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市船のキャプテンCBは5番じゃないの? 藤井拓が目指すオリジナル

2014.04.17

市立船橋・藤井拓【写真】=安藤隆人

 本連載の著者である安藤隆人氏は、元銀行員という異色の経歴を持つサッカージャーナリスト。今では、高校サッカーを中心に日本列島、世界各国を放浪し精力的な取材を行っている。巷ではユース教授と呼ばれる。本連載では安藤氏の“アンダー世代”のコラムをお届けする。

文=安藤隆人

 今季、高円宮杯U-18プレミアリーグ初参戦となった市立船橋。開幕戦はJFAアカデミーに0-0の引き分け。続く第2節は東京Vユースに逆転負け。まだ勝ち星を挙げられていないが、決して実力が劣っているわけではない。きっかけを掴めば、一気に波に乗っていけそうな雰囲気は持っている。

 今年の市立船橋を束ねるのは、DF藤井拓。昨年は同学年の打越大樹と、ダブルボランチで組んでインターハイ優勝とプレミア昇格に大きく貢献した。今年はキャプテンを任され、ポジションはCBに下がり、今年の基本フォーメーションである3-4-2-1の3バックの真ん中を任されている。

「いかに全体のバランスをとれるか。相手や試合状況をしっかりと見て、ポジショニングやラインコントロールなどを自分がしっかりとやれればいいと思っています」

 背番号は10。市船において、キャプテンでCBと言えば、増嶋竜也(柏)、渡辺広大(仙台)、昨年の磐瀬剛(京都)など偉大な先輩たちが背負ってきた5番が定番であった。

「僕も最初は5番だと思っていた。でも、朝岡(隆蔵)監督にいきなり『10番だ』と言われて。でも、背番号に特にこだわりはありません」。

 こう話す藤井は、しっかりと自己分析が出来るタイプの選手である。

「僕には(磐瀬)剛さんのような強さはないし、歴代の先輩たちのようにうまい選手でもないです。圧倒的な能力がないのは確かですが、僕は声を出したり、試合の流れを感じることは得意だと思っています。危機察知能力を生かして、カバーや守備をして、試合中のチームの話し合いの中心になっていきたいと思っています」

 試合中の藤井をみると、常に味方とコミュニケーションをとっている。時には冷静に、、時には激しい檄を飛ばしながら、チームをまとめていた。ポジショニングとコース取りがうまく、相手の攻撃のスペースを巧みに消しながら、機を見た鋭い縦パスで、攻撃の起点にもなっていた。

 チームの結果こそついてきてはいないが、初戦は完封、第二戦は残り5分までリードを奪っており、紙一重の差で、勝ち星を掴めていないに過ぎない。

「変にネガティブになっても仕方がない。自分たちのやることに変わりはないので、それを信じて、自分たちが出来ることを着実にやっていきたい」

 自分の役割、存在価値をしっかりと理解した頼もしきキャプテン。藤井がチームをコントロールし、まずは第3節・青森山田戦で初勝利を狙う。

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