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世界の頂点に立ったバイエルン、ラジャ・カサブランカも大健闘!/TOYOTA プレゼンツ FIFA クラブワールドカップ モロッコ 2013

2013.12.24


文=白坂隆三 写真=Getty Images

 大会史上初めてアフリカ大陸で開催されたTOYOTA プレゼンツ FIFA クラブワールドカップ モロッコ 2013(12月11日~21日)は、欧州代表のバイエルン(ドイツ)が決勝で、開催国代表のラジャ・カサブランカ(モロッコ)を2-0で下し、初優勝を飾った。前半7分にダンチ、22分にチアーゴ・アルカンタラがゴールを決め、序盤から優位に展開。ショートカウンターを浴びてヒヤリとする場面もあったが、安定した最終ラインとGKマヌエル・ノイアーの落ち着いた守備で零封。手堅い試合運びで初の世界王者に君臨した。圧巻だったのはアジア代表の広州恒大(中国)との準決勝。スコアこそ3-0だったが、ボール支配率は7割を上回り、シュート数は27本対2本と圧倒。枠内シュート数に至っては0本に抑え、アジア随一の攻撃力を誇る広州恒大を完膚なきまでに叩きのめした。大会MVPを獲得したフランク・リベリーを軸に、トーマス・ミュラー、トニ・クロースらアタッカー陣の破壊力に加え、常に相手にプレスを掛け続ける組織的なディフェンスも盤石。アルイェン・ロッベン、バスティアン・シュヴァインシュタイガー、ホルガー・バトシュトゥーバーといった主力3選手をけがで欠きながら、チアーゴ・アルカンタラ、シェルダン・シャキリ、マリオ・ゲッツェらが遜色ない働きを見せ、まさに”横綱相撲”の強さで、世界の頂点に立った。

 ただし、今大会の主役はそのバイエルンに決勝で敗れたラジャ・カサブランカだろう。下馬評は決して高くなかったが、初戦でオセアニア代表のオークランド・シティーFC(ニュージーランド)を終了間際の劇的な決勝弾で破ると、続く準々決勝では北中米カリブ海代表のCFモンテレイ(メキシコ)に押し込まれながらも延長戦の末、2-1と撃破。守護神ハリド・アスクリを中心とした堅守とキャプテンを務めたムフシン・ムトゥアリを軸にした速攻に自信を深め、熱狂する地元サポーターの勢いも得て快進撃。準決勝では優勝候補と目されていた南米代表のアトレチコ・ミネイロ(ブラジル)相手に数少ないチャンスを確実にものにし、3-1と大番狂わせを演じた。決勝では前述のとおり、バイエルンの前に力尽きたが、それでも決定的なチャンスを何度も作り、マラケシュのスタジアムを埋め尽くした3万7774人の大観衆を沸かせた。

 逆に期待外れに終わったのは、“ジャイアント・キリング”の餌食となったアトレチコ・ミネイロ。準決勝のラジャ・カサブランカ戦では、序盤の決定機を何度も逃すうちに先制点を奪われ、最後まで流れを取り戻せずに完敗を喫した。3位決定戦でも広州恒大に先行を許し、しかも大黒柱であるロナウジーニョが相手のラフプレーに激高し一発退場。絶体絶命の窮地に陥ったが、終了間際のルアンの決勝弾で逃げ切り、なんとか南米王者の面目を保った。

 また、2年連続5度目の出場となったアフリカ代表のアルアハリ(エジプト)はダークホース的存在として注目されていたが、地の利と過去の経験を生かせず、5位決定戦でもCFモンテレイに1-5と大敗。いいところなく大会を去った。

 さて、地元の人気クラブの決勝進出も手伝い、1試合平均で約3万5000人ほどの観客動員に成功した今大会。国内外のメディアでも大きく報じられ、初のアフリカ大会開催の意義を十分に果たした。また、来年12月には再びモロッコでの開催が決定しており、本大会に向けての各大陸予選はすでに動き始めている。北中米カリブ海代表を決めるCONCACAFチャンピオンズリーグはベスト8が出そろい、欧州代表を決めるUEFAチャンピオンズリーグも2月から3月に懸けてラウンド16が行われる(連覇を狙うバイエルンはアーセナル〈イングランド〉と激突)。さらにアジア代表を決めるAFCチャンピオンズリーグも2月末よりグループリーグの戦いがスタート。日本からはJ1リーグ1位のサンフレッチェ広島、2位の横浜F・マリノス、3位の川崎フロンターレと、第93回天皇杯覇者の計4チームが出場する予定だ。2008年のガンバ大阪以来となるアジア王者の座を奪還し、モロッコ行きのチケット獲得を目指すことになる。

 1年後、アラビア語で「日が沈む大地」を意味する“マグリブ”には、果たしてどんな輝きを持ったチームが世界中から集結するだろうか?

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