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國學院久我山DF宮原直央…「パーフェクト」なキャプテンが試合の流れを大きく左右するファインプレー/選手権準々決勝

2016.01.06

文=森田将義(提供:ストライカーデラックス編集部)

「ピンチのときになぜかいる」。小林和樹がそう表現する守備の番人がいなければ、試合の結果は違っていたかもしれない。ともに1点が奪えないまま、時計の針が進む中、國學院久我山高校が絶体絶命のピンチを迎えたのは、前半のアディショナルタイム。自陣左で横澤航平に自由を与えてしまうと、ゴール前にスルーパスが入った。反応したのは3列目から飛びだした大塚諒。冷静に振りぬいた一撃はGK平田周の脇を抜けて、無人のゴールに転がった。だが、立ちはだかったのは「人間的にもサッカー的にもパーフェクト」(小林)という主将の宮原直央。「パスが出た瞬間に浮き球があそこに来るなって思っていた」と冷静にコースに入って、シュートをブロック。こぼれ球を狙った金子拓郎のシュートも、ゴールの右隅に外れて、難をしのいだ。

「いちばん取られたらいけない時間に失点せず、無失点で後半に入れたのが大きかった」と宮原が口にしたように、決定的な場面を防ぎ、いい流れのまま残り40分を迎えられた意味はとても大きい。小林の得点で先制して以降は、長身FWの馬場拓哉を起点に前橋育英高校が仕掛けたパワープレーに苦しんだが、「今年の久我山の良さ」と胸を張る粘り強い守りを見せて、1点を守りきった。

 宮原について、「1年の時はチームの仕事がたくさんあるのに全部、宮原が一人でやっちゃって俺たちが怒られたこともあるくらい、完璧主義者」と評するのは小林。理想のキャプテン像ともいえる性格だが最終学年を迎えた今年度は主将を託され、今まで以上に様々な重圧を一人で背負いこんでいた。特に、インターハイ予選の初戦で負けた際は、李済華総監督から「お前たちは感動させることができない」との言葉を受けて、悩んだ時期もあった。だが、チームメートにLINEで「みんなで勝って、見返してやろうぜ」と誓った宮原を中心に奮起したことにより、チームが一致団結。粘り強い今回の勝ち上がりを生んだといっても過言ではない。残り2試合、久我山史上最高の成績を塗り替えるためにはこの試合同様に、「ピンチのときになぜかいる」男の活躍が欠かせない。

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ストライカーデラックス高校サッカー特集ページ(http://www.soccerstriker.net/html/matchreport/sensyuken94th/sensyuken94th_index.html

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