2013.07.09

なでしこレジェンドたちが、女子サッカーのまち・大和市に集まった!/大盛況だった女子サッカーイベントを主催した神奈川県大和市の取り組み

なでしこレジェンドたちが、女子サッカーのまち・大和市に集まった!/大盛況だった女子サッカーイベントを主催した神奈川県大和市の取り組み
文●上野直彦

 半田悦子、今井(長峰)かおり、野田朱美、矢野喬子…女子サッカーファンたちにとって憧れの歴代代表選手たち「なでしこレジェンド」が、初めて一同に会した――。

 梅雨明けも迫った7月6日、神奈川県大和市の大和スポーツセンター競技場に、サッカー女子日本代表OGで結成する「なでしこレジェンド」が全国各地から集合した。メンバーはアトランタ五輪から、ドイツ女子W杯・ロンドン五輪の世代までさまざま。このメンバーが午前中は地元の少女少年にサッカークリニックを開き、午後は女子サッカーチームと交流試合を行った。

 このイベントは日テレ・ベレーザやアトランタ五輪で活躍し、現在は大和市職員でスポーツ課・女子サッカー支援担当(!)の小野寺志保さんが企画。また日本サッカー協会(JFA)の特任理事を務める野田朱美さんが、とりまとめる日本代表OG会が中心となって、今回のイベントは実現した。

 当日、集まった子供の数は130人以上、予想の100名をはるかに上回るものだった。また客席もサッカーファンや地域の人々で埋めつくされ、「女子サッカーのまち」を目指す大和市民の強力なバックアップを感じさせた。照りつける太陽の下、クリニックや試合に、元代表もサッカー少女も、いっぱい汗をかきながらボールを追っかけていた。イベントは予想以上の盛り上がりをみせた。

「こんなに集まってくれたのが本当に嬉しい。私自身も昔から憧れの選手だった長峰(現・今井)かおりさんと、クリニックの時に同じ組で、名前を呼んでパスもらった時は感激しました。子供達一人一人の喜んでいる表情を見て、サッカーをやっていて良かったとつくづく思いましたね」と小野寺さん。このイベントが実現するまでの経緯を聞いてみた。

「発端は、野田さんのすすめで女子代表OG会に出席したんです。集まってお喋りも楽しかったのですが、何か目的がないと集まる楽しさがないよね、というお話が出ました。だったら大和市で何かイベントができるんじゃないかと思い、翌日に企画書を書きました」

 これがキックオフ。まず配属先のスポーツ課から上にあげていき、市の賛同を得た。そして日本サッカー協会と調整を重ね、今回の開催となった。


左:OG会のまとめ役、野田朱美 右:なでしこレジェンド今井(長峰)かおり

「なでしこレジェンド」の中心メンバー・野田朱美さんは、こう話してくれた。

「元代表の選手たちと、こういう形で、今の代表ユニフォームを着てプレーできたことが、すごく新鮮。サイズが合ったので私は⑧番を着けたのですが、宮間選手に写真を送ろうかと思いました(笑) イベントは大人たちも子供たちと一緒になって楽しんでくれました、これがサッカーなんですよ。懐かしい顔ぶれを見てたら、みんな変わってないなと思いました。まぁ、プレーは走れなかったりとか、ちょっと変わりましたけどね(笑)」

 また野田さんはこのイベントを、別の角度からも見ていた。

「日本女子サッカーの普及という一番大きな課題を、一般社会に出て、いろんな経験をした私達が、いろんな人達・いろんな世代へ伝えていくことが大事なんです。ボトムアップの普及策にもつながる。またサッカー界全体にとっても、女性がこんなに頑張っているという姿を多くの人に見てもらいたい、いろんな方々にメッセージを伝えたいんです」

 女性、社会、サッカー…レジェンドたちの何かを変えたいという熱い気持ちは、現役時代の頃の熱い気持ちと何ら変わっていない。そしてさらにその目は、このイベントを今後大きく発展させることに向けられているようだ。野田さんは続けた。

「今回を基盤にして、今後は全国でやっていきたい。お声掛け頂けたら、いろんなところで開催できればと願っています。例えば関西地方でやれたら、関西在住の元選手も多くが協力してくれると思います。そして最終的には福島で開催できればと考えてます。まずはこれだけの人が集まったくれたことが、全てのスタートですね」


左:なでしこレジェンド半田 悦子 右:なでしこレジェンド東明有美

 また今回は、レジェンドメンバーも憧れる女子サッカーの草分け・半田悦子さん(常葉学園橘高校・女子サッカー部監督)も参加していた。

「引退してから、こういう風に代表ユニを着るのは初めてです。いい環境で元気のいい子供たちと接することができ、サッカーって改めていいなと思いました。サッカーの楽しみを知ってほしい。そして長く続けてほしい。今後もこのイベントが続いてほしいですし、全国でやれればいいですね」

 世代は違っても思いは同じのようだ。今後、このイベントが全国のあちこちで開催される日も、そう遠くないことだろう。

 午後の試合終了後に小野寺さんが、素敵な夢を語ってくれた。

「予想以上の成功でしたね。OGの人もみんな言っているのですが、今回で終わらせるのはもったいないって。これからも継続したいですし、大和を『女子サッカーの聖地』にしたいです。今回はたくさんの子供たち、お客さん、そしてOGの方に来て頂いて、本当に心から感謝しています」

 汗を流しながらそう言い残し、用具の後片付けに駆けつけていった小野寺さん。彼女の女子サッカーへの夢は、歴代のなでしこ選手たちの後押しを受けて、いつか大きく花開くことを期待したい。そしてそこから蒔かれた種が、新しいサッカー選手を生み、新たなレジェンド(伝説)を生んでいく―このイベントはその始まりだったのかもしれない。

※大和市では、今後も女子サッカー発展のため様々なイベントを準備しています。今月開催の「大和なでしこカップ2013」の詳細はこちら。
http://www.city.yamato.lg.jp/web/sport/sport01212038.html
または、大和スポーツセンター内市スポーツ課(046-260-5763 )にお問い合わせください。