新企画『サッカーフリークの書店員によるブックレビュー』は、当サイトの運営会社であるフロムワンの企業理念、「日本のサッカー文化の普及啓蒙」を推進していくためのコーナーです。

書籍販売のプロならではの視点で、サッカー文化の成熟を促す書籍を紹介していく初回企画は「書店員一押し! ワールドカップをとことん楽しむためのサッカー書籍ベスト5」。今回は、紀伊國屋書店本社ホールセール部勤務の三竹大吉さんがワールドカップを深く楽しむための5冊を紹介してくれました。
オススメ 1 ワールドカップ戦記 波濤編 2002-2010
編者:スポーツグラフィックナンバー
出版社:文藝春秋
定価:本体743+税
ワールドカップ予選から本大会まで日本代表のすべての試合が年代順につづられている。勝ち負けを超えて各試合のキーポイントがコンパクトに語られており、どのページを開いても読み応えがある。
中でも個人的に記憶に残るのは、ドイツ・ワールドカップでのブラジル戦だ。黄金世代とうたわれた日本代表最後の試合は、1点を先制したあと、ブラジルに逆転され敗れ去るのだが、最後まで一人ピッチを走り回る中田の姿は感動的でなおかつ痛々しい。
彼はあの日どんな思いでドルトムントのピッチに立ったのか。かつてジョホールバルの歓喜を生んだこの若きエースの躍動と苦悩の軌跡を、今一度忘れずに記憶にとどめておきたい。
オススメ 2 ワールドクラスサッカー戦術の軌跡
著者:西部謙司
出版社:大和書房
定価:本体1,700円+税
過去のワールドカップの名勝負を国別にまとめた好著。ブラジル、アルゼンチン、ドイツ、オランダ、スペインといった強豪国のベストゲームが詳しく解説されている。
1982年のブラジルvsアルゼンチン。ジーコを中心とした黄金の中盤が若きエース・マラドーナを完封した試合。1974年のオランダvsブラジル。フライング・ダッチマンの伝説を生んだクライフのボレーシュート。1998年のブラジルvsオランダ。絶頂期のスピードモンスター・ロナウド率いるブラジルと名勝負を演じたオランダ等々、いずれも世紀の一戦と呼び声高い好ゲームを27試合ピックアップして紹介している。
出来れば当時の映像を見ながら読んでいただきたい。それについては下段の番外編も参照ください。
オススメ 3 「足に魂こめました」カズが語った[三浦知良]
著者:一志治夫
出版社:文藝春秋
定価:本体571円+税
言わずと知れたKAZUの本である。夢見る幼少時代から、単身ブラジルへ乗り込み、帰国してJリーグと代表で大活躍し始めた1993年までをつづった若き日のキング・カズがそこにいる。
『狂気の左サイドバック』で一躍有名になった著者の一志治夫は、その後カズを追い求めて「たったひとりのワールドカップ」までたどり着いた。一方、カズ本人は46歳を過ぎた今も現役を続けている。誰よりもワールドカップへの想いが強かったKAZUは、ワールドカップに出なかった、がゆえに今も現役を続けているのだ、と思う。彼は忘れてきた何か(魂)を今も追い続けているのだ。
オススメ 4 ワールドサッカー歴史年表
編者:『サッカー批評』編集部
出版社:カンゼン
定価:本体1,600円+税
これはワールドサッカーの主なトピックを年代順にまとめたサッカー・クロニクルである。ワールドサッカーの起源から現代まで膨大な記録が丹念につづられた労作と言える。
各ページが年号とともにその年に起こったトピックスを世界と日本に分けて整理されているので見やすい。知られざるエピソードも豊富で内容満点のボリュームと言える。さらに巻末には、歴史に残る名勝負ベスト10や永遠に語り継がれる名プレー10選など、見て読んで楽しい一冊。いつでもどこでも気軽にひも解ける海外サッカーのミニ百科事典である。この本を手元に持っておけば、あなたもサッカー通と言われること間違いなし。
オススメ 5 情熱を貫く
著者:大久保嘉人
出版社:朝日新聞出版
定価:本体1,400円+税
ブラジルワールドカップ日本代表に選出され、今や時の人となった大久保選手の自伝。巻末に亡き父へあてた直筆メッセージが記された本書は、全編を通じて彼の飾り気のないサッカーへの想いと朴訥とした人柄がにじみ出ていて、読み終わってとても爽やかな印象を受ける良書だ。
しかし、2013年Jリーグ得点王の大久保選手は昔からピッチの上では別人だ。誰もが知るその野性味あふれるプレーは、パスサッカーが主流の現代サッカーにおいて、時として日本代表も忘れがちな泥臭いプレーであり、実は彼の持ち味でもある。だからこそ、最後の最後に代表に選ばれた時、我々は素直に歓喜し、他の人とは一味違った大久保選手が日本代表の切り札としてブラジルの地で大活躍するシーンを想像したくなるのである。
番外編(参考文献)
以下は現在品切れ・絶版ながら、機会あればぜひ読んで欲しい裏ベスト
狂気の左サイドバック
著者:一志治夫
出版社:新潮社
日本代表不動の左サイドバック、都並敏史を扱ったノンフィクション。ドーハの悲劇の舞台裏が詰まっている古典的名著。
たったひとりのワールドカップ
著者:一志治夫
出版社:幻冬舎
三浦知良のワールドカップへの想いをつづったインタビュー集。終わることのないカズの魂の叫びを忘れないために。
Number DVD サッカー世紀の名勝負シリーズ
販売元:パイオニアLDC
オランダ vsブラジルやブラジル vs イタリアなどのワールドカップ名勝負シリーズ。金子達仁と戸塚啓による試合解説の載ったブックレットは読み応えあり。司会は倉敷保雄アナウンサー。
三竹大吉(みたけ・だいきち)(株)紀伊國屋書店 本社ホールセール部勤務
ジョホールバルの歓喜、フランス・ワールドカップ、シドニー・オリンピック、ドイツ・ワールドカップをそれぞれ現地で観戦。その後は、欧州クラブ・チームを中心に週末録画した試合の中から名勝負に出会えるのを楽しみにしている中年サッカーファン。週1回フットサルで汗を流すのが目標。書籍をお探しの際は、紀伊國屋書店ウェブストアより全国店舗の在庫がご覧いただけます。詳しくは、http://www.kinokuniya.co.jp/よりご確認ください。




