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川崎DF谷口彰悟が選手権で味わった「夢の舞台とサッカー人生最大の後悔」

2015.12.16

インタビュー=安田勇斗 写真=岩本良介、Getty Images

 川崎フロンターレのパスサッカーを後方から支える谷口彰悟は今から約7年前、大津高校2年生の時に全国高校サッカー選手権大会に初出場、ベスト8まで勝ちあがり自身は優秀選手に選出された。その翌年、「全国制覇」を掲げて臨んだものの、熊本県予選決勝で敗れ高校サッカーに別れを告げた。いまだ「サッカー人生の中で、一番悔しい思い出」と記憶する選手権には並々ならぬ想いがあった。

何が起こったかわからない感じで、「夢であってくれ」って思ってました。

――大津高校2年生の時に予選を勝ちあがり、初めて選手権に出場しました。当時を憶えていますか?
谷口 はい。高校生にとって憧れの舞台ですし、試合に出させてもらって緊張はしたんですけど、それよりも楽しかった気持ちの方が大きかったですね。

――どんな部分に楽しさを感じたのですか?
谷口 お客さんがたくさん入っていて、雰囲気がすごく良かったですし、相手は強豪校ばかりで、試合自体もやりがいがあって楽しかったです。

――自分のプレーは出せましたか?
谷口 比較的出せたような気がします(笑)。それまでは試合によって自分の力が出せないこともあったんですけど、その時は気持ち的に吹っ切れていいプレーができたかなと。

――プレーに波があったというのは意外です。
谷口 今はだいぶ良くなってきたというか、メンタルだったりモチベーションだったりをコントロールできるようになってきて、大きなブレはなくなかったと思います。

――大会をとおして印象に残っている選手やチームは?
谷口 3回戦で対戦した藤枝東(3-2で大津が勝利)が印象に残ってますね。“サッカー王国”と呼ばれる静岡の伝統校ですし、壮絶な予選を勝ちあがってきたチームなので、戦った時はすごく楽しかったです。相手は全校応援のような形で大勢の方が見に来ていて雰囲気も良かったですし、その中で自分たちのプレーをして勝てたのは本当にうれしかったです。

――その藤枝東に勝利したことで、チームの雰囲気はさらに良くなったと思いますが、続く鹿島学園高等学校との試合で1-2で敗れてしまいました。
谷口 その時は確かにいけるっていう雰囲気がありましたね。でも……やっぱり大舞台の経験みたいなのが足りなかったのかなと。その前のインターハイで3位になって、選手権では優勝を目指して戦っていたんですけど、今思うと、藤枝東に勝って気が抜けたのかもしれないですね。

――高校3年の時は、熊本県予選の決勝でルーテル学院高校に0-2で敗れ、本大会出場を逃しました。
谷口 自分のサッカー人生の中で、一番悔しい思い出です。2年の時に選手権に出て、自分たちの代では優勝したいという思いが強かったので。それを成し遂げられなかったというか、チャンスすら手に入れられなかったので本当に悔しかったです。その時のチームは周りの評判も良かったんですよ。その期待に応えられなかったのもありましたし、いろいろな想いが重なって悔しさも大きかったですね。

――その時の状況を憶えていますか?
谷口 憶えてます。呆然というか、何が起こったかわからない感じで、「夢であってくれ」って思ってました。目標が全国で優勝することだったので、ロッカールームでは、みんな信じられないような顔をしてました。

――自分たちの実力を考えれば、勝つチャンスが十分にある試合だったのでしょうか?
谷口 こういう言い方をすると失礼になってしまいますが、僕は今でも勝てる試合だったと思ってます。それだけ自信がありました。

自分たちの力を出せるよう、心と体の準備をしっかりして臨んでほしい

――楽しい思い出、悔しい思い出がありましたが、谷口選手にとって選手権はどういう大会なのでしょうか?
谷口 高校生にとっての夢の舞台だと思います。高校サッカーを戦うすべての選手が目指している場所ですし、そこに向けて3年間努力を続けています。実際に経験した自分にとってもやっぱり夢の舞台でしたね。

――今年の選手権にも母校の大津高が出場します。
谷口 気になりますね(笑)。全国制覇を成し遂げてほしいですし、そのチャンスはあると思います。とにかく悔いのないようにやりきってほしいですね。

――最後に選手権に出場する選手たちへメッセージをお願いします。
谷口 選手権は注目度の高い大会ですし、選手たちにとってはサッカー人生において大きなチャンスにもなると思います。自分たちの力を出せるよう、心と体の準備をしっかりして臨んでほしいですね。

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