2011年に産声を上げ、サッカーファン、映画ファンから熱い支持を集めてきた「ヨコハマ・フットボール映画祭」。今年も2月11日(月/祝)、16日(土)、17日(日)の3日間で本邦初公開のジャパンプレミアを含む7作品を一挙上映! そこでサッカーキングでは映画祭の開催を記念し、豪華執筆陣による各7作品の映画評を順次ご紹介。今回はサッカーやアイドルなど幅広くエンターテイメントに精通する岡田康宏さんに本映画祭で日本初公開となる作品『狂熱のザンクトパウリ・スタジアム』 についての映画評を寄稿いただきました。

映画を見て、ザンクトパウリのサポーターを羨ましいなと思った点が3つある。
1つ目はゴール裏とバックスタンドでのコール&レスポンス。Jリーグのスタジアムでは声を出して応援するのはゴール裏だけの場合が多く、こうしたコール&レスポンスはあまり見たことがない。だが、フットサルの試合で360°全方位からの応援を体験したことがある身としては、やはり一方向からだけの応援ではなく、スタジアム全体(フットサルの場合は体育館だが)を包み込むような応援は、格別のものがある。その点で、ザンクトパウリのスタジアムの雰囲気は羨ましいし、Jクラブのサポーターもぜひ、そこに挑戦してみてほしい。
2つ目はスタンドとピッチの近さ。ザンクトパウリのスタジアムは、決して大きくはなく、施設は古臭く、スタンドも汚い。だが、専用スタジアムだけあってピッチとの距離は抜群に近い。Jリーグのスタジアムでこの距離感でサッカーを感じられるスタジアムは両手の指に足りないだろう。サッカーを楽しむ上でピッチとの距離感は最も大切な要素の一つだが、Jリーグは残念ながらその大切さを全く理解していない。
最後は、サポーターの姿をこのように魅力的に撮ってくれる映像作家とこの映画の存在。ザンクトパウリは、ドイツのハンブルクを本拠地とするサッカークラブで、本拠地はドイツ最大級の歓楽街の側にあり、チームはパンクやアナーキストにサポートされ、2部ながら国内で有数の人気を持ち、ドクロをモチーフにした同クラブのサポーターグッズは世界中に広がっている。しかし、映画を見た人はそうした背景を知っているかどうかに関係なく、この小さく汚いスタジアムで、クラブに熱狂的な声援を送る決して裕福ではないサポーターたちの存在を魅力的に感じるだろう。
それは単純に、彼らの応援スタイルが魅力的だ、というだけではない。個人的には、浦和でも仙台でも柏でも、日本にも魅力的なサポーターを持つクラブは充分に存在すると思っている。ただ、それこそ、この映画の存在そのもののように、ゴール裏の熱狂を支える周囲の環境やサッカーを支える周辺文化の根深さという部分で、欧州との歴然とした差を感じさせられる部分もある。
そういう意味で、日本のプロサッカー文化にはまだまだ歴史が足りないし、だからこそこれからもまだ大きな成長の余地があるとも言える。
『狂熱のザンクトパウリ・スタジアム』
ドイツ/ドキュメンタリー/62分/2011年
上映:2月16日(土)15:20~、17日(日)11:00~&18:55~
監督:フェリクス・グリム
舞台:ドイツブンデスリーガ
【ヨコハマ・フットボール映画祭2013について】
世界の優れたサッカー映画を集めて、2013年も横浜のブリリア ショートショート シアター(みなとみらい線新高島駅/みなとみらい駅)にて2月11日(月/祝)・16日(土)・17日(日)に開催! 詳細は公式サイト(http://yfff.jp)にて。
【20名様限定】ヨコハマ・フットボール映画祭2013開催! 2/11(月/祝)17:35上映『ローカル・サッカー・クラブのヒーロー』特別観賞チケット【サカポン限定プレゼント付】

ヨコハマ・フットボール映画祭上映作品の中から『狂熱のザンクトパウリ・スタジアム』を観賞できるチケット。購入者はワールドサッカーキング最新号をゲット&座席が指定可能!