
<9月17日>
三田:14日にホームの国立競技場で行われた浦和戦は、東京が3-2で勝利。リーグ戦で浦和に勝つのは実に9年ぶりですね。
前田:ここまで苦手というか、勝てないのも珍しいよね。その間に、自分たちも相手もメンバーがかなり入れ替わったりしているのに。でも、それだけ浦和が常にレベルの高いチームだということだと思う。
逆に東京は、その間の年間順位は2009年の5位が最高で、リーグ戦ではそれほど結果を残せていない。一方の浦和はACL(アジア・チャンピオンズリーグ)で優勝したこともあるし、やはり力の差があったということだよね。
三田:そうですね。ナビスコ杯や天皇杯では東京が勝った試合もありますが、リーグ戦ではどうしても勝てませんでした。しかも今回は互いにほぼベストメンバーで、浦和も上位にいる状態での勝負。この喜びは格別ですね。
前田:観客もかなり入ったし、盛り上がったね。やはり2020年の東京五輪開催が決まった後の国立競技場での試合というのもあったし、このタイミングで浦和との対戦なのはよかった。サポーター同士の盛り上がりもすごかったし、観客は3万5000人くらい入ったよね。
相手が浦和ということを考えると、本当はもっと入ってもいいくらいだけど。東京の今の実力とか人気がまだまだということかな。
三田:やはり、これを満員にすることが目標ですね。さて、この試合も前節に続き3バックの布陣でスタートした東京ですが、試合中にシステムの変更がありました。
前田:広島戦も3バックで相手とがっぷり四つの戦いだったけど、浦和も同じシステムということで、この試合も最初は3バックで入ったよね。
ただ、徳永とルーカスの右サイドが、槙野と宇賀神にかなりはがされて、そこから崩されつつあった。それでもセットプレーから張がヘディングで先制点を取ったし、前半20分くらいに4バックに変更してからは守備が修正されたよね。
三田:3バック同士だからといって、うまくはまるとは限らないんですね。
前田:そうだね。局面的に1対1の場面は出てくるけど、相手がリスクを負ってもう1枚後ろから上がってくれば、こちらは数的不利になる。後半の途中までは、はっきり言って主導権は浦和が握っていたよね。
東京は自分たちのサッカーをするというよりも、浦和のサッカーをさせないことに必死な感じがした。ポポさんはそんなことはないと言うかもしれないけど、なかなか自分たちのサッカーができなかったよね。
東京がボールを奪われて、浦和が主導権を握って、東京がそれを阻止しようとする。その繰り返しだった。ゴール前までいく迫力ある攻撃は少なかったし、あまり見ごたえあるゲームができたとはいえない。でも、こういう試合こそセットプレーが鍵になるんだよね。
それを東京がうまく、同じサイドから3本決めることができた。2点目は、こぼれからのクロスを森重がヘッドで入れた。それにしても、この試合の5得点全てがヘディングというのは、このゲームを象徴しているよね。お互いの良さを消し合うサッカーだったということ。
三田:両チーム合わせて5得点が全てヘディングというのもなかなかないですよね。
前田:先制した後も浦和に主導権は握られたけど、またもやセットプレーで追加点を取れた。そのチャンスを効果的に生かせたというのは、東京としては珍しい。ただ、後半立ち上がりは立て続けに2点を取られてしまった。
東京の選手たちは、前半を2-0でリードして、後半は何となく受けて入ってしまったような感じだよね。本当は0-0のつもりで、もう一度最初からやるという気持ちで点を取りにいくことを目指せば、また違った展開になっていたかもしれない。
悪い意味での余裕が生まれてしまったね。1点ならまだしも、立て続けに2点を取られてしまったというのは、東京のメンタル的なもろさが出てしまった。
三田:追い付かれた後、選手交代は浦和の方が早く動きましたね。
前田:相変わらずポポさん動くのが遅いよね。浦和の選手に疲れが出ているのは分かっていたし、このゲームは既にヘディングで4点も入っていただけに、高さのある平山をもっと早く入れてもよかったと思う。
浦和が原口に代えて鈴木啓太を入れたところで、ようやく東京も平山とナオ(石川)を入れたよね。この2人が入って、前線でボールを追ってくれたのはよかったね。
三田:石川選手は特に、必死に走っていましたよね。
前田:かなり守備をしていたよね。浦和もDFラインでボールを回しにくくなるから、それをすごく嫌がっていた。珍しく宇賀神が脚がつって交代したり、浦和も運動量が落ちたよね。
だから徐々に浦和もパスが回せなくなって、そこから東京のペースになり、あのFKが生まれて平山のゴールにつながった。たまたまではなくて、それまでの平山とナオの献身的な前線からの守備がああいう流れをつくったんだと思う。
三田:平山選手の動きといい、ゴールといい、評価する声は多いですね。会見でも質問が出ましたが、ポポさんは平山選手について、今までと同じように「大きなけがで長い間実戦から遠ざかっていたことを忘れてはならない。まずはコンスタントに試合に出て結果を出すことが大事だ」とコメントしていました。
前田:うーん。でも、今季これまでだって途中出場はしているけど、コンディションは全然悪くないし、体にもキレがあるよね。けがをする前と比べてどうかと言われたらまだ100%ではないかもしれないけど、かなり動けていると思う。
このコラムでも平山をもっと使ってほしいと再三言ってきているけど、監督としては、今の先発メンバーが特別悪くはないのに、わざわざ変える必要はないということなんだろうね。
三田:ポポさんは平山選手について、「以前は試合に出たらゴールを決めなくてはというプレッシャーがあったが、最近はそのプレッシャーから解放されてきた」とも話しています。
前田:プレッシャーから解放されて、リラックスできたからゴールを決められたということなのかな。本当にそうかどうかは分からないけどね。今までは、千真(渡辺)の調子がいいから代える理由がなかったんだと思う。
実際に千真はかなり点を取っていた。でも、このところ前ほどは点を取れなくなってきているし、その言い分も通用しないから、平山のコンディションのことを言っているんじゃないかな。けがはずっと前のことなんだし、今使わなかったらいい時期を逃してしまうと思うけどな。今までそうやってなかなかチャンスをもらえない選手は結局、他のチームに移籍してしまったよね。
三田:アピールしようにも試合に出なければ結果も残せないですし、試合に出てこそコンディションが上がるということもありますよね。
前田:そうそう。いくら練習試合で良いパフォーマンスをしても公式戦とはレベルが違うからね。ただ、チームにとっても今は本当に、上位に行けるか下位に落ちるか微妙なところだから、あまりチャレンジしたくないというのはあると思う。
リスクを負って先発メンバーをいじるよりも、そのままやった方が結果はある程度読める。そして平山を途中から出すというパターンで行った方が、無難ではあるよね。
三田:平山選手はもらった時間の中で最善のパフォーマンスを出すという姿勢で、粛々と頑張っていますよね。これからも他の選手たちといい競争をしながら、より多くのチャンスをつかんでほしいですね。
前田:そうだね。平山はあのヘディングシュートだけでなく、左サイドに流れて攻撃の起点をつくったり、チャンスメイクしていた。もっと使ってほしいなあ。
三田:太田選手とのコンビでの得点も目立っていますね。
前田:すごく分かりやすいよね。平山は以前から「よーいドン」でハイボールを競ることに自信を持っていたけど、それだけだと相手DFのマークもあるから、なかなか思うようにヘディングができなかった。でも、このところはずっと、DFの前に入っていく意識が見られる。
前から言っていたけど、彼がそれを身に身につければもう怖いものはないんだよね。彼もそれがだんだん分かってきたのか、広島戦、横河戦、そして浦和戦でも、太田のクロスにニアで合わせたよね。
相手DFも、彼のような高さがある選手に前に入られると怖い。点を取るためにより可能性の高いところを探り出して、常に狙える意識を持っている。
今までは、何でクロスに対して前に入らないのか、後ろで待っていて「よーいドン」だけじゃダメなのにと思っていたけど、今は自分でもイメージしやすくなっているのかもしれない。周りの選手たちも、平山が入ることによってターゲットがはっきりして狙いやすいよね。
三田:平山選手が本来の得点能力を発揮してくれたら、チームにとっては本当に大きな武器ですね。ところで、浦和戦では試合中に3バックから4バックにうまく変更できたことで、流れが自分たちに傾いたとポポさんが話していました。
前田:今までも試合中、逆に4バックから3バックに変えたり、ゲームによっていろいろいじっていたのが、今回はたまたまうまくいったということだと思う。今までもやっていたから、選手たちもすんなり順応できた。
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