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“ゼロトップ”をこなす期待株 長崎総科大附の安藤翼

2014.01.24

長崎総科大附の安藤翼 [写真]=川端暁彦

文=川端暁彦
 新シーズンに向けて期待の高校生プレーヤーを取り上げていく企画の第3弾は、九州は長崎の期待株を紹介したい。かつて島原商、国見で全国を席捲した小嶺忠敏氏が総監督を務める長崎総科大附のナンバー10。安藤翼だ。

 92回目の高校サッカー選手権。それを制したのは富山第一だった。そんな優勝校と1回戦でぶつかり、惜しくも散っていったのが長崎総科大附である。しかも試合のペースを握っていたのは、むしろ長崎総科大附のほうだった。3トップの中央に位置する安藤は、いわゆる“ゼロトップ”として機能。巧みにポジションを中盤に落として起点となり、その安藤が抜けた中央のスペースに両サイドのFWが斜めに入り込んでくる攻めは迫力満点。一時は富山第一守備陣を壊乱状態にし、退場者まで強いることになった。

 だが、「数多くチャンスがありながら決め切れなくて、セットプレーから3点も取られてしまった」(安藤)チームは反撃空しく、2-3で惜敗。「ここを勝っていれば、あるいは……」というポテンシャルを感じさせるチームだったが、彼らの挑戦はわずか1試合で終わってしまった。

 安藤は昨年に続く出場となった今大会について「(前回大会は)先輩たちに引っ張ってもらっていた。今年は自分が中心になってやるぞと思っていたのに、自分が仕事をし切れずに終わってしまった」と肩を落とした。「もっと前を向いて(ボールを)受けなければいけなかったし、持ったときに失わないだけじゃなく、個人で打開していけないとダメ。ボールの受け方、体の向きとか、もっとこだわらないといけなかった」と、自身のプレーを酷評する。

 ただ、第三者として試合を観ていた記者として思わず「いや、そんなに悪いプレーじゃなかったぞ」と言ってしまったほど、悪いプレーだったわけではない。むしろ技術的な質の高さは確かに見て取れたし、狙いのあるプレーが目立っていた。

 新シーズンに向けて、長崎の10番は「この1年でシュートの質は上がったと思っていたのに、ほとんど打てていなかった。全国レベルの相手にどう外して打っていくか、もっとこだわっていきたい。プロに行きたいと思ってはいますが、今の実力では無理。攻撃の起点はもちろん、自分で打開することと毎試合2得点を目指します」と宣言する。ちょっとネガティブな自己評価も、目指すラインが高いからこそ出てきた言葉。自信がないから出てしまう弱い言葉ではなく、自信があるからこそ出てくる強い言葉だ。悔しさを糧にした“大化け”を期待したい。

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