2014.06.13

W杯連覇を狙うスペイン代表MFイニエスタ「プレッシャーを力に変える」

延長終了間際の116分に決めた歓喜のゴールから4年、アンドレス・イニエスタとその仲間たちが再びワールドカップの舞台に戻って来た。彼らが見据えているのはただ一つ。連覇の偉業だ。
イニエスタ
インタビュー=ホセ・フェリックス・ディアス
翻訳=高山 港
写真=ゲッティ イメージズ

連覇を達成してビラノバに捧げたい

――以前はワールドカップ(W杯)前の準備期間として十分な時間があったけど、今はシーズン終了後すぐに準備に取りかからなければならない。この状況をどう思う?

イニエスタ サッカーが変わったということだよ。近年はシーズン中も次の試合に備える時間がなくなりつつある。一つのゲームが終わったら、まずは疲労を取ることに努める。そして、疲れが取れないうちにまた次のゲームの準備に取り掛かる、というのが僕らのルーティンになっているんだ。年間の試合数が多すぎるんだよね。当然、W杯を前にしても十分な準備期間を得ることなんてできない。今のサッカー選手はハードスケジュールをこなさなくては通用しなくなっているんだ。シーズンを通していかにフィジカルコンディションを整えるか、それが成功への要因になっているのさ。

――今シーズンはフィジカル面だけでなくメンタル面でも厳しい1年だったね。長く勝利を共有したティト・ビラノバが亡くなり、更には君の家族にも不幸があった(婦人の流産)。加えて、ピッチ上でも悪いことが続いた。チャンピオンズリーグだけでなく、リーガでもアトレティコ・マドリーに屈したね。

イニエスタ 確かに今シーズンのバルサの成績はファンの期待を裏切るものだった。バルサの無冠を予想した人なんていなかっただろうからね。だからこそ、一日も早く悪い記憶を払拭したい。スペイン代表の一員として良い成績を残すことで嫌な思い出を拭い去りたいんだ。ブラジルでW杯連覇を実現して、その勝利をビラノバに捧げたいね。

――王者としてプレーすることにプレッシャーを感じない?

イニエスタ スペイン代表の選手たちは、プレッシャーには慣れている。W杯ほどとは言わないまでも、シーズン中も常に過度の期待を背負っているからね。もちろん、W杯ではスペイン国民全員の期待を背負うことになる。これは特別なプレッシャーだよ。ただ、僕らはプレッシャーを克服するすべを知っている。全く問題はないさ。個人的にはむしろ、ディフェンディングチャンピオンとして大会に参加することに喜びを感じている。プレッシャーを力に変えるつもりでいるよ。

――南アフリカ大会での優勝。あの勝利が意味するものは何だったのかな? 優勝の瞬間はどんな気分だった?

イニエスタ ものすごくうれしかったよ。スペイン国民に大きな贈り物ができたという感じだった。当時のスペインは社会的にも経済的にも難しい局面にあった。そういう時期に国民に喜びをもたらすことができて本当に良かったと思っている。スペイン経済は今も微妙な時期にある。種々の問題で苦しむ国民に、また喜びを与えたいね。

――4年前の君は、さほど良いコンディションにはなかった。

イニエスタ そう、精神的にかなり疲れていた。個人的な問題を抱えていたからね。小さなケガもあって、フィジカルコンディションもイマイチだった。「このままじゃ壊れそうだ」と思っていたくらいさ。でも、結果としてこれまでやってきたサッカーが自分を助けてくれた。自分のサッカーをすることで最悪の状況を克服できたんだ。その結果が優勝を決めるゴールにもつながったと信じている。

組み合わせはアンラッキーだった

――改めて、現在の代表チームをどう評価している?

イニエスタ いい感じで仕上がりつつあるよ。危惧するような要素は何一つない。僕らはディフェンディングチャンピオンだ。予選も余裕を持って勝ち抜くことができた。それに、今のチームは選手全員がお互いを知り尽くしている。お互いがお互いの考えを完璧に理解し、連動性も完璧なレベルにあるんだ。ただ、さっきも言ったように、リーガでの厳しい戦いを終えたばかりということで、完璧なフィジカルコンディションで大会に臨むのは難しいかもしれない。そして、それは他のチームにも言えることさ。みんな、長くて厳しいシーズンの疲れを引きずったままブラジル入りするんだ。まあ、僕らはこの種の大会での戦い方には慣れている。この6年間、ユーロとW杯で勝ち続けているんだから、それは評価されるべきものだと思うよ。

――カルラス・プジョルがいなくなったことで、チームが不安を抱くことはないかな?

イニエスタ もちろん不安はある。プジョルは常にチームの中心にいて、みんなを鼓舞する存在だったからね。スペイン代表は彼を中心に回っていたと言ってもいい。プジョルが特別な存在だったことを否定する人はいないと思う。

――プジョルがいないこと、そしてプジョルが体現していた闘争心が失われることは、スペイン代表の戦力ダウンにつながるのでは?

イニエスタ この6年間で手にした3つのビッグタイトルについて、プジョルが重要な役割を果たしたのは間違いない。彼のような選手は他にはいないよ。ただ、彼がいないからといって、スペインの躍進が止まるわけじゃない。彼の闘争心を全員が受け継いで戦う必要はあるけどね。

――スペインのW杯連覇の妨げになる国はどこだろう? 最大のライバルチームは?

イニエスタ W杯を制するには、まずグループリーグを突破する必要がある。オランダ、チリ、オーストラリアと同じグループに入ったのは、ちょっとアンラッキーだったかもしれない。「死のグループ」とは言わないけど、相当厳しいグループだと思う。4年前の決勝の相手と初戦で戦うわけだからね。ファンは楽しみだろうけど、僕らにとってはきついことさ。チリとオーストラリアも油断できない相手だし、最初からトップギアに入れなくてはいけない。まずはグループリーグを突破することに全神経を注ぐ。優勝候補についてはブラジル、アルゼンチン、ドイツ、イタリア、いつもの顔触れだよ。

――番狂わせがあるとしたら?

イニエスタ ウルグアイに注目している。南米で行われる大会だから、地の利もあるだろうしね。それから、アフリカ勢が躍進する大会になりそうな気もしている。この十数年、「アフリカに注意!」と言われ続けてきたけど、今回は特に注意すべきかもしれない。

W杯を展望したイニエスタが、今大会での懸念材料について言及。インタビューの続きは、ワールドサッカーキング1407号でチェック!