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新時代への突入、INAC神戸レオネッサ2014シーズン開幕直前レポート

2014.03.28

昨シーズン、国内の女子サッカーのタイトルを全て獲得したINAC神戸レオネッサ。四冠獲得のネクストシーズンは、主力選手の移籍や監督交代により、新しいチームへと生まれ変わりを遂げた。3/30(日)に開幕するプレナスなでしこリーグを前に、神戸レディースフットボールセンターを訪ねた。

チャンスをつかめるかは、自分次第

「チームの雰囲気はいいですよ。主力選手が抜けて、みんなに『やらなきゃ』っていう意識が見えるんです。周りからも『今年のINACは大丈夫か?』と思われている分、『大丈夫!』ってはっきり言えるように。みんな集中して取り組めていると思います」と語るのは今年キャプテンに就任した高瀬愛実選手。

昨シーズン、プレナスなでしこリーグカップ、プレナスなでしこリーグ、国際女子サッカークラブ選手権、皇后杯全日本女子選手権と目標に掲げた4つのタイトル全てを獲得し、日本女子サッカー史上初の四冠を達成したINAC神戸レオネッサ。その偉業を支えた主力メンバーのうち、川澄奈穂美選手とゴーベル・ヤネズ選手がともに、シアトル・レインFCへ8月末までの期限付きで移籍。また、完全移籍したのがチ・ソヨン選手(チェルシーLFC)、近賀ゆかり選手(アーセナル・レディース)、ベッキー選手(ポートランド・ソーンズ FC)と、昨年の主力メンバー5名が開幕にいないことになる。

昨シーズン、リーグ戦出場3試合1得点に終わった仲田歩夢選手は、「サッカーをやっている以上、試合に出るということが一番だと思うので、悔しかったですし、苦しい1年でした。今年は、INACに入団して3年目になりますし、自分でも勝負の年だと思っています。周りの応援して下さっている方やスタッフもそう感じていると思うので、期待に応えたいですね。主力選手が抜けて、チャンスだと思っていますが、それは他のメンバーにとっても同じ。チャンスをつかめるかどうかは自分の頑張り次第ですね。こうした、プレーに入る前の意識が昨年とは変わってきていて、そのことも、今良いプレーができていることにつながっているのかなと思っています」と仕上がりの良さに、笑顔をのぞかせた。

お互いに学び、成長していく

昨シーズンはコーチから昇格した石原孝尚氏が監督を務めたが、今シーズンは外部から招聘した前田浩二監督が就任。地域リーグやJの各チームでコーチや監督、GM、強化部長など男子のクラブで様々なポジションを経験し、今シーズンから女子サッカークラブの監督を務める。

「男子であろうと、女子であろうと、指導の本質は変わらないですし、指導をしたいというのも、男女関係ないですね。トップチームから育成をするというところも同じですし。コーチって、語源は馬車なんですよ。それは『導く』ということなんですよね。選手のサポートができ、監督も選手もお互いに学び、成長していくことができるんですよ」

サッカースタイルについては、昨年から大きく変わることはないと言う監督だが、「個人から組織へのシフトは必要ですね」と新チームでの対応も意識している。「昨年までの個の力での突破から、組織で崩し、組織で守る、ということですね。チームということを大切にしていきたいと思っています」。直前に迫った開幕については、「開幕戦はレギュラーシリーズ18試合のうちの1試合。まずは18分の1ととらえ、自然体で臨めたらと思いますね。もちろん、開幕という気負いはありますが、いつもやっていることが試合に出せるように、練習をハードにしています。今から楽しみにしています」と心待ちにしているようだった。

その前田監督から新しいポジションへのチャレンジを指示されたのが、レフティーの仲田歩夢選手。MFでも右サイドでプレーし、DFとしても練習を続ける。「練習のメニューでも、攻撃と守備両方に入ることがあって、どっちに集中すればいいだろうって戸惑うこともあるんですけど、複数のポジションができた方がいいと思ってやっていますね。サイドバックを任された時は、そこでしっかりと仕事ができないとダメだし。もともと前の選手だから、前で使われた時は当然仕事をこなさなきゃいけない。もどかしいところもありながら、今、一番頭を使っている気がします」と笑った。

新キャプテン・高瀬愛実

意外にも、人生初キャプテンを務めるという高瀬選手。「監督からお話を頂いた時は『自分ですか?』とびっくりもしましたけど、すぐに引き受けました。キャプテンに就任してから1ヶ月くらい経ちましたけど、重荷に感じることもなくできていますね。10代の頃から周りの様子を見たり、人を観察したりと、チームを見たりするのは得意な方だと思っています。ただ、昨年までは、気づいたことを発言まではしてなかったですね。今回、こういった役職について、より積極的に発言するようになったのかなと。前のナホさん(川澄奈穂美選手)は完璧なキャプテンだったと思います。プレーで見せてくれるし、周りも見えている。締めるところは締めるけど、常にガツガツしているわけでもなく力が抜けていて、自分のプレーにも集中できている。人前に立った時の発言でも、『チームを代表しているだけあるな』と思っていました。粗探しをしても全然出てこないんですよ(笑)。でも、自分はああいう風になろうとは思っていませんし、意識もしていません。自然体でいこうと思っています。なろうとしても無理ですしね」と笑った。

スタッフからも今年は表情がいいと評判の高瀬選手。チームとしてのテーマは「充実」だという。「個人としてもチームとしても、結果も中身も良かったと思えるような充実感のある1年にしたいですね。今、チームの雰囲気もとても良いですし、この前(3/23)の沖縄での大学全米チャンピオンであるUCLA Bruinsとの試合も3-2で勝って、良いイメージで終われたので、良い形で開幕戦に臨めるかなと思います。個人的には、昨年は、一昨年に比べたら得点は伸びなかったですけど、選手として成長できた良いシーズンだったと思っています。ただ、FWとしてもナホさんやベブ(ゴーベル・ヤネズ選手)に甘えていたところもあったと感じています。今シーズンはFWでも自分が一番歳上になるので、甘えられなくなる。キャプテンになったのも、自分が成長できる良いチャンスだと思っています。うまくいかない時も自分をうまくコントロールしたり、コンスタントに結果を残すことができれば、自分も成長したなって思えるし、自分自身納得できる選手になれるのかなと思います」

新生INAC神戸は、3/30(日)ホーム・ノエビアスタジアム神戸で浦和レッドダイヤモンズレディースと対戦。13:00キックオフの笛が待たれる。

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