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フモフモ編集長のアギーレJAPAN第2陣の楽しみ方~今こそ「岡崎派」立ち上げの時 国歌斉唱に注目~

2014.10.09

YOKOHAMA, JAPAN - SEPTEMBER 09: Yoshinori Muto of Japan celebrates his goal with team mates during the KIRIN CHALLENGE CUP 2014 international friendly match between Japan and Venezuela at the International Stadium Yokohama on September 9, 2014 in Yokohama, Japan. (Photo by Atsushi Tomura/Getty Images)

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「新戦力のみんな、一緒に岡崎派作らない?」【写真】=Getty Images

文=フモフモ編集長

 アギーレJAPAN第二陣となる10日のジャマイカ戦、14日のブラジル戦に向けた代表メンバーが発表されました。初陣のメンバーからは林彰洋さん(鳥栖)、坂井達弥さん(鳥栖)、松原健さん(新潟)、酒井宏樹さん(ハノーファー)、長谷部誠さん(フランクフルト)、扇原貴宏さん(C大阪)、大迫勇也さん(ケルン)、皆川佑介さん(広島)の8人が招集を見送られました。吉田麻也さん(サウサンプトン)も怪我により、代表を辞退しています。

 そして、そこに入れ替わる形で権田修一さん(FC東京)、塩谷司さん(広島)、鈴木大輔さん(柏)、田口泰士さん(名古屋)、西大伍さん(鹿島)、小林悠さん(川崎)、太田宏介さん(FC東京)、香川真司さん(ドルトムント)、ハーフナー・マイクさん(コルドバ)が選出されました。さらに、怪我で代表を辞退することにはなりましたが、当初は昌子源さん(鹿島)も招集されていました。完全に「日本代表初選出」となるメンバーこそいないものの、「合宿参加のみ」「3年ぶりの招集」「4年ぶりの招集」といった「ほぼ初」と言えるメンバーも含む、新鮮な顔ぶれです。

 かねがねアギーレ監督が発言しているように、今はまだアジアカップに向けたメンバー選考の途上。ショッピングで言えば、店の中の商品をアレコレ品定めしている段階に過ぎません。手に持ってみたり、引っくり返してみたり、鏡の前で試着してみたり、食べ物ならば試食してみたり。当然、見ただけで「買うつもりじゃありません」と棚に戻す商品もあります。また、試食の時点で「まずっ!」と突き返す商品もあります。

 その意味では、今回招集されたからと言って喜ぶのは早すぎますし、今回漏れたメンバーも落ち込む必要はまったくありません。胸に手を当てて考えてみてください。自分がデパートをブラブラしながら、手に取っただけで棚に戻してきた無数の商品たちを。純粋に「持っただけ」だったり、「見ただけ」だったりで、「選んだ」つもりなど毛頭なかったケース、たくさんありますよね?

「選ぶ」のは店をグルグル2周くらいしてからの話。アギーレJAPANの選考は、そのぐらいのイメージでとらえたほうがよいように思います。あくまでも「本気で選ぶ」のはアジアカップのメンバー選考時です。そして「あ、やっぱりいらなかったんだ」ということが確認できるのもアジアカップのメンバー発表時です。そこまでは全員が「品定め中」の扱い。ですので、サカイさんも、まだ諦めずに吉報を待っていただきたいものであります。

 しかし、そんな品定めの最中であっても、「2度呼ばれた」パターンは一定の評価があると考えてよいはず。ザッケローニ監督時代にはあまり呼ばれてこなかったメンバーでは、水本裕貴さん(広島)、田中順也さん(スポルティング)、森岡亮太さん(神戸)、柴崎岳さん(鹿島)、武藤嘉紀さん(FC東京)らは、代表定着へ向けて大きな一歩を踏み出したと言えるのではないでしょうか。試食で二口目をいくのは、好印象の商品だけですからね。

 さて、そのように「代表定着か?」と思われるメンバーが生まれ始めると、気になってくることがあります。それは、代表チーム内での人間関係。誰と誰が仲がいいとか、食事のときに同じテーブルに集合する面子は誰だとか、一緒に散歩に行くのは誰だとか、チーム内での小グループの誕生についてです。

 ザックJAPAN時代にも、本田圭佑さんを中心とする小グループや、川島永嗣さん・吉田麻也さん・内田篤人さんらによる「散歩隊」という小グループがあったと聞きます。新たに定着したメンバーが、果たしてどんな人間関係を築いていくのか。逆に言えば、どのグループが有望な新人を迎え入れ、勢力を拡大していくのか。今後、メンバーの変動を見守りながら、そうした人間関係にも注目していきたいものです。

 日本を代表するストライカーでありながら、どこか陰に隠れるというか、若干軽んじられている感じもする岡崎さん。例えば先日のウルグアイ戦では、フジテレビの中継画面の右上隅には「本田・長友らW杯メンバー集結」というテロップが表示されていました。ベネズエラ戦でもその状況は変わらず、テレビ朝日は「本田、長友ら新生日本が始動!」「本田、長友ら厳しいサバイバル」「本田、長友&新戦力サバイバル!」という本田長友本田長友本田長友の表示を敢行。そこには岡崎のオの字もありません。

 岡崎さんは「ら」です。「ら」の一部です。そして、岡崎さんが「ら」であることが、違和感もなくごくごく自然に受け入れられている現状が世間にはあるのです。考えてみれば、僕自身も「岡崎の凱旋試合」「岡崎不在による不安」「岡崎の後継者争い」「岡崎世代」「次期キャプテンは当然岡崎」「日本サッカーの最高傑作・岡崎」等の岡崎さん中心のフレーズは、聞いたことも、言ったことも、考えたこともありませんでした。

 しかし、岡崎さんは昨年ドイツ・ブンデスリーガで15得点を挙げ、欧州主要リーグでの日本人最多得点記録を更新した「史上最高」の選手のはず。しかも、今シーズンもブンデスリーガで得点ランキングトップに立っています。所属するマインツがドルトムントと対戦した際には、ブンデスリーガの公式サイトで「Shinji VS Shinji」とシンジ対決を煽ったほど。かつて岡崎さんが自虐的に披露した「シンジカガワ?ノーノーノー、オカザーキ!」なるシンジギャグは、もう過去の話なのです。

↓岡崎さんもシンジオカザキ人気の高まりを肌で感じている!

岡崎さん:「今まではシンジダービーって言われてなかったんで」
岡崎さん:「自分も対戦するとき注目を浴びるようになったかなって思うんで」

↓もはやシンジオカザキはシンジカガワと同格と言ってもいい存在!

 これで日本のテレビが「ドルトムント香川凱旋」「香川・本田・長友ら集結」などと言い出すのはオカシイ!

 現在の活躍具合から言っても「岡崎凱旋」「岡崎・本田ら」とすべき!

 時は来ました。旗揚げしましょう、今こそ。「岡崎派」を。岡崎さんに憧れ、岡崎さんのように世界に羽ばたこうとする若者を集めて。岡崎さんの著書『鈍足バンザイ!』を熟読し、岡崎さんの成功哲学を学ぶ小グループを結成しましょう。岡崎さんには、派閥の長たるチカラがあるはずです。

 そして、ドイツで岡崎派の会合を開くのです。2013年6月14日に放送された日本テレビ『アナザースカイ』で、岡崎さんは愚痴を漏らしていたじゃないですか。欧州リーグ所属選手が集まり、キングカズを囲んで食事をともにする晩餐会「カズさん会」に自分は呼ばれていないと。孤独を噛み締めていたじゃないですか。だもんで、「カズさん会」に対抗して、中山雅史さんを囲む「ゴンさん会」を中山さんと2人で立ち上げていたじゃないですか。

 その不満、今こそ解消するのです。「岡崎派」を立ち上げて。休日には岡崎さんを慕うメンバーを集めて食事をするのです。岡崎さんが店を選び、岡崎さんが予約をし、岡崎さんが集合時間を連絡して、岡崎さんが支払いをする会「ザキオ会」を始めるのです。「就職できなかったので自分で会社を始める」みたいな会を。

 僕は見ていました。岡崎さんが着々と岡崎派立ち上げの準備に励む様子を。着目したのは、試合入場時やハーフタイムのちょっとした動き。岡崎さんは、そうした時間も無駄にせず、積極的に新メンバーにコンタクトを図っていたじゃないですか。ウルグアイ戦では選手入場の際も、国歌斉唱のときも、後半開始時の入場も、ずっと初招集の坂井達弥さんに寄り添っていましたよね。

 ベネズエラ戦ではベンチスタートとなるも、初招集の松原健さんの隣に座り、並んで試合を見ていましたよね。後半開始時の入場では、「人見知り」を公言する柴崎岳さんに寄り添っていましたよね。そして、武藤嘉紀さんが代表初ゴールを決めた際にはスペースを作る動きでお膳立てをし、柴崎岳さんが代表初ゴールを決めた際には一番外でポツンと待っていた柴崎さんにクロスを送ってアシストしましたよね。

 そうしたロビー活動は、きっと実を結ぶはずです。

「川島・吉田・内田」グループや「本田・長友・香川」グループに馴染めないタイプの人もいるでしょう。丹念に、泥臭く、あぶれた人を拾っていきましょう。岡崎派に誘われてイヤと言う人は、よもやいますまい。柴崎岳さんあたりは、そもそもどのグループにも馴染めない感じもしますので、むしろ岡崎派への親和性は高いはず。将来性も含め、ドラフト1位候補です。海外での孤独な暮らしのことや、移籍時に契約で揉めない方法などを指南しつつ、ガッチリつかまえていきたいものです。

  ↓ベネズエラ戦では試合後に誰も寄せ付けない心の壁を見せつけていた柴崎さん!

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代わる代わる声を掛けに来る人をソデにし、座り込んでいた姿!

 無派閥有力新人です!

  ↓その柴崎さんを連れて、ロッカールームへ引き上げていったのは岡崎さん!

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インタビューの都合で、2人がピッチに最後まで残った機会を利用して急接近!

↓各派閥の様子は試合前の国歌斉唱の並び順で垣間見える!

<2014年に行なわれた日本代表戦での国歌斉唱並び順 ※最後尾から先頭に向かって記載>
【親善試合 ニュージーランド戦】
本田⇒香川⇒酒井宏⇒森重⇒山口⇒オカザキ⇒青山⇒大迫⇒吉田⇒川島⇒長友(キャプテン)

【親善試合 キプロス戦】
本田⇒長友⇒香川⇒オカザキ⇒森重⇒今野⇒柿谷⇒山口⇒内田⇒川島⇒遠藤(キャプテン)

【親善試合 コスタリカ戦 ※岡崎さんは先発を外れる】
大久保⇒香川⇒山口⇒大迫⇒今野⇒青山⇒森重⇒吉田⇒内田⇒川島⇒本田(キャプテン)

【親善試合 ザンビア戦】
本田⇒香川⇒長友⇒今野⇒山口⇒柿谷⇒オカザキ⇒吉田⇒内田⇒西川⇒遠藤(キャプテン)

【ワールドカップ コートジボワール戦】
本田⇒長友⇒香川⇒オカザキ⇒山口⇒大迫⇒森重⇒吉田⇒内田⇒川島⇒長谷部(キャプテン)

【ワールドカップ ギリシャ戦】
本田⇒長友⇒大久保⇒山口⇒大迫⇒今野⇒オカザキ⇒吉田⇒内田⇒川島⇒長谷部(キャプテン)

【ワールドカップ コロンビア戦】
本田⇒長友⇒大久保⇒香川⇒青山⇒今野⇒オカザキ⇒吉田⇒内田⇒川島⇒長谷部(キャプテン)

【親善試合 ウルグアイ戦】
長友⇒坂井⇒オカザキ⇒森重⇒細貝⇒田中⇒皆川⇒酒井宏⇒吉田⇒川島⇒本田(キャプテン)

【親善試合 ベネズエラ戦】
長友⇒水本⇒大迫⇒柿谷⇒柴崎⇒酒井高⇒森重⇒細貝⇒吉田⇒川島⇒本田(キャプテン)

<並び順の傾向>
●先頭はゲームキャプテンがつとめる

●ゲームキャプテンの次の位置にはGKが入る

●本田・長友・香川グループは最後尾側で集団を形成

●川島・吉田・内田グループは先頭側で集団を形成

●岡崎さんは所在無くフラフラと試合ごとに移動

 試合だけでなく岡崎派ロビー活動の進み具合にも注目して、ジャマイカ戦・ブラジル戦を見守っていきたいもの。まず先発を勝ち取ることが大前提ではありますが、首尾よく柴崎さんあたりの横に岡崎さんがベッタリと張り付いているようなことがあれば、それは意中の新人を取り込んだ「岡崎派」立ち上げの瞬間なのかもしれませんから。

 アギーレJAPAN体制で大量に発生するであろう「急に呼ばれてビックリしている選手」「本当に自分がここにいて大丈夫なのかと不安な選手」「知り合いがいない選手」たちの受け皿になれるのは、岡崎派しかないでしょう。所在無い選手の憩いの場として、心温まる小グループを結成してもらいたいものですね。

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