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モナコのファルカオ、チームの好スタートに手応え「予想以上に早く機能している」

2013.09.20

[ワールドサッカーキング1003号掲載]

名だたるビッグクラブが獲得に名乗りを挙げた中、このストライカーは新天地にモナコを選んだ。移籍決断の理由、高額な年俸を揶揄する声に対する思い、野望を胸に、ラダメル・ファルカオがすべてを語る。
ファルカオ
インタビュー・文=ミシェル・デスラック Interview and text by Michel DESLAC
翻訳=石橋佳奈 Translation by Kana ISHIBASHI
写真=ゲッティ イメージズ Photo by Getty Images

 王者パリ・サンジェルマンを抑え、堂々の単独首位。これが、第4節を終えた時点での“昇格クラブ”モナコの立ち位置だ。

「チームは予想以上に早く機能し始めている。それは、十分に考え抜かれた上で補強が実行された証でもあると思う」

 同僚のエマニュエル・リヴィエールに続く形で得点ランキングの2位に付けるラダメル・ファルカオは、好調なスタートを切った新チームをそう分析する。

 大いなる野望に向けて、この夏、モナコが実行した「考え抜かれた上の補強」。その中心となったのは、「ファルカオ」という名の世界屈指のストライカーだ。

 野望の中心で、ファルカオは“壮大なゴール”を目指す。

人生は自分で決めるもの

――早速だけど、レアル・マドリーやチェルシーから誘われていた君が、なぜモナコを選んだのかな? 多くの人が「金のための移籍」と言っているけど……。

ファルカオ あれこれ言われることを全部まともに受け取めていたら、僕はとっくにサッカーをやめているよ(笑)。立場上、とやかく言われるのは仕方ないけど、人生は自分で決めるもの。ここに来れば周りからどんなことを言われるかは想像がついていた。でも、今回の決断は家族と十分に話し合った上で決めたことだ。ディミトリー・リヴォロフレフ会長がこのクラブで何をやりたがっているのかも僕には分かっている。僕はそのプランの実現のために誘われた。それだけのことさ。

――モナコが君を獲得できたのは、アトレティコ・マドリーに6000万ユーロ(約78億円)の移籍金を、そして君本人に手取り1000万ユーロ(約13億円)以上ものサラリーを払ったからだ。移籍はつまり、リヴォロレフ会長の財力が決め手だったということになるのかな?

ファルカオ それは欧州のどのビッグクラブでも同じことだし、このクラスの移籍になれば、もちろん金は重要になる。モナコはリーグ・アンに昇格したばかりだけど、「短期間でビッグクラブになる」という挑戦のために、この夏、大型投資を断行した。もちろん、自分の報酬が気にならないと言ったら嘘になる。だけど、モナコには資金力だけでなく魅力的なプロジェクトがある。そして、「そのプロジェクトの中心は君だ」とクラブから言われるなんて、これ以上ない魅力的な話じゃないか。なるほど。

――でも、一部では「A・マドリーから直接R・マドリーに移籍することがままならなかったため、一時的にモナコに在籍し、次の1月か6月にR・マドリーに移る」とまで言われているね。

ファルカオ 自分に関係するでたらめな記事をすべて訂正するほど暇じゃない。選手としてある程度有名になってからは、根も葉もないうわさを流されっぱなしさ(苦笑)。確かに、行き先は他にも考えられたけど、モナコと長期契約を結んだのは僕だ。誰かに頼まれてモナコと契約したわけじゃないし、このクラブで僕は全力を尽くすだけさ。ただ、

――モナコは今シーズン、チャンピオンズリーグ(CL)に出場しない。君のようなトップレベルの選手にとって、それはフラストレーションにならない?

ファルカオ CLの舞台で戦えないのはもちろん残念さ。ヨーロッパに来てから、CL出場は僕にとって大きな目標の一つだけど、CLのピッチに立てたのはポルト時代(2009-10シーズン)の8試合だけ。ただ、リーグ・アンで良い成績を残せれば、来シーズンの出場枠を獲得できる(編集部注:上位3チームに翌シーズンのCL出場権が与えられる)。モナコは将来、CLの常連になると言われているし、会長も、数年後にはCL優勝を目指せるようなクラブを築き上げたいと願っている。今シーズンは、その夢を実現するための第一歩だ。

チームは予想以上に早く機能し始めている

――今シーズンのモナコの戦力については、どう分析しているの?

ファルカオ 自分を含め、1年目の選手が多いこともあって、まだ手さぐりの状態だ。ロッカールームやトレーニングでお互いを知ろうと努力している。同胞のハメス(ロドリゲス)やスペイン語を話すルーカス(オカンポス)、リカルド(カルヴァーリョ)はいいとして、それ以外の選手とは言葉の問題がネックになって意思疎通がなかなか図れない。このチームには様々な国籍のプレーヤーがいる。みんなとうまくコミュニケーションを取るのは大変だけど、それもいずれ解決すると思う。みんなで努力すればいいだけだからね。

――クラウディオ・ラニエリ監督は選手たちと何語で話すの?

ファルカオ 一度にスペイン語とイタリア語とフランス語を織りまぜて話すこともある。ある言語から瞬時にまた別の言語へと、自由自在に切り替えができるすごい監督だ。過去、いろいろな国で指導を行ってきたラニエリは、今のモナコのように多国籍の選手で構成されるチームを引っ張っていくのにぴったりだと思う。

――5月末に契約を交わした時点で、これほど強力なチームになると思っていたかい?

ファルカオ もちろんさ。会長は最初の話し合いの時からクラブの戦略を伝えてくれていた。トップレベルの実績ある選手と将来性のある若手で構成されるチームを作りたいという話だったけど、実際にそのとおりになっている。だから、夏の間に選手がたくさんやって来たことにも全く驚いてない。このチームには競争力があり、若くてパワーに満ちていて、野心に溢れている。

――モナコはリーグ第4節を終わった時点で既に首位に立っている。最高のスタート? それとも意外だった?

ファルカオ メンバーに大きな変更があったチームが、チームとしてきちんと機能するまでにはそれなりの時間が必要になる。しかも、モナコはリーグ・ドゥから上がってきたばかりだしね。だけど、チームは予想以上に早く機能し始めている。それは、十分に考え抜かれた上で補強が実行された証でもあると思う。ただ単に知名度の高いプレーヤーが選ばれているわけじゃない。チームとしてのバランスはどうか、一人ひとりの順応性はどうか、若手とベテランの割合はどうか、そういったことがすべて考慮されているんだ。フロントが素晴らしい仕事をしたということさ。良い補強ができれば、今の僕らのように素晴らしいシーズンのスタートが切れるということだね。

リーグ・アン初挑戦のファルカオが、リーグの印象、優勝争いに言及。インタビューの続きは、ワールドサッカーキング1003号でチェック!

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