2017.01.09

攻守に躍動 “廣末陸に始まり、廣末陸に終わった”選手権経て、プロの世界へ

決勝戦で味方に指示を出す廣末陸 [写真]=兼子愼一郎
世界各国を放浪するサッカージャーナリスト。巷ではユース教授と呼ばれる。

 第95回全国高校サッカー選手権大会は、廣末陸のファインセーブで始まり、キックで終わった大会となった。廣末の高校生活最後の選手権はビッグプレーからのスタートだった。

 2回戦からの登場となった青森山田は年が明けてからの2日、宮崎県代表の鵬翔と対戦。その開始早々の3分、縦パスに相手の2年生エース・宇津元伸弥が右サイドを完全に抜け出すと、廣末と1対1になる。宇津元が「GKが飛び出して来たのが見えたので、一度タイミングをずらしてから打った。入ったと思った」と、確信を持って対角に放ったシュートは、廣末の右手に弾かれていた。しっかりと間合いを見て、相手がタイミングを外しても、瞬時に対応してドンピシャのタイミングでグラウンダーのシュートを正確に外に弾き出した。

 高校ナンバーワンGKの称号に相応しいビッグプレーを挨拶代わりに、廣末は鉄壁の壁を築き、チームも勢いづいた。さらに、武器である精度の高いキックは大会期間中に何度もスタンドを沸かせた。

 長距離を飛ばすドライバーのような強烈なパントキック。味方の胸元にぴたっと届くレーザービームのようなライナーキック。そして足下に届く、地を這うようなグラウンダーキックを使い分け、チームの素早い攻撃に繋げる。すべてにおいてその存在感は際立っていた。

 準々決勝の正智深谷戦、準決勝の東海大仰星戦で1失点ずつ喫したが、それ以上にビッグセーブ、キックでチームを救ったシーンが多かった。

 迎えた前橋育英との決勝戦。開始直後のバックパスからのキックが相手FWに当たった場面は肝を冷やしたが、以降は冷静な判断に基づいたプレーを見せた。16分、前橋育英FW高沢颯がドリブルで抜け出し、廣末と完全な1対1となるが、「相手がボールしか見ていなかった。センターバックの小山内(慎一郎)と入れ替わった時、こっちを見ていなかったので、一気に間合いを詰めた」と、どこにシュートが飛んで来てもいいように、面を作りながら、思い切って前に出た。結果、シュートは廣末が完璧に読み切る形でセーブ。前橋育英のこの試合最大のチャンスを防いだことで、初戦同様にチームは波に乗った。

 23分に高橋壱晟の先制点が生まれると、前半アディショナルタイムに追加点。「2-0が一番怖いぞ」とハーフタイムに黒田剛監督に手綱を締められたチームに、勝負を決める3点目をもたらしたのは廣末だった。

 57分、廣末が前線の鳴海彰人へピンポイントの特大パントキックを入れる。鳴海が胸トラップで抑えると、右サイドの嵯峨理久に展開。折り返しを鳴海が決めた。2分後にはゴールキックを前線の郷家友太に送り込むと、ヘッドですらしたボールに抜け出した鳴海が再びネットを揺らした。

 5-0というスコアは廣末のビッグセーブ、そして勝負を決めるゴールを演出したキックがあったからこそ生まれた。決勝戦も廣末で始まり、廣末で終わった。

 3年間の高校サッカーは終わり、廣末にはプロの世界がすでに待っている。FC東京では再び這い上がって行かなければいけない立場となる。「満足しないで、もっと自分に磨きをかけて、誰にも負けないGKになりたい」と、次のステップへ意気込む廣末。優勝はあくまで3年間の成果だ。これから先の成果が保証されている訳ではない。それを深く理解しているからこそ、新たな挑戦に向けてその眼光をさらに強くする。

取材・文=安藤隆人

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