2014.11.10

サッカー界における脳震とう発症時の取り組みとは?

クルトワ
アーセナル戦でアレクシス(左)と激突し、脳震とうで交代となったクルトワ(右2番目) [写真]=Getty Images

 8日に中国で開催されたフィギュアスケート・グランプリシリーズの男子フリー最終組。競技直前の6分間練習で羽生結弦選手が中国のエン・カン選手と衝突し、リンクに顔面を打ち付けて流血したものの、競技を続行し、滑り切って2位に入った。

 精神力を称える意見がある一方で、足元がふらつき、脳震とうが疑われる状況で競技を続行したことに対して、身体の危険があるため、止めさせるべきだったとの意見も相次いでいる。

 脳震とうは脳が急に激しく揺れることによって発症し、記憶障害等が出るケースもある。また、時間が経ってから深刻な症状が出る可能性もある。試合中に激しい競り合いなどが見られるサッカー界での取り組みはどうなっているのだろうか。

 日本サッカー協会はJリーグにおける脳震とうに対する指針を提示している。「ピッチ上で頭部外傷を被った可能性がある選手への対応」として、「簡易的な脳震とう診断ツールで脳震とうが疑われれば、試合・練習から退くべきである。短時間のうちに回復したとしても、試合復帰は避けるべきである」と、たとえ選手の意識がはっきりしても、続行は避けるべきと示している。

 また、24時間以内の行動についても、単独での生活は避け、異変を少しでも感じた場合は即座に病院を受診するように指導すると定めている。さらに試合復帰については、診断ステージを設け、発症後に少なくとも24時間の休息をとるステージ1から、試合復帰となるステージ6までが決まっている。各ステージの診断には最低1日を費やすことになるため、最低でも1週間は試合に出場できない。

 イングランド・プレミアリーグでは今シーズンから脳震とうに対する規定を改め、頭部外傷を負った選手は必ずピッチから出て、ドクターの診断を受けなければならない。また、ドクターが試合続行不可能と判断した場合は、監督やコーチの意見に関わらず、交代することを決定できる。10月にはチェルシー所属のベルギー代表GKティボー・クルトワがチームドクターの判断で途中交代している。また、その危険性の認識を深めるための取り組みを行っていくとしている。

 FIFA(国際サッカー連盟)も、試合中に脳震とうの症状が見られる選手が出た場合、3分間の試合中断をすることが可能になるよう新基準を提案した。

 今夏に開催されたブラジル・ワールドカップでは、決勝戦でドイツ代表MFクリストフ・クラマーが脳震とうにより、記憶を失った状態でプレー。昨シーズンのプレミアリーグでは、トッテナム所属のフランス代表GKウーゴ・ロリスがエヴァートン戦で同様の症状を発症しながら試合を続行し、クラブの判断を非難する声も挙がった。

 今シーズンは日本代表MF香川真司がマンチェスター・U在籍時の8月26日、日本代表メンバー発表直前の試合で、試合中の競り合いから脳震とうとなり途中交代。招集を見送られた。また、10月10日の日本代表対ジャマイカ代表でも同じく、試合中に脳震とうを起こして代表から離脱となり、1カ月半で2度の発症となったため、心配する声が多く聞かれた。

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