2015.07.03

【松原渓のなでしこ現地レポート】 「劇的勝利で再びファイナルの舞台へ」

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文=松原渓 Text by Kei MATSUBARA
写真=ゲッティ イメージズ Photo by Getty Images

いよいよ、準決勝まで来ました!

毎日の練習を見ていると、集中力と緊張感がビシビシ伝わって来ます。一方で、ピッチを出れば、リラックスしたムードで、オンとオフのメリハリが素晴らしいです。やはり、これはチャンピオンとしての経験から来るものなのでしょうね。とはいえ、選手達は「私たちはチャレンジャーとして臨む」(大野忍選手)と、貪欲に勝利を目指しながらも、試合を楽しもうという気持ちが伝わってきます。

前回大会で凄まじいプレッシャーの中でPK戦の最終キッカーを務めた熊谷紗希選手は、常に良い緊張感を持ちながらも、「元々そこまで試合で緊張しないので、ここまで来ていたら、楽しみたいという方が大きいです。あとは自分がいつもやっていること、できることを楽しみながらやるだけです」と、大舞台にもまったく動じないメンタルの強さを見せていました。なんと頼もしい言葉♪

対戦相手のイングランドは、これまで4回対戦して2分2敗と分の悪い相手ですが、選手や監督も「苦手意識はない」とのこと。ただ、縦に速い攻撃をしてくるということ以外、「特徴が掴みづらい」(川澄奈穂美選手)相手。今大会はここまで日本と同様に1点差で勝ち上がってきたこともあり、勝負強さも見られます。

試合当日の天気は快晴。午前中は少し雨も降ったようですが、試合開始時刻の17時頃にはスカッと晴れました。

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会場となるコモンウェルススタジアムのピッチには黒いチップが多く含まれるため、暑くなると陽射しを吸収して、スパイクを履いていても足の裏が熱くなるそうで、オーストラリア戦ではハーフタイムに足の裏をアイシングしながら凌いでいたそうです。

試合開始2時間前にもなると、会場には続々とお客さんが入ってきました。顔に国旗をペイントしたイングランドサポーターと、「Good luck!」と言葉を交わして一枚☆

日本からのお客さんもかなり増えました!

Japan v England: Semi Final - FIFA Women's World Cup 2015

試合は勝負事なので、結果はどうなるか分かりません。先の見通しが立たない中で、休みをとって高いチケットを買って応援しに来た方も多いのでしょう。絶対にこの試合で勝って、バンクーバーの決勝の地に連れて行ってほしい! そんな想いを胸に、私もキックオフの瞬間を迎えました。

イングランドはロングボールを中心に、戦前の予想通り縦に速い攻撃を仕掛けてきます。一方、日本も相手のペースに飲まれないようにパスを回しながら、勝負所を見極めます。

そして、前半31分に有吉選手が倒されて獲得したPKを、宮間選手がきっちりと決めて日本が先制! しかし、その7分後には、逆にPKを献上してしまい、これも決められて1-1の振り出しに。

その後は一進一退の攻防が続きます。終盤はイングランドの猛攻を凌ぐ苦しい展開でしたが、全員が身体を張って凌ぐと、その先にご褒美が待っていました。

アディショナルタイム、熊谷選手のパスを高い位置で受けた川澄選手が仕掛け、裏へのクロスを通すと、相手DFの足に触れてそのままゴールへ。終了直前の劇的なゴールで、日本が2大会連続の決勝進出!!!!

厳しい戦いでしたが、90分間勝利を信じ続けた選手達に勝利の女神が微笑んでくれたのでしょう☆

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決勝戦の相手は、前回大会に続き、アメリカ。宮間あや選手は「一番大事なのは終わり方だと思います。負けて終わるのと勝って終わるのとでは本当に天と地の差なので、何一つ満足していないですし、決勝がすべてだというぐらいの思いで、ワールドカップで優勝して、もう一度スタート地点に立てると思います」とコメント。

宿命のライバルとの一戦は、歴史に残る戦いになりそうです!