2015.12.29

互いに高め合う良きライバル…心理的強さと地力で“大阪ダービー”を制したC大阪Uー15が中学年代日本一に

2013年までサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で編集、記者を担当。現在はフリーランスとして活動中。

 28日、東京の味の素フィールド西が丘で行われた高円宮杯第27回全日本ユース(U-15)サッカー選手権大会決勝で相対したのは、大阪の2チーム。セレッソ大阪U-15とガンバ大阪ジュニアユースの“大阪ダービー”によって中学年代日本一の座が争われることとなった。

 まさにライバル対決だが、中学1年生から繰り返してきた“ダービー”の内容で言えば、C大阪が常に優位を占めるという学年だった。G大阪のGK谷晃生が「1年のときに5点取られて負けたのを覚えている」と言えば、MF奥野耕平も「(C大阪は)黄金世代と言われていて、俺らは最弱世代と言われてきた」と振り返る。だからこそ、「絶対に負けたくない」(DF河井哲太)という気持ちで試合に入っていった。

 対するC大阪にとっても当然、G大阪は強く意識する相手だ。準決勝終了後、MF鈴木冬一は「大阪ダービー」について熱弁を振るってくれた。単にクラブ同士の因縁があるというだけではない。相手のGK谷はU-15日本代表での僚友だが、「小学校5年からの付き合い」というライバルでもある。家に遊びに行ったこともあるという仲だけに、「絶対にアイツから点を取りたい」と意気込み、谷は谷で「(鈴木)冬一には決めさせない」と意気込む。15歳のライバル意識がぶつかり合う、そういう試合になるのは必然だった。

 試合は序盤からC大阪がG大阪を圧倒する、GK谷が目立つ展開となっていく。G大阪は全体に気持ちの強さが空回りした感もあり、18分に鈴木が事前の宣言通りにドリブルシュートでゴールネットを揺らすと、やや冷静さを欠いてミスが増える悪循環となった。39分にはCKから追加点も許し、勝負は決まってしまったかにも見えた。

 だが、ハーフタイムに鴨川幸司監督から「顔を上げてやろうや。3年間やってきたことを出し切るしかないやろ」と諭されたG大阪の選手たちはもう一度前を向く。戦う姿勢に加えて、相手のアンカーからの配球を消しながら守る冷静さと、C大阪自慢のプレスを回避して相手のDFを押し下げるための裏への飛びだしが増えて、主導権を握り返す。44分にMF足立翼がクロスをニアサイドからループボレーシュートで決める離れ業でのゴールが生まれて1点差とすると、試合は完全にG大阪ペースに。そしてアディショナルタイム、スルーパスからの中央突破での波状攻撃で、MF食野壮磨がついに同点ゴールを奪い取った。

 C大阪にとっては屈辱的展開である。「本当に悔しかったし、みんな下を向いてしまった」とMF喜田陽は唇を噛む。ただ、このチームには折れない心理的な強さと、スタミナという地力があった。延長突入前、「ここに来られなかった4人の3年生のことを思い出そう」と声を掛け合って顔を上げると、延長戦は再び主導権を握り返す。走力重視の指導で、「ホントにキツい練習だったけれど、走っておいて良かった」(鈴木)と、連戦であることを感じさせない運動量で盛り返すと、92分に鈴木のパスからMF奥村仁が決勝点。3-2でG大阪を破ったC大阪が、初優勝を決めた。

 ただ、彼らの戦いはこの勝利と敗北によって終わるわけではない。「1年のころは大人と子供くらいの差があった」(鴨川監督)G大阪が、ここまで競れるチームになったことはメンタル面を含めた成長以外の何物でもない。同時に「(C大阪が)トロフィー掲げている光景を目に焼き付けておいて、ユースでは絶対に倍返しする」(谷)という新たな誓いを立てさせることになった。

 C大阪にしても、後半のゲーム展開を思えば「課題がたくさん見つかって、すぐに練習へ落としこみたい」(大畑開監督)というのも確か。競い合うライバルがいて成長があるわけで、彼らの物語はここからが本番。ユースに進む選手もいれば、高校サッカーに進む選手もいるが、次なるステージでも彼らは良きライバルとなっていくはず。そうした関係性の継続によって、才能が育っていくことを強く願っている。

文・写真=川端暁彦

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