2018.06.09

【インタビュー】宮本恒靖「積み重ねを生かせてこそ勝利につなげていける」【後編】

[写真]=コラソン齊藤友也
朝日新聞記者を経てブラジルに移住。南米で600試合を取材し、現在はガンバ大阪を追いかける。

 日本代表として2002年の日韓大会、2006年のドイツ大会と2度のワールドカップ出場経験を持つ宮本恒靖氏。選ばれし者だけが出場できる4年に1度の“サッカーの祭典”は自身のキャリアにどのような影響を与えたのか。

 インタビュー後編では主将として臨んだドイツ大会、もう間もなく開幕するロシア大会の注目ポイントについて語ってもらった。

インタビュー・文=下薗昌記
写真=コラソン齊藤友也、Jリーグ

■多くの要素を問われるのがワールドカップ

宮本恒靖

[写真]=J.LEAGUE

――2006年のドイツ大会は日本代表に対する期待値が前回大会よりも大きい中で迎えました。
ドイツ大会に関してはメンバーも期待できましたし、ベスト16以上を目標にしていました。ただ、実際に開催地のドイツに行ってみると「本当のワールドカップってこういうものだな」と感じましたね。大会のレベルもそうですし、環境面もそうです。比較対象があって初めて分かることですが、「ワールドカップは簡単ではない」というのを感じた大会でした。ヨーロッパで開催される大会ですから、地の利があるヨーロッパ勢が強いですし、気候の違いもあります。第2戦のクロアチア戦にしても「こんなに彼らのホームのような雰囲気になるのか」と思いましたし、日韓大会との違いをすごく感じましたね。

――第3戦のブラジル戦は出場停止でした。不完全燃焼感もあったのではないですか?
個人的には大会に向けていい準備ができていましたが、第1戦のオーストラリア戦の84分以降がすべてかなと思っています。あそこで決まってしまったように思いますし、チームとしてもなかなか一体感を持って開幕戦を迎えられなかった。敗戦につながったことで、一体感のなさが顕著に出てしまったようにも思いました。

――ドイツ大会は悔しい結果に終わりましたが、最も印象に残っているシーンを教えてください。
オーストラリア戦で1対1に追いつかれた時の相手ベンチは印象に残っていますね。追いつかれた後、彼らのベンチを見た時に選手やスタッフみんなが出てきて抱き合っていたんです。2010年の南アフリカ大会で日本がカメルーンから点を取った時と似たようなシーンでしたが、これを見た時にちょっと嫌な雰囲気というか、「やられそうだな」という予感もありました。僕自身としてはキャプテンとして何とかチームを勝たせる方向に持って行こうとしていたのですが。難しさを感じた大会でした。

――2度のワールドカップを経験して得た教訓はありますか?
サッカーの影響力というか、日本でサッカーというスポーツが一大ムーブメントになり、「これだけ人を熱狂させるのか」という部分は感じました。自分がメディアを通じて知られるようになったり、生活がガラッと変わるようなこともありました。プレー面では「どういうポジショニングを取れば上手くいくのか」という手応えを掴んだところもありますし、ワールドカップを経験しないと分からないこともありますね。やはりその国のサッカーの歴史があってその積み重ねを生かせてこそワールドカップでの勝利につなげていけると思います。そういう意味ではサッカー文化の成熟度、自国のリーグの競争力、選手の育成の成果など、すごく多くの要素を問われるのがワールドカップという大会です。いわゆる一般のファンの方がどれだけサッカーに対して熱狂しているか、知識があるかなどすべてが大事だなと。それはプレーヤーを離れてからも、2010年の南アフリカ大会を見て、2014年のブラジル大会でFIFAスタッフの一員として現地に行かせてもらっても感じるところです。

――現在はガンバ大阪U-23の監督を務めていますが、ワールドカップを経験した立場から若い選手にはどのようなことを伝えたいとお考えでしょうか?
一言では言い表せないほど多岐に渡りますが、例えばブラジル代表は「上手い」印象があると思います。ですが、ただ「上手い」だけじゃないんです。強い、速い、賢い、ずる賢さもあって、すべてが揃っています。それを上回るためには何をしなければならないのか。プレー面もそうですけど、サッカーIQを高める必要があります。彼らに追いつき追い越すためには何が足りないのかを考えた中で、いろいろな要素をプラスしていなかければなりません。メンタル面での準備ができているのか。1対1のせめぎ合いもそうですし、足りないものを若い選手が持っている良さに肉付けしていこうと思っています。たとえその選手がガンバでの活躍につながらなかったとしても、プロサッカー選手として生き残っていけるようにという部分は昨年からアプローチしています。もっと刺激することでさらに高いレベルに行けそうな選手もいますし、選手には常に高いレベルを要求しようと思っていますね。

■西野監督は選手の感覚を大事にしてくれる

宮本恒靖

[写真]=コラソン齊藤友也

――いよいよロシア大会が開幕します。今大会で注目されている国、選手を教えてください。
ブラジルは非常に完成度が高いと思いますし、ベルギーもそろそろ来るのかなと。そのベルギーではケヴィン・デ・ブライネがいいシーズンを送っていたので注目しています。エジプトのモハメド・サラーも気になりますが、やっぱりデ・ブライネですね。今、一番効果的なプレーをする選手だと思います。

――ワールドカップは戦術面で新たなトレンドが生まれる大会でもあります。指導者として注目されている点はありますか?
前回王者のドイツがどのようなアプローチで大会に臨んで来るのかは注目ですね。プレッシャーを受けながらもGKを含めたビルドアップから相手ゴールまでどれだけオートマチックにやれるのか。大会期間中に戦術やフォーメーションを変える点も興味深いですし、(ヨアヒム・)レーヴ監督やドイツサッカー連盟のチーム作りには興味があります。

――日本代表は4月に指揮官に就任した西野朗監督のもとロシア大会に臨みます。西野監督とは師弟関係に当たりますが、どのような存在ですか?
西野監督初年度の2002年は最初4バックでスタートして、J1開幕戦で柏レイソルに勝利したのですが、その後は調子が上がらずに1stステージ第5節で横浜F・マリノスに敗れました。新大阪に帰る新幹線の中、西野監督の横の席が空いていたので、そこに僕が座って「3バックの方がバランスよくやれるのではないかと選手の中で意見が出ている」という話をしました。今思うと、そんな話をよく聞いてくれたなと思うのですが(笑)。西野監督はそれを拒絶することもなく、「なるほどな」という感じで僕の話を聞いてくれて、次節のFC東京戦からは3バックで戦いました。するとプレッシングが上手くハマって5-0で快勝したんですよ。選手の考えや感じていることを尊重してくださる方でしたし、ピッチ上で起こっている問題に対して「誰を投入したらどうなるか」をすごく考えていましたね。西野さんはよく「化学反応」という言葉を使いますが、それを意識しながら選手をチョイスしているのはすごく感じました。1-0で勝っている状況でFWを投入して追加点を取りに行くというのは勉強になりましたし、指導者として生かしているところでもありますね。

――最後になりますが、恩師の一人でもある西野監督が率いる今大会の日本代表に期待することは何ですか?
先ほども言いましたが、西野監督は選手の感覚を大事にしてくれますし、「こういうことをやってほしい」という明確なものが融合すれば、選手たちにとってやりやすい形が生まれると思います。一緒にやってきた時間が長い選手たちなので、ギクシャクしたものはなくスムーズにやれると思いますよ。あとは第1戦のコロンビア戦をどう戦うかですね。早い時間帯に失点しない戦いができれば、大会の流れを作っていけると思います。

宮本恒靖(みやもと つねやす)
宮本恒靖

[写真]=コラソン齊藤友也

1977年2月7日生まれ。大阪府出身。ガンバ大阪ユースから1995年にトップ昇格。レッドブル・ザルツブルク(オーストリア)、ヴィッセル神戸でもプレーし、2011年に現役を引退。日本代表として71キャップを数え、2002年日韓大会、2006年のドイツ大会に出場した。2015年にG大阪に復帰し、ジュニアユース、ユース監督を経て、現在はトップチームのコーチ、J3を戦うG大阪U-23の監督を務める。


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