2016.07.30

「総監督」が残す伝統の魂…「新監督」の米子北、2年連続で8強へ

星稜を破って2年連続のベスト8進出を決めた米子北 [写真]=川端暁彦
2013年までサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で編集、記者を担当。現在はフリーランスとして活動中。

「米子北伝統の粘り強さ、それを伝えていかないといけない」

 米子北高校を全国区の強豪に育て上げた城市徳之総監督は、星稜高校を破った平成28年度全国高等学校総合体育大会サッカー競技大会(インターハイ)3回戦終了後、そんな言葉でチームの現状を説明していた。今年度から肩書きが「総監督」に変わった智将は「もう自分は退いているので」と笑うが、真っ黒に日焼けした肌を観れば、まったく説得力がない。今年に入っても“現場肌”であること自体に変わりはない。

 現在は少しずつ権限を委譲しながら後進を育てている段階だ。「(新たに監督となった)中村真吾に戦術的な細かいところは任せていて、自分は試合への持って行き方とメンタリティーの部分をやっている」という形だと言う。ただ、「米子北のやり方としては変わっていない。そこを監督が代わったからといって、コロコロ変えるようではいけない」とも強調する。育成年代の指導者として、絶対に譲れないポリシーだ。

 かと言って、新監督の個性を殺そうというわけでは決してない。「(試合や大会の)メンバーについて最終的な決断を下すのは自分で、(結果に対する)責任も負う。ただ、中村が出してくるメンバーは自分の考えと少し違うところもあって、『おお、面白いな』と思って(案を)聞いています」と、中村監督の意見も尊重しながらのチームマネジメントとなっていることを明かした。

 日本代表DF昌子源(鹿島アントラーズ)など多くの選手を育て上げてきた城市総監督が絶対に譲れないと考えているポイントは、「粘り強さ」。中学時代に全国で名を馳せた選手が続々と集まってくるようなチームではないからこそ、どんな相手にも食らいつき、最後まであきらめずに戦う姿勢を植え付けることは欠かせない。

 今大会で大活躍を見せるFW伊藤龍生について「まだまだ連続性が足りない」と厳しく評価するのは期待の裏返しであると同時に、チームとしての要求水準の高さゆえでもある。走ってナンボのチーム、プレーを続けてナンボのチームである。それが米子北だということだろう。それがあってこその2年連続8強進出である。

 決して派手なサッカーをするチームではない。愚直に競って、真面目に走って、最後まで戦い抜くことがベースで、その上に個性ある選手がキラリと光る。監督交代となっても、その根幹に関して揺らぐ心配は、まったくなさそうだ。

文=川端暁彦

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