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「両ゴール前の厳しさと質が足りない」、敗退の四日市中央工が解消できなかった課題

2015.08.05

文・写真=川端暁彦

 四日市中央工・樋口士郎監督にしてみると、なんとも得心のいかぬ負け方だったかもしれない。「両ゴール前の厳しさと質が足りない」という嘆き節はこの夏に初めて聞かれる言葉ではない。今シーズンの四中工にとってはずっと抱えてきた課題と言える。

 先発メンバーのリストを見ると、GKを含めた全員が175センチ以下の選手たち。技術を重んじて地上戦からの攻撃をモットーとするチームであるがゆえだが、ただ、空中戦を含めたフィジカルコンタクトの部分で全体に見劣りしてしまうのは否めない。ましてやインターハイ2回戦で当たった相手は東福岡。試合前の整列時点で体格面の差は見て取れた。

 もちろん、サッカーは身長でするものではない。歴代の四中工、あるいは結果を残した世代を思い出しても、粘り強い攻守でフィジカル面の劣勢を補うようなチームばかりが思い浮かぶ。だからこそ、「両ゴール前」が樋口監督には物足りなく映るのだろう。

 U-18日本代表候補に名を連ねるボランチの森島司とトップ下の小林颯を擁し、両サイドにも突破力のある選手をそろえる四中工の攻撃は凡庸ではない。この試合も、小林が巧みにボールを引き出して起点を作りながら、東福岡を前半から押し込んだ。「四中工の小さい選手たちをウチの選手たちが捕まえられなかった。上手かったよ」とベテランの志波芳則総監督も舌を巻いたほどである。

 ただ、「決め切れないし、シュートで終われていない」と樋口監督。前半終了間際に無人のゴールを前にして小林がヘディングを打ち上げてしまうなど、生まれたゴールは前半開始早々の1点のみ。シード校の東福岡が1試合目、四中工が2試合目という体力的な差も出てきた後半になると、184センチのFW餅山大輝を投入して押し込んで来た東福岡に対して守備陣が決壊。ゴール前での強度不足を露呈し、1-4の逆転負けとなった。

「見直さないといけない」。指揮官は短い言葉に静かな決意を込めて、早くも大会を後にした。冬に向けてもう1枚、2枚と新たな選手が伸びてくるかどうか。「あの夏の敗戦が俺たちを強くした」。来たる冬の選手権で、そんな言葉が聞けることを期待したい。

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