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優勝候補を連続撃破の久御山、快進撃支える1年生CB小森優輝

2015.08.04

文・写真=安藤隆人

 インターハイで1回戦の桐光学園高校に続いて、優勝候補と言われるチームを下し、3回戦に駒を進めた久御山高校。

 青森山田高校との一戦で、光るプレーを魅せたのが、1年生ながらセンターバックでレギュラーを務める小森優輝だ。身長は171センチと小柄だが、「小学校時代にヘッドは相当鍛えられたので得意なんです」と語るように、打点の高いヘッドで、1回戦では180センチの小川航基に、この試合では189センチのセンターバック常田克人(ベガルタ仙台入団内定)、近藤瑛佑とも競り合いで自由を与えず、ロングボールやクロスをヘッドで弾き返すシーンも多々見られた。

 ヘッドだけではない、久御山の生命線であるボールポゼッションの起点となり、山本蓮と八田陸斗の「ダブル司令塔」に活きたボールを供給し続けた。

「(桐光学園の)小川選手も、(青森山田の)神谷(優太)選手も凄く上手い選手。むやみに飛び込まないように、我慢して隙ができるのを待ったし、マイボールになったら僕らで落ち着かせて、リズムを作る事を意識した」

 青森山田は湘南ベルマーレ入団内定の神谷を擁し、スピード感溢れる攻撃を展開してくるチーム。小森は相手のスピードを止めるポジショニングを取り、かつマイボールになったら、アンカーの玉村光輝とセンターバック長谷川輝の3人でボールを回し、相手の前線からのプレスをかいくぐってから、八田と山本が良い状況になったときに縦パスを何度も供給した。

「攻撃的なチームにおいて、自分たちが求められるのは、パスミスをしない事。ここでミスをしてしまうと、カウンターをモロに受けてしまうので、一つひとつのプレーの正確性は心がけている」

 この高い意識が、彼の能力を引き出している。3人でのボール回しも、ただ回しているのではなく、相手のプレスをかいくぐった瞬間に、彼がグッと前に出て、そこに斜めのパスが入るからこそ、八田や山本もより高い位置でボールを受ける動きをする事ができる。そして、小森からのパスが攻撃のスイッチとなり、バイタルエリアで絶妙な距離間の下で、アタッカー陣がアイデアを発揮する。

 だからこそ、12分に個人技から先制点を許しても、動揺する事無く、自分たちのリズムで試合を進める事ができた。30分に山本のパスを受けた八田のスルーパスに、河﨑蒼太が抜け出し、同点ゴールを挙げると、前半アディショナルタイムにはゴール前で和田幸之佑が鮮やかなループパスを通し、抜け出した玉村が逆転ゴールを奪った。いずれのゴールも、アタッカー陣がバイタルエリアで前向きに、良い距離間で仕掛けられたからこそ、生まれたものであった。

 後半も自分たちのリズムで試合を運び、2-1の勝利をもぎ取って、3回戦進出を決めた久御山。この快進撃の裏には、頭脳的かつ献身的な1年生センターバックの存在があった。

 次なる相手はこちらもプロ入りが確実視されている永藤歩、椎橋慧也を始め、タレントぞろいの市立船橋高校。より大きな存在感を放つ事ができるか。彼の出来がチームの命運を握っている。

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