2014.05.26

W杯の必読書ベスト5。『書店チェーン啓文社の社員』が推す第1位は……

『サッカーフリークの書店員によるブックレビュー』は、当サイトの運営会社である株式会社フロムワンの企業理念、「日本のサッカー文化の普及啓蒙」を推し進めるためのコーナー。現場のプロフェッショナルならではの視点で、サッカー文化の成熟を促す書籍をどんどん取り上げていきます。

 記念すべき初回の企画は「書店員一押し! ワールドカップをとことん楽しむためのサッカー書籍ベスト5」。今回は、書店チェーン啓文社の執行役員である児玉憲宗さんが、ワールドカップを満喫するための必読書5冊を紹介してくれます。

1位 オシムの言葉 増補改訂版

著者:木村元彦
出版社:文藝春秋
定価:本体690円+税

 数あるサッカー本の中で、私が最も感銘を受けた本がこれだ。そして、ワールドカップを理解し、より楽しむために最適の一冊とも言える。

 祖国の内戦、そして分裂を体験し、命の儚さを痛感したであろうオシムが、命をかけてサッカーを愛し続けてきたことを私たちは忘れてはならない。日本サッカーの発展に尽力を注ぎ、今なお、思い続けてくれることを忘れてはならない。

 オシムは、日本が強くなるためには、ファンやサポーターの力が必要だということを教えてくれた。オシムの言葉こそ日本サッカーの道しるべだ。だから、私たちは、オシムの教えに従い、もっと選手にプレッシャーを与え、大いに拍手を与えるためにスタジアムに足を運ばなければならないのである。

2位 南ア戦記

著者:塩澤幸登
出版社:メトロポリタンプレス
定価:1,500円+税

 日本代表が飛行機で南アフリカに旅立つシーンから始まり、大会を終え帰国直後の記者会見まで、2010年ワールドカップ南アフリカ大会での日本代表が詳細につづられている。各試合の内容だけでなく、記者会見やマスコミ論調など、あらゆる側面から日本代表を映し出しているのが興味深い。

 テレビにかじりつき夢中になっていたあの時がよみがえってくる。そうだ、ワールドカップはどの国にとっても、どの選手にとっても、壮絶なドラマだ。これを読めば読むほど、ブラジル大会が待ち遠しく思えてたまらない。

 そして、あとがきに書かれた、本書を書く上で必要だった膨大な資料を手に入れたエピソードもとても面白い。

3位 深読みサッカー論

著者:山本昌邦・武智幸徳
出版社:日本経済新聞出版社
定価:850円+税

 1998年トルシエ・ジャパンのコーチ、2002年アテネ・オリンピック日本代表監督、2004年ジュビロ磐田監督就任……経験豊富な解説者と日本経済新聞運動部の記者による対談集である。

 本書の一番の魅力は、裏話的エピソードの数々。「サッカー大国のプレッシャー戦略はメディアぐるみ」、「チーム抗争はこうして起きる」といったユニークで具体的な事例を挙げ、ワールドカップの魅力を際立たせてくれる。そして、豊富な情報量と分析力でグループリーグの予想や対策を楽しく解説する。

「コートジボワールが負けられない事情」、「ギリシアにとって、日本は大好物かもしれない」、「コロンビアが怖いのは、何よりも監督の実力」。こういった前情報を持って相手チームを見ると、ワールドカップの面白さは増すばかりだ。

4位 宮本式・ワールドカップ観戦術

著者:宮本恒靖
出版社:朝日新聞出版
定価:720円+税

 我らがツネ様の本である。著者は日本代表として、2002年日韓ワールドカップ、2006年ドイツ・ワールドカップに出場している。年代別代表からフル代表すべてで主将を経験している。日本人の元サッカー選手としては初のFIFAマスター修了。

 本書では独自の視点で、ワールドカップがいかに特別な大会であるかという入門的なテーマから、戦術面・技術面から見た日本代表の実力、そして本大会予想まで、幅広く解説している。その説明は理論的で説得力がある。何より、これだけの実績を兼ね備えた人の意見だけに信ぴょう性が高い。

「日の丸をつけて戦うことの重みは戦ったものにしかわからない」、「代表チームのユニフォームを着て本当に特別なこと」といった言葉も、宮本氏が語るといっそう重みを増してくる。

5位 サッカー選手の言葉から学ぶ成功の思考法2014

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編者:サッカーキング編集部
出版社:朝日新聞出版
定価:1,300円+税

 日本代表あるいはその経験を持つ現役プレーヤーに限り集められた言葉。新聞、雑誌あるいは、サッカー解説では語り尽くせない選手の本当の姿を感じ取ることができる。

 収められた言葉は222。最多掲載は、口を開けば飛び出る名言の宝庫、本田圭佑選手である。

「よくよく考えたら、一度も挫折したことないんじゃないかと」

 実はこのコメントは、今まで「『挫折の連続でした』と答えてきたんですが、最近、ちょっと変わってきて」と言った後に続いた言葉だ。ここまで読むと発言に対する感じ方が少し変わってくる。だから、コメントの横に添えられた解説も読み飛ばしてはいけないのである。

児玉憲宗(こだま・けんそう)
株式会社啓文社 執行役員店売本部長兼商品部部長
広島県、岡山県を中心に展開する書店チェーン啓文社の本部で働いています。『尾道坂道書店事件簿』(本の雑誌社)というエッセーを出しています。サンフレッチェ広島が好きで、Eスタによく行きます。実は私も15年ほど前から車椅子で仕事をしているので、自称「書店業界の羽中田昌」。啓文社の詳細はこちら
http://www.keibunsha.net