LISBON, PORTUGAL - MAY 31: The team of Greece poses after the International Friendly between Portugal and Greece at the National Stadium on May 31, 2014 in Lisbon, Portugal. (Photo by Gualter Fatia/Getty Images)
[サムライサッカーキング4月号掲載]
チームスピリットをベースとした強固な守備と鋭利なカウンター。かつて欧州を制したダークホースの高さと速さと底力に要注意。

文 = 河治良幸 写真=Getty Images
守備力は列強に匹敵、ポイントはセットプレー
EURO2004で欧州制覇を果たし、一時代を築いたオットー・レーハーゲル監督が、10年の南アフリカ・ワールドカップで勇退し、ギリシャのクラブでも指導経験が豊富なポルトガル人のフェルナンド・サントスが監督に就任した。徹底したマンツーマンからラインディフェンスに切り替え、中盤はブロック型のゾーンを構築。攻撃は伝統のカウンターを踏襲しながら、中盤のパスを生かすサイドアタック色を強めた。
サントス監督は「ギリシャの強みはチームスピリット」と語る。実際にEURO2012では劣勢が予想された中で準々決勝に勝ち上がり、ドイツとも前半の終わりにフィリップ・ラームの強烈なミドルシュートが決まるまでは互角に近い戦いを演じた。日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督は「(ギリシャは)相手の良さを消すサッカーをしてくる。彼らの戦いを見ると、精度の高いカウンターと団結力のある守備を見せていて、やりづらいチーム」と評価する。事実、欧州予選はプレーオフも含め12試合で6失点しか喫しておらず、流れからは1失点もしていない。守備力に限れば優勝を狙う列強国にも匹敵するレベルだ。
ギリシャの攻撃はボール奪取からのカウンターがメーン。一発のロングパスよりも中盤にワンクッション入れてのワイドな仕掛けとなる。90分の中ではポゼッションを使う時間帯もあるが、日本のように細かいパスで崩そうとするのではなく、素早く大きな展開からのウイングやサイドバックのクロスを多用し、欧州予選5得点でエースのコンスタンティノス・ミトログルやゲオルギオス・サマラスの強さと高さを生かしてくる。
ミトログルは左利きの大型ストライカーで、ライン裏に抜ける動きと、クロスに合わせる動きの両面に優れ、瞬時の判断に迷いがない。左の中盤にいるゲオルギオス・カラグニスと、左ウイングのサマラスとの連動が抜群で、同サイドの高い位置で起点ができると、日本にとって危険度が増大する。右サイドバックのヴァシリオス・トロシディスのクロスに対しては、サマラスが格好のターゲットに。長年に渡りエースを担って来たテオファニス・ゲカスもゴール前の勝負強さは健在。得点が欲しい時間帯にはミトログルとの併用もありそうだ。
その他にも多彩なラストパスを繰り出すパナギオティス・コネ、ギリシャ随一のドリブル能力を誇るイオアニス・フェトファツィディスと、攻撃力だけなら主力と遜色ないタレントがベンチにおり、彼らの投入によって攻撃パターンが変化する。また、37歳で中盤の主力を務めるカラグニスは、試合の終盤になると、若い日を彷彿とさせるような鬼気迫るドリブル突破からミドルシュートを敢行する。“ギリシャの魂”と言えるベテランの勝負強さにも気を付けたい。
基本システムは4-3-3と表記されるが、守備時はウィングが中盤のサイドまで引き、実質的な4-5-1を形成する。ブロックの手前ではコンパクトな組織をスライドさせながら、ボール保持者の縦を切り、中に入り込んで来る敵には容赦ないチャージを実行してくる。ウイングの守備意識の高さは事実上のサイドハーフと呼べるレベルで、サマラスとディミトリオス・サルピンギディスの粘り強いチェックは日本代表のサイドバックを苦しめそうだ。
堅固なブロックの中心部でバランスを取るのはアレクサンドロス・ツィオリスだ。本田圭佑とはちょうど攻守でマッチアップの関係になる。本田がツィオリスを引き付け、香川真司や岡崎慎司がDFラインの合間に入り込むスペースを作り出せばチャンスは拡大する。ツィオリスがフィルターとして機能しなければ、ソクラティス・パパスタトプロスを中心としたディフェンスラインにもギャップが生じやすくなる。そこを1トップの柿谷曜一朗あるいは大迫勇也がうまく突いて危険なフィニッシュに結び付けたい。
日本としては素早いパスワークと連動で守備組織を崩したいが、堅実なGKオレスティス・カルネジスが背後に構えるギリシャから流れで得点を奪うのは簡単ではない。ただ、チェックが厳しい分、自陣でのファウルが多いのもギリシャの特徴で、欧州予選でセットプレーとPKから6失点しているのもそのためだ。4年前のデンマーク戦のように、良い位置からの本田や遠藤保仁のFKが日本に勝利を呼び込む得点となるかもしれない。