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視聴者とクラブの架け橋になりたい 林 悠哉(株式会社テレビ埼玉 『REDS TV GGR』プロデューサー)

2015.04.13
テレビ埼玉 林 悠哉

 浦和レッズは、日本を代表するサッカークラブだ。サポーター数が非常に多く、熱狂的な応援で知られる。2006年にはJ1リーグで年間優勝を達成し、翌年には現行のAFCチャンピオンズリーグを日本のクラブで初めて制覇した。そのクラブを、前身番組である『GO! GO! REDS』時代から20年以上にわたって応援し続ける『REDS TV GGR』という番組がある。今回は、番組の制作プロデューサーを務める林悠哉さんが、番組制作やサッカー、そしてレッズに対する思いを明かした。

「多くの人の心を動かしたい」

 林さんがテレビ業界に入ったのは、アーティストのライブで見た演出がきっかけだったという。

「大学生の時、東京ドームにあるアーティストのライブを見に行ったのですが、演出のすごさに心を強く動かされました。作り手側からすれば、私は何万人の観客の中の一人に過ぎないのですが、私自身が受けた影響はとても大きかった。そのライブを機に、私もエンターテインメント業界に入り、演出で多くの人の心を動かしたいと思うようになりました」

 2001年に株式会社テレビ埼玉に入社すると、最初の4年間は主に番組のスポンサー営業を担当した。その後、関連会社である株式会社テレビ埼玉ミュージックに出向し、音楽番組のプロデューサー業務を始める。そして2010年、テレビ埼玉で『REDS TV GGR』のプロデューサーに就く。

 プロデューサーの具体的な仕事内容は、主に番組制作に方向性を示すことだという。企画の考案に始まり、予算の管理や出演者の交渉、番組ロケのコーディネートなど多岐にわたる。また、番組の構成や内容を見て、当初の方針からズレていないか、倫理的に大丈夫か、伝えたいことは伝わっているか、などのチェックも欠かせない。特に気を遣うのは、スポンサーへの対応や番組の内容を決めることだという。

「『GGR』は浦和レッズの応援番組なので、チームの成績や試合の結果によって構成が全く違うものになります。内容を決める際は常に試合結果を踏まえ、ありとあらゆる可能性を考えて番組編集を行う必要があるんです。また、選手を紹介する際はその時の状況や心情なども考慮に入れ、インタビューや撮影などの取材では細心の注意を払っています」

 そうやって苦労を重ね、思い描いていたものを形にできるのがやりがいになるという。

「たった一人では番組は作れませんが、自分の企画したものが、たくさんの方たちの力を借りて番組となり、視聴者の方々に届けられる。そして、その放送を見た方々から、自分が学生の時に心を動かされたのと同じような反応が返ってくると、とてもうれしく感じます」

「視聴者とクラブをつなぎ、相乗効果をもたらす存在に」

『REDS TV GGR』は、前身番組から20年以上続いている長寿番組だ。林さんはプロデューサーを担当することになった当時の苦労を次のように振り返っている。

「浦和レッズは日本の中では非常に人気があり、大きなクラブです。そんな人気クラブの番組を担当できることになり幸せを感じました。ただ、サッカーについてあまり詳しくなかったので、戦術や選手についていろいろ勉強しました。自分が担当になって、つまらなくなったとか、視聴率が落ちたとか言われるようになったら困りますからね」

 今となっては意外なことのように聞こえるかもしれないが、林さんがサッカーに深く関わるようになったのは『REDS TV GGR』のプロデューサーになってからだという。

「子供の頃は野球少年でした。サッカーはヨーロッパなどでは大きな市場があり、競技人口も多く、子供から大人まで楽しめる魅力的なスポーツですよね。野球では投球術などテクニック面を考察することが面白いと思っていますが、サッカーにはそういった技術論にとどまらない魅力がたくさんあると感じました。監督の哲学や色がプレーに出ますし、クラブの方針や姿勢が成績にも影響しているような印象もあります」

『REDS TV GGR』の構成では、浦和レッズが伝えたい情報、視聴者が知りたい情報、そして自分たちが届けなければならない情報を、バランスよく伝えられるよう心掛けているという。

 番組の担当プロデューサーになってからは、選手の素顔をより多く届けられるようにとインタビュー企画や試合以外のオフショットを多く取り入れるなど、林さん独自の色も出している。その中で、林さんは『REDS TV GGR』が視聴者とクラブの架け橋になってほしいと、強く願っている。

「私はプロデューサーとして内容を調整し、番組の責任を負わないといけない立場にあります。しかし、『GGR』は私個人のものではありません。スポンサーさんがいて、視聴者の方々がいて、クラブがいて、出演者さんがいる。自分のものだという勘違いは絶対にしないようにしています。視聴者とクラブをつなぐ架け橋であり、相乗効果をもたらす存在でいなければいけないと思っています」

テレビ埼玉 林 悠哉

「クラブとファンを一つにする役割を果たさなければならない」

 これまでに制作してきた番組の中では、2012年に放送したある回が印象に残っているという。浦和レッズの槙野智章をゲストに招き、抽選で100名の視聴者を招待して公開収録を行った回だ。

「私たちを含めて、選手、出演者、視聴者が一つの空間にそろい、その瞬間、私が意識していた“架け橋”になれた感じがしましたね。視聴者にも大変喜んでいただきましたし、『GGR』と選手とのつながりもより強まったのではないかと思います。あの回は本当にやってよかったですね」

 最後に、林さんは『REDS TV GGR』の今後について、次のように抱負を語ってくれた。

「テレビ業界は日々進化していますし、視聴者の目も肥えてきています。新しい機材や演出方法を取り入れて、番組を変えていきたいですね。ただ、『GGR』の本質は変わりません。視聴者とクラブの架け橋でありたいという思いはこれまでと同じです。今まで見ていただいている視聴者はもちろん、新規のファンがレッズを知るための入り口になり、クラブと皆さんを一つにする役割を果たしていかなければならない、そう思っています」

インタビュー・文=六本木 智(サッカーキング・アカデミー
写真=兼子愼一郎(サッカーキング・アカデミー カメラマン科講師

●サッカーキング・アカデミー「浦和スクール 編集・ライター科」の受講生がインタビューと原稿執筆を担当しました。
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サッカーキング・アカデミー

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