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夏冬制覇を目指す市立船橋、勝負の分水嶺は球際の強さ

2017.01.01

湘南への加入が内定している市立船橋DF杉岡大大暉 [写真]=鷹羽康博

取材・文=松尾祐希(提供:ストライカーデラックス編集部)

 インターハイ覇者でプロ入り内定者3人を擁する市立船橋と、U-19日本代表の岩崎悠人率いる京都橘がいきなり相まみえた1回戦。序盤からハイレベルな攻防が繰り広げられたが、試合は夏の王者のペースで進む。前半こそゴールを奪えなかったが後半26分に、ゴール前でFKを獲得すると杉山弾斗が左足を一閃。GKの逆を突く鮮やかなシュートがネットに突き刺さり、市立船橋が2回戦進出を決めた。京都橘は少ない好機をモノにできなかったことが悔やまれる。

 注目の一戦を見ようとフクダ電子アリーナに集まった観客は16061人。立ち見となる人も続出したことから、いかに注目度の高い試合だったかが伺い知れる。その中で勝負を制したのは市立船橋だった。

 夏の王者が1回戦を制した要因は勝負にこだわった姿勢にある。朝岡隆蔵監督は試合後に、「勝てばいいというのはおかしいけど、自分たちがやりたいこととか、戦術的なところの質にこだわりすぎたら、やっぱり勝てない。本当に勝負とか戦いというところはここ数日意識づけしてきた」と話し、中でも球際の部分で負けないことは再度徹底してきたことを明かした。 

 それは選手権を勝ち抜く難しさを知っているからこその話である。しかも、初戦の相手はU-19日本代表で今大会ナンバーワンストライカーの岩崎悠人を擁する京都橘。簡単に決着する試合ではない。「結局はボールを拾うとか奪うというのがいちばん大事なポイントだし、うちの強みは間違いなくそこ。間違えてボールを持てるからなのか持たされているかは分からないけど、そこを崩して点を取るために急いてしまうことがいちばん危険なことだった。なので、再度守備のところに意識を持っていった。勝負というのは戦術やテクニックというところでは決まらない」(朝岡監督)からこそ、指揮官は選手たちに球際の強さを求めた。

 決勝点もその姿勢から生まれた産物だ。66分に杉山弾斗が左足で直接FKから決勝弾を決めたが、「戦えるし、走れるし。かつ下手ではないし、勘も良い。でも(褒めて)それを言うと彼はフワフワしてしまうので(笑)」(朝岡監督)という金子大毅の直前に見せたプレーがきっかけ。3度クラッシュしながらも強引にボールを運んでファウルをもらったことがゴールにつながった。攻守に渡って球際で負けなかったことが、勝利をたぐり寄せたのは確かである。

 2回戦へと駒を進めた夏の王者。次なる戦いも一昨年の準V校・前橋育英と気が抜けない。「苦しい試合を抜けた後というのはいろんなコントロールを失うところがある」(朝岡監督)だけに、2日の試合でも球際の強さを前面に押し出して勝負こだわる。

(試合後コメント)

市立船橋
朝岡隆蔵監督
本当に相性が悪いというか(笑)。うちに対しての封じ手として、2トップに速いのがいた上で、引いてくる相手には相性が悪かった。かといって、何らかの戦術で変更をすることなく、リスクマネジメントをすることで何とかこのゲームは封じることができた。(岩崎悠人が前半にポスト直撃のシュートを放ったあたりから雰囲気が変わったが)全体的に守備意識が強すぎて戻りすぎてしまうところがあった。うちの選手が足をつるのは珍しい。相手もつっていましたが。戻りすぎというとおかしいのですが、もっと最終ラインを高くすることができていればボールを奪えていたと思う。(相手の)あの2人を見たらやっぱり怖い。そこで絶対に体を入れ替わられないようにしながら、かつ引かないように対応という部分の課題をCBに与えていたけど、みんな後ろ髪を引かれながら、プレスバックの意識を持ってやっていた。あの時間はちょっとラインをアップできなかったのかなと思う。

5番 杉岡大暉
かなり手強かったですね。本当に相手のカウンターの強烈さもありましたけど、守備の組織がすごく堅かったので、本当に手強かった相手でした。(前からも行かないといけなかったけど、引くこともできない状況だったが)前半はちょっと持たれる時間もあったのですが、相手の2トップがゼロトップ気味になるところがいちばんやりづらかった。それで少し押し込まれる時間になったのですが、ゼロに抑えられたことは運もあったけど、そこは良かったなと思う。

7番 原輝綺
(岩崎のシュートは)振りが速い分寄せ切れないこともあるし、身体能力も高くてボディーバランスも良い。変に近づくと入れ替わられたりするので、対応に関してはかなりてこずりました。(岩崎への対策は)スピードがあるので、ある程度距離を取るところと、がっつり距離をつぶすことは判断しながらやっていきました。(1対1で厳しくても3、4人で囲んでつぶしていたが)個人で止められたらいいのですが、無理な状況もある。そこはグループで止められたらいいという話を試合前に話していました。

京都橘
米澤一成監督
惜しいところまで行くのはいろんなチームができることなのですが、勝ち切れなかったのはまだまだ足りなかったからだと思う。(立ち上がりから猛攻を受けたが)早く慣れろと思っていました。激しさとかに慣れれば持つかなと思っていたので、そこは何とかしのぎたかった中でできた。前半はパーフェクトなゲームだったと思う。(岩崎のシュートでムードが変わったのかなと思うが)そうですね。後ろのヤツが頑張ってやっている中であのような1本を見せてくれると後ろの選手がもう1回頑張れるようになる。それを彼が見せてくれたのかなと思います。そこからパスがつながるようになったので、単調だったモノがサポートをしながらチェンジサイドをしていくことに慣れてきたのでできるようになった。そこからリズムが出てきて、うちがボールを持てるようになった。

ストライカーDX高校サッカー特集ページ

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