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18歳で開幕スタメン、茂木駿佑が振り返る育成年代「練習には最初に来て最後に終わり、そこから寮まで自転車で帰っていました」

2015.10.10

文=小谷紘友 写真=新井賢一

 ベガルタ仙台ユース出身のMF茂木駿佑は、トップ昇格を果たした今シーズンに開幕スタメンを飾った。高卒新人としてJ1ではクラブ初となる快挙を成し遂げ、1stステージで11試合に出場した技巧派が、育成組織時代に柏レイソルから仙台に移ったことで切り開いた、プロへの道を振り返った(茂木は7月27日にツエーゲン金沢に期限付き移籍。インタビューは仙台在籍時に実施)。

「プロになりたいな」ではなく、「絶対になってやる」

――ベガルタ仙台ユースからトップ昇格した茂木選手から見て、Jクラブの育成組織の利点はどういうところにあると思いますか?
茂木駿佑(以下、茂木) トップチームに絡むことができるところです。練習参加もでき、雰囲気を肌で体験して自分に何が足りないのかを知ることができます。トップチームとの距離が近いからこそ、日々意識することができるところは利点だと思います。

――仙台ユースに移った経緯を教えていただけますか?
茂木 最初は柏レイソルU-18に上がる直前に、「高校サッカーに行きたい」という気持ちがありました。進路希望でも「別の道でチャレンジしてみたい」と伝えて、それが響いたのかわかりませんが昇格はできませんでした。それから、やはりプロになるためにはJクラブの育成組織が一番の近道ではないかと思い、タイミング良く仙台から誘っていただけたので、もう一度、一からがんばろうと思い仙台に移りました。

――柏から仙台に移ったことで、心境に変化はありましたか?
茂木 ありましたね。親元を離れたことで、寮費などの費用を今までよりプラスアルファで払ってもらうことになっただけに、「絶対プロになってやる」という気持ちは増しました。

――意識が以前より強くなりましたか?
茂木 「プロになりたいな」ではなく、「絶対になってやる」、「何のために仙台に来たんだ」という思いで毎日練習をしていました。

――プロをはっきりと意識したのは、仙台に来てからでしょうか?
茂木 いえ、プロサッカー選手になるということは、小学生から常に思っていました。仙台に来てからは、意識がもう一段階上がったという感じです。

――当時の練習方法を振り返り、周りとは違った部分はありましたか?
茂木 毎日の練習量ですかね。練習場に一番早く来て、練習後も自主練で最後まで残っていました。その部分は周りの選手たちと比べたら、自信を持って言えるところだと思います。練習に一番最初に来て、一番最後まで練習して、そこから自転車で寮まで帰るということを毎日やっていました。

――練習場までは、自転車で通っていたのですか?
茂木 寮からグラウンドまで、自転車で30分くらいの距離がありました。チームのバスが出ていましたが、バスに乗ると行き帰りの時間が決まり、練習時間が限られてしまいますから、毎日自転車で通っていました。

――周りに自転車で通っている選手はいませんでしたか?
茂木 本当に数人というか、一緒に練習するために誘ったGKとかです(笑)。「今日は自転車で行こうぜ」と誘っていました。

プロになったことはスタートライン

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――プロになる過程で、チームメートや指導者の中で影響を受けた人物はいましたか?
茂木 小学5年生の時、現在は栃木SCで通訳をやられているチェ・ファンさんにプロの意識や行動といった基礎を教えていただきました。チェ・ファンさんに出会えたことで、ここまで来られたのではないかと思います。

――指導の内容を具体的に教えてもらえますか?
茂木 すべてにおいてですね。プレー面はもちろんですが、食事や睡眠時間など、本当に一から教えてもらいました。

――その中でも印象的だった言葉はありましたか?
茂木 言葉というより、毎日の練習は対人の練習ばかりだったこともあり、負けないという気持ちを出していくことです。もとから負けず嫌いですが、そういう毎日の練習があったからこそ、気持ちがブレることなくやれたのではないかと思います。

――選手の中にはプロになったことで満足してしまう選手もいると聞きますが、茂木選手が向上心を持ち続けられる要因はどこにあるのでしょうか?
茂木 まだ終わりではないですし、プロになったことはスタートだからです。プロになることが決まった時はもちろんうれしかったですが、まだスタートラインということは強く感じていました。また、テレビで世界の舞台で活躍している日本人選手を見ると、やはり憧れを持ちますし、そういうピッチに立ちたいという想いが、もっとうまくなりたいという向上心につながっているのではないかと思います。

――実際にプロになった今、新たな目標は生まれていますか?
茂木 逆算していき、まずはJリーグで活躍することを目標にして、次に代表に入ること。それから海外でプレーして活躍するという目標があります。

――ちなみに、プロを目指す過程で挫折しかけた経験はありましたか?
茂木 ありましたね。中学2年生で試合に出られなかった時期です。

――当時は柏の育成組織に所属していたと思いますが、支えとなっていたものはありましたか?
茂木 「本当にプロになりたい」という気持ちを曲げずに行動することで、乗り越えることができました。もちろん周りのサポートはありましたが、一番は自分の気持ちがブレなかったことです。そこでブレていたら周りのどんな声があっても戻れないと思いますし、先にも行けなかったと思います。「自分がどうなりたいか」、「プロになりたい」という気持ちを曲げずにいたことは、試合に出られない時期を乗り越えてプロになれた一因だと思います。

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