまだ経験が足りない面もあります。それでも今のマルセロ監督は、日本人選手の可能性を感じてくれていますし、僕たちをW杯で優勝させるために来てくれています。そういった意味でも期待に応えたいと思っています。

-最後に、サッカーキングを見ている方にメッセージをお願いします!
 とにかく、一度ビーチサッカーの試合を見てほしいです! サッカーが好きな方なら、きっと楽しめると思います。またビーチサッカーの試合を見る手段としては、インターネットなら海外のチームの試合も見れますし、アプリもあるのでスマホでも見られます。きっかけは何でもいいので、ビーチサッカーに興味を持ってもらえたら嬉しいです。ぜひ、皆さんもビーチサッカーの応援をよろしくお願いします!

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後藤 崇介(ごとう・たかすけ)
1985年6月4日生まれ、神奈川県出身。
幼少よりサッカーを始め、沖縄国際大学在学中、沖縄レキオスBSへ入団しビーチサッカーに転向。転向後、3ヶ月でビーチサッカー日本代表に選出される。2011年には世界トップリーグであるスイスリーグのBSCビエンヌ・ハッチャーズへ移籍するなど国内外で活躍している。ポジションはピヴォ・アラ。
オフィシャルBLOG
TAKAサッカースクールHP

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