2017.01.01

名将・小嶺忠敏が築き上げた長崎総科大附の盤石サッカー 個々のタスクを完遂させて強豪撃破

薬真寺孝弥
桐光学園戦で2点目を決めた薬真寺孝弥 [写真]=梅月智史
世界各国を放浪するサッカージャーナリスト。巷ではユース教授と呼ばれる。

 長崎総科学大附が徹底した守備と、超強力アタッカー陣が繰り出す攻撃で、J内定2選手を擁する桐光学園を2-0で撃破した。この勝利の裏側には2015年途中に総監督の立場から監督に復帰した小嶺忠敏監督の存在が大きかった。

 過去には島原商業や国見を率いてきた名伯楽は、「今の選手たちはサッカーがうまければいいという考えを持っている。そうじゃない。礼儀、日常での些細なことが勝負に直結する。技術はあるが人間性が養われていないと、それを生かせない。監督と言う立場に立って、改めて強調をした」と、選手としてよりもまず、一人の人間としての精神的な成長を促すことを第一に考え、プレー面ではストロングポイントを生かしていく指導により、もともとタレントが多かった今年のチームは爆発的に成長を遂げた。

 プリンスリーグ九州では開幕から圧倒的な力を見せつけて16勝2分けの無敗で優勝。18試合で66得点16失点の堅守と破壊力を見せつけ、2位のアビスパ福岡U-18に勝ち点差12をつけるダントツの強さを見せた。

 その強さは全国の舞台でも発揮された。「守備面では相手の攻撃力と比較をしたら、個の能力で劣る。普通にやって勝てる相手ではない。だからこそ、分担をはっきりさせて、己の仕事を忠実にさせる形をとった」と、小嶺監督は桐光学園の2トップ・西川公基と倉持快に、3バックのうち森田将生と嶋中春児をマンマークに当て、田中純平をスイーパー気味に配置。スピードとテクニックに秀でた2トップを消しながら、田中のカバーとGK湊大昂の守備範囲の広いプレーを駆使して、桐光学園の多彩なアタックを封じにかかった。

 攻撃面では「右田翔、安藤瑞季、宇高魁人の3トップと、トップ下の薬真寺孝弥は十分に通用する」と小嶺監督が誇る、破壊力と得点力を兼ね揃えた自慢のアタッカー陣を高い位置に残し、常にカウンターを仕掛けられる状態にした。

 この徹底した戦い方がはまった。7分、カウンターから中盤のルーズボールを拾った宇高が裏へ抜け出した右田へスルーパス。これをセレッソ大阪に入団が内定しているGK茂木秀との1対1を冷静に制して、先制弾を流し込んだ。

 このゴールで目が覚めた桐光学園は徹底したサイド攻撃にシフトチェンジし、左MF佐藤太一、右MF鳥海芳樹の仕掛け、西川公基と倉持快の2トップにボランチの田中雄大が絡んで中央でフレキシブルに動いてくる揺さぶりの前に、押し込まれる時間が続いたが、鍛え上げられたフィジカルと集中力は切れなかった。球際では激しく、ゴール前では身体を張って、崩されてもシュートは打たせない。

 後半に入ってから桐光学園はさらに攻め手を強めるが、長崎総科大附の守備はより強固になっていくと、迎えた69分、左サイドを破った右田の折り返しを中央左で安藤が受け、中央にぽっかり空いたスペースに構えた薬真寺を見逃さず、タメを作ってからパス。フリーでボールを受けた薬真寺は、左隅に強烈なシュートを突き刺した。

 この2点目により相手の攻撃の機運をはぎ取り、自らの攻撃に勢いをつけた。3点目を取りに行かんと、猛攻も見せると74分には薬真寺が安藤とのワンツーで抜け出すが、放ったシュートはゴール左ポスト直撃。小嶺監督が築き上げた盤石のサッカーが繰り広げられた。

 指揮官は試合後、「試合内容に負けて勝負に勝った。最後の最後まで切れずに頑張って、いい時間帯で点が取れた。試合の流れは勝ちパターンだったけど、内容は相手が上。その中で選手たちが能力に応じた力を出してくれた。80分間集中を切らさずにやってくれた」と、選手を称えた。集中力を切らさない粘り強い守備と、破壊力抜群の攻撃と、初戦からストロングポイントを惜しげも無く披露した長崎総科大附は、最高のスタートを切った。

取材・文=安藤隆人

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