鹿島FW鈴木優磨 [写真]=清原茂樹
2025年J1制覇に満足せず、J1百年構想リーグでも貪欲に頂点を狙い続けている鹿島アントラーズ。2月7日の開幕・FC東京戦こそ悔しいPK負けに終わったが、そこから横浜F・マリノス、柏レイソルに連勝。3試合終了時点で勝ち点7を稼いだ状態で、アウェイでの浦和レッズ戦を迎えた。
ここまで3試合アウェイで戦ってきた浦和にとって、この日は待望のホーム開幕戦。埼玉スタジアムに5万2841人もの大観衆が集結する中での大一番となった。
前半、風上に立った浦和は熱狂的サポーターの大声援を受け、前へ前へという姿勢を前面に押し出した。序盤の鹿島はこれを受ける形になり、守備組織が混乱。前半14分に大卒ルーキーFW肥田野蓮治に先制点を奪われてしまう。さらに5分後には左CKから渡邊凌磨にも追加点を献上。開始20分で0−2というまさかの苦境を強いられたのだ。
「結構、個で一瞬という形とセットプレーでやられたので、そんなに自分たちが慌てる必要はないという話をしてました。普通に行けば、こっちが1点取ったら相手の応援も相手チームにもプレッシャーに感じるだろうなと。1点取っちゃえばポンポンと行ける感覚もありました」と鈴木優磨は毅然と話す。「最近のチームは失点しても全然慌てない。みんなでやることが明確なんで、いちいち動揺する必要もない。自分たちが崩れなければ、相手が崩れると思っていた」とも強調。9年ぶりにJ1王者を奪還した自信が、鹿島を力強く支えているのだろう。
粘り強く立て直し、ペースを取り戻した鹿島。そして前半40分の右CKから浦和の関根貴大がハンド。VAR判定の結果、PKが与えられ、これをエースFWレオ・セアラが確実にゴール。1−2で前半を折り返すことに成功したのだ。
そうなると後半は鹿島が一気にギアを上げていくはず。風上に立った鹿島は一気に攻め込み、ゴールに迫っていった。迎えた後半10分の右CK。キッカーの樋口雄太は「風もありましたし、球速のところで思い切り速いボールは難しいかなと感じたので、いい塩梅で蹴ることを心がけました」と高度な技術を駆使したことを明かす。
仲間の工夫にしっかりと呼応したのが、鈴木優磨だった。フラフラと後方に位置しつつ、ボールが上がってきた瞬間に勢いを持って前進。柴戸海や根本健太を振り切ってドーンと頭で合わせて、今季初ゴール。2−2の同点に追いついたのである。
「相手はゾーンとマンツーの併用だったんで、前半からフリーだった。自分はあそこを狙っていたんで、本当に雄太からいいボールが来て、当てるだけでした。スカスカだったんで、正直、向こうが。だから絶対に点を取れると思っていたし、普通に今日は勝てるなと感じていたんで」と背番号40は自信たっぷりにコメント。ここ一番の勝負強さをライバル相手に見せつけたのだ。
完全アウェイの状況で序盤から劣勢に立たされれば、メンタル的に追い込まれても不思議はない。だが、この日の鹿島はそういう脆さを一切、感じさせなかった。鈴木優磨も「やっていて逆転できる、最低でも同点までは絶対にいけると感じていた」と語気を強めたが、そのしぶとさと粘り強さがこの2点目に凝縮されていたと言っても過言ではない。背番号40はかつての小笠原満男同様に、ここ一番で本当に頼りになる男だ。それを鬼木達監督もチームメートもサポーターも再認識したのではないか。
追いついた鹿島としては、この流れを生かして絶対に勝ち切りたかった。鬼木監督はチャヴリッチや柴崎岳、田川亨介ら持てるカードを次々と投入。その采配がズバリ的中し、後半終了間際に柴崎の左CKからチャヴリッチが3点目をゲット。見事な逆転勝利を手中にしたのだ。3得点が全てセットプレーというのが、いかにも鹿島らしいところ。そのディテールにこだわり続けているからこそ、常勝軍団として長い長い歴史を紡ぐことができたのだろう。
「セットプレーの共有は毎試合あります。各チームで狙いどころが違うので。試合の流れの中でも変わってきますし、相手の位置や守り方や意識もその都度違う。そこをみんなと共有できた結果が得点につながっていると思います」と大仕事を遂行したキャプテン・柴崎も胸を張ったが、鈴木優磨は率先して敵と駆け引きし、フリーになれるゾーンを見出し、得点につなげている。そのサッカーIQの高さはやはり特筆すべきものがある。飽くなき闘争心を押し出すところがクローズアップされがちだが、彼は傍目から見る以上に冷静で戦術眼に秀でている。そこは多くの人々に再認識してほしい部分だ。
ただ、欲を言えば、流れの中からのゴールも奪ってほしいところ。「昨年より縦パスが入って来ているので、そこからは僕たちの精度。ゴールに結びつけられるかどうかは、自分たち前のクオリティが求められている。もっともっと質を上げていきたいなと思っています」と本人もやるべきことを自覚している様子。浦和戦の今季初得点を糧に、次は異なる形のゴールを見せることが肝要だ。さしあたって次節の東京ヴェルディ戦を楽しみに待ちたいものである。
取材・文=元川悦子
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By 元川悦子

