日本人を中心としたカタルーニャ州リーグに参加するサッカークラブ「アルビレックス新潟バルセロナ」。サッカー人、国際人として日本を担う人材へと成長させることを目標としているスペインサッカー留学プログラムで、選手としてプレーをしながら、本場のサッカーを肌で感じ、語学を学び、現地で生活をしている留学生の声をお届けします。今回は現在プログラムに参加中の男女2名に、現在の様子をインタビューしてきました。
【プロフィール】
―――まずはお二人のサッカー歴を教えてください。
吉田麗子(以下、麗子) 9歳のとき地元の少年団ではじめてから、中・高校は横須賀シーガルスFC、大学はアメリカに留学しケンタッキー州の大学でプレーしました。2013年に帰国して横浜FCシーガルスでなでしこを目指していました。
涌井駿人(以下、駿人) 僕は4歳からはじめて、地元の少年団、中学は部活動でプレーしていました。実は高校ではプレーしていないんです。
一同 エッ!(驚き)
麗子 よくそれでプレーしているね。
駿人 まぁなんとかなっています。不安はかなりありましたけど、ワクワク感も大きかったです。ゼロの状態からスタメンを目指すことができますどんなレベルでも受け入れてもらえるのがこのプログラムのいいところですね。
―――なぜ、アルビレックス新潟バルセロナに参加しようと思ったのですか?
麗子 私の中には「海外」というものがずっとあって、それがサッカーをやりながら近づければもっといいな、と思っていた時このプログラムと出会いました。アルビレックスというしっかりした組織で運営されていますし、語学を学べたり、サッカー界のスペシャリストにも会える。自分のキーワードである「国際人」を養成するためのプログラムというコンセプトに惹かれました。
駿人 サッカーをもう1回やろうと思ったんです。いろいろとあって高校でサッカーを辞めました。でもどうしてもそのままでは終われなくて、スペインという最高の舞台・環境でサッカーをとことん楽しんでみようと思いました。バルセロナが好きだったということもあり、バルセロナを身近に感じて生活できるのも魅力でした。スペイン語をマスターしてバルサの選手が何を話しているのか理解したかったというのも動機ですね。
―――生活面なども含め、バルセロナの街はいかがですか?
麗子 すべてがコンパクトにまとまっている街です。ほどよく都会と自然が融合していて快適。しかも街中にサッカーが溢れているので、サッカー好きにとっては天国ですね。
駿人 日常の会話にもバルセロナをはじめとしたサッカーの話題がどんどん出てきますし、サッカーやっていると言うとすぐに友達なれる(笑)。まさにサッカーの街という感じです。
麗子 私はアルゼンチン人の女性と一緒に住んでいるのですが、普段からスペイン語を使えるし快適ですね。料理も好きだしお金の節約にもなるので、ほぼ3食自炊です。もともと好きだったパスタがとてもおいしくて、まったく不自由していません。
駿人 僕もチャーハンとか簡単なものですけど、結構作ります。自分にとっては、バルサのお膝元で生活している感覚はたまらないです。毎週末は仲間と集まり、バルセロナの試合を観ながら盛り上がっています。いつか選手と街中でバッタリ会えたりしないかと期待しているのですが、まだないですね(笑)。
麗子 トレーニングや語学レッスン以外の時間は、サッカー関係者に会いに行ったり、日本語を習いたいスペイン人を見つけてコミュニケーションしたり、人脈作りをしています。地元の友達も結構増えてきて、一緒にご飯も行きます。やはり会話ができるようになると一気に輪が広がりますね。最初は家と学校とグランドだけを行き来する感じだったんですけど、 行動範囲がグッと広がりとても楽しくなってきました。
―――日本との違いも含め、プレー面ではいかがですか?
麗子 スペインの女子サッカーについて、あまり情報はなかったんですが、個人のスキルでは日本人の方が上かなと思います。ただ、日本人がスペインに来てすぐに通用するかといえば、それは違う話ですね。言葉の壁もあるし、サッカー自体が違うと感じます。思っていた以上に攻守両面にチームの戦術・ルールがしっかりあって、チームとして戦っている。「自分たちはこういうサッカーする」というのがしっかりあります。もっと個人技を出してとガツガツ来ると思っていたのでそこは予想外でした。
駿人 アルビレックス新潟バルセロナも、戦術・チームのルールはとても多いです。チームとしての戦い方があって、それに選手を当てはめていく。試合前のミーティングはとても長くて、細かいところまで突き詰めていきますね。ポジションごとに役割が明確にされているし、練習もそれにあったトレーニングをします。
麗子 ファールの仕方やもらい方など、試合の中での相手との駆け引きがうまいです。自分たちのサッカーをするという以上に、相手のサッカーをさせないようにするのという感じですね。あと、ファールの基準が違っていて、フィジカルコンタクトなど接触プレーに関しては日本よりもファールをとられやすい気がします。もっとガツガツくると思っていたんですけど、そのあたりはうまく慣れていかないといけませんね。
駿人 男子はガツガツきます。球際も激しいですしね。でもファール受けた時にの痛がり方が大げさですね(笑)。あとは、どこも監督が熱い! アルビレックス新潟バルセロナのヘスス監督もそうで、 最近でこそ少なくなってきましたけど、シーズン前半戦では審判への抗議でカードをもらうことが何度もありました(笑)。でも、自分たちのことをよく観ていてくれている良い監督です。3シーズン目ということもあり日本人の特性も理解してくれていると思います。