2018.05.30

これを読めばすべてわかる! セリエA 17-18シーズン「全クラブ通信簿」(1位~10位編)

セリエA
セリエA全クラブ通信簿1位〜10位編 [写真]=Getty Images

 序盤から好調なペースで勝ち点を挙げるナポリがカンピオナートを引っ張ったが、最後は王者ユヴェントスが自力の差をみせ、苦しみながらも前人未到のセリエA7連覇を達成した。知将マウリツィオ・サッリ監督の下、チーム一丸となって28シーズンぶりのスクデットに突き進んだナポリだが、勝ち点91を手にしながらマッシミリアーノ・アッレグリ監督が作り上げた“絶対王者”の強さに屈した。

 チャンピオンズリーグ(CL)争いでは、インテルが最終節でラツィオを下し、7シーズンぶりに出場権を獲得。来シーズンから出場チームが「4」となるUEFAの規約改正にも助けられた。一方、代表の主軸を担うDFレオナルド・ボヌッチを迎え入れて捲土重来を期したミランは、前半戦の躓きが響き、途中から指揮をとったジェンナーロ・ガットゥーゾ監督の奮闘むなしく、結局、6位に甘んじた。最終節で5チームが降格の可能性を残すというもつれた展開になった残留争いは、結局、クロトーネ、ヴェローナ、ベネヴェントが降格の憂き目をみた。得点王はラツィオのチーロ・インモービレとインテルのマウロ・イカルディが29得点でタイトルを分け合った。

 CLではローマがバルセロナを破る大健闘、ベスト4でもリヴァプールを相手に「あわや」という場面を作った。ユヴェントスはベスト8でレアル・マドリードに惜敗。ヨーロッパリーグ(EL)ではラツィオのベスト8がイタリア勢の最高位だった。また、第27節の直前、イタリア代表DFダヴィデ・アストーリが遠征先のホテルで急死するという不幸な事故もあった。

協力=小川光生(Mitsuo OGAWA)
   ジョヴァンニ・バッティスタ・オリヴェーロ(『ガッゼッタ・デッロ・スポルト』)
   Giovanni Battista OLIVERO
写真=ゲッティイメージズ

■1位:ユヴェントス 90点

ユヴェントス

 ナポリのインテンシブなサッカーに苦しめられながらも、最後は地力の差をみせつけ史上初のセリエA7連覇を達成、“老貴婦人”は、今シーズンもまたカルチョの王座を死守した。勝ち点95、総得点数85はいずれもアッレグリ政権になってから最高の数字。前を走るナポリの尻尾を第28節に捕まえると一気に逆転し、以後一度も首位の座を譲ることなく(直接対決では0-1で敗れたものの)V7という前人未到のレコードを打ち立てたのは見事の一語に尽きる。
 4バックを基調に守備を固めるアッレグリのサッカーを「面白くない」と揶揄する者もいる。しかし、あえて攻撃的なサッカーを仕掛けずともポイントを積み上げていける安定性こそがここ数年のユヴェントスの最大の強みである。今シーズンも鉄壁の守備は健在で12月1日から3月31日までの16試合、DF陣は相手にわずか2点しか許さなかった。MVPは、(異論もあると思うが)昨シーズンまでの盟友ボヌッチが抜けたディフェンスラインをシーズンを通じて統率しきったジョルジョ・キエッリーニか。
「ファンタスティック4(パウロ・ディバラゴンサロ・イグアインマリオ・マンジュキッチドウグラス・コスタ)」の中では、前半戦のディバラ、後半戦のD・コスタの活躍が秀逸だった。一方、黄金期を支えてきたGKジャンルイジ・ブッフォンが退団を決めるなど、世代交代の波は王者にも押し寄せている。ただ、フロントと現場が一体となった今の安定した体制が崩れない限り、“一強時代”はもうしばらく続くと思われる。

■2位:ナポリ 90点

ナポリ

 ナポリが89-90シーズン、マラドーナ時代以来のスクデットを獲得できなかったのは、彼らのせいではない。ただ単に“絶対王者”ユヴェントスが彼らをわずかに凌駕したからにすぎない。
 セリエAではユヴェントスと堂々と渡り合ったナポリだが、CLではグループリーグで、コッパ・イタリアではベスト8でそれぞれ早期敗退を喫した。セリエAの戦いに集中できたともいえるが、それが最後の最後に主力選手の息切れにつながったと指摘する声もある。頻繁なターンオーバーを組まずにある程度メンバーを固定して戦い続けた結果、終盤の大事な時期で、サッリ・サッカーのピッチ上の翻訳者ともいえるFWドリース・メルテンス、MFマレク・ハムシクらに疲れが出た感は否めなかった。FWアルカディウシュ・ミリク、DFファウジ・グラムのケガによる途中離脱も痛かったが、客観的にみれば、特に選手層の点で、王者ユヴェントスとの差はやはりあったと言わざるを得ないか。
 9カ月にわたるカンピオナートでは、悪い時期も複数回訪れる。そこでのダメージをいかに最小限にするか、問われるのがやはり選手層。ユヴェントスとのわずかな差が最後の最後で出てしまった感は否めない。しかし、前半戦から中盤戦にわたりカンピオナートをひっぱり、最後までユヴェントスを苦しめたという点で、今シーズンのナポリには王者同様の90点をあげるべきだろう。

■3位:ローマ 85点

ローマ

 選手の質、量とともに戦前は、ユヴェントスに次ぐ戦力を保持していると考えられていた。そう考えると、2位ナポリに大差をつけられての3位という結果は、決して誇れるものではないだろう。ただ、今シーズンからチームを指揮したエウゼビオ・ディ・フランチェスコ監督にチームを掌握するまでの多少の時間が必要だったことは考慮されるべきだろう。事実、彼はその後、任務を迅速に遂行し、ボール保持率が高く攻撃的なサッカーが体現できる素晴らしいチームを作り上げた。その最たる証拠が、ベスト4進出というCLでの快進撃であったろう。
 メルカートでの失敗もあった。獲得金がクラブ史上最高といわれたFWパトリック・シックは最後まで順応に苦しみ不発。彼の適応と覚醒は、このチームのさらなる躍進の重要なテーマとなる。すでにある程度の力を備えた若手をいかにベテランと組み合わせ強いチームを作るか、それがメルカートをしきるモンチGMのポリシーだ。DF陣、MF陣が安定しなかったことも痛かった。新加入のDFリック・カルスドルプの故障もマイナスだったが、すでに主軸であるMFケヴィン・ストロートマンとMFラジャ・ナインゴランの不振が響いた。FWエディン・ジェコのゴール、GKアリソンがたびたび見せたスーパーセーブ、そしてディ・フランチェスコの名采配がなければ、カンピオナート3位、CLベスト4という好結果はなかったであろう。

■4位:インテル 65点

インテル

 最終節でラツィオとの直接対決を辛くもモノにし、11-12シーズン以来のCL出場権を手にしたという点では合格点。ただ、序盤のロケットスタートを思い起こせば、「もう少しやれたのでは」という思いがどうしても残ってしまう。もっとも新監督のルチアーノ・スパッレッティの仕事が悪かったわけではない。夏にサンプドリアから獲得したDFミラン・シュクリニアルをすぐにチームに順応させ、ここ数年、居場所が定まらなかったMFマルセロ・ブロゾヴィッチを中盤の底に固定した(一方、MFラフィーニャ、DFジョアン・カンセロの期待の新加入組については起用法にやや疑問が残った)。
 滑り出しは好調だったが、冬場に入り突如失速、上位グループにまったくついていけなくなった。上位グループで彼らのみCL、ELなど国際大会の負担から自由であったにもかかわらずだ。29ゴールを挙げ自身2度目の得点王に輝いたFWマウロ・イカルディは、良い時と悪い時の差が激しく周囲からの信頼度は数字ほどではない。またチームとしての両サイドの仕事は、質量ともに決してハイレベルなものではなかった。ワールドカップの敗退ショックがあったのか、本来ならチームの牽引役となるべきMFアントニオ・カンドレーヴァの不振もスパッレッティ監督にとってはマイナス要因だった。
 最終戦でのラツィオの守備陣の崩壊のおかげ、というより4位までがCL出場権を獲得できるようになったUEFAの規約改正が、彼らを7シーズンぶりのCLへと導いたというところだろう。

■5位:ラツィオ 70点

ラツィオ

 今シーズンのラツィオは良いチームだった。ただ、なぜいつもいつも最後の最後で詰めを欠くのだろう。それもまた実力といってしまえば元も子もないが、今シーズンは彼らのそんな姿を何度も目にした。コッパ・イタリアではミランとの準決勝でPK戦の末に敗戦。ELでは、ベスト8のザルツブルク戦でわずか数分の間に3失点を喫し敗戦。そしてセリエAでは最終節でインテルに逆転され、ほぼ手中にしていたCLの切符を取り逃がした。
 足りなかったのは、やはりリードを守り抜くしたたかさと堅実さだっただろうか。もう少しいうならば、監督のシモーネ・インザーギを含め、決戦を制するための豊富な経験がまだ備わっていなかったというべきか。それでもインザーギの仕事ぶりはある程度評価されるべきだ。カンピオナートではアウェイでユヴェントスから勝利を奪うなど、シーズンの台風の目としてその躍進に注目が集まった。中央からもサイドからも有効な攻撃を仕掛けていける彼らのサッカーはスペクタクルに富んでいた。インテルのイカルディと並び得点王に輝いたインモービレ、ファンタジーとテクニックでファンを魅了したMFルイス・アルベルト、新加入組ではMFルーカス・レイヴァの動きの良さが目立った。
 一方でDFの要、ステファン・デ・フライの移籍がほぼ決定的となっている。来シーズン、インザーギ監督が引き続き指揮をとるならば、彼の後継者選びが最初の仕事となりそうだ。

■6位:ミラン 55点

ミラン

 夏の移籍市場での活発な動き、CL復帰という至上任務、ヴィンチェンツォ・モンテッラ監督のもと低調だったカンピオナート序盤戦、その後を受け継いだジェンナーロ・ガットゥーゾ監督のチームの(いい意味で)予想を裏切る躍進、コッパ・イタリア決勝進出(決勝はユヴェントスに大敗)、セリエA6位いう“微妙な結末”……。今シーズンのミランを正しく評価するためには、本当に多くのことを考慮しなくてはならない。
 もっともモンテッラ政権下での14試合のことを考えれば、ともあれEL出場権を確保できただけでヨシとみるべきだろう。「もう少しやれた」という関係者もいるが、決定力のあるFWが不在でGKジャンルイジ・ドンナルンマも安定感に欠け、徐々にチームに馴染んでいったとはいえ新加入のボヌッチも序盤は新チームへの適応に苦しんだ。そう考えると6位という数字は合格というべきだ。
 そんな中、FWパトリック・クトローネら若手FW陣の成長、MFルーカス・ビリア、MFフランク・ケシエらの(特に後半戦の)活躍など好材料も数多くあった。最終局面で突然失速したものの中盤の躍進の原動力となったFWスソ、移籍1年目ながらキャプテンとしてチームを引っ張ったボヌッチも及第点をあげたい。一方、低調だったFWニコラ・カリニッチ、FWアンドレ・シルヴァには、厳しいオフが待っているはずだ。

■7位:アタランタ 75点

アタランタ

 ジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督の「3-4-3」は今シーズンも機能した。高い位置でボールを奪いハイレベルのインテンシティによって最短距離で敵ゴールに迫る。クラブ記録を次々に塗り替えた2016-17シーズンの4位がフロックでなかったことを、アタランタは2シーズン連続EL出場権獲得(7位)という偉業をもって証明してみせた。
 昨夏、MFロベルト・ガリャルディーニ、ケシエ、DFアンドレア・コンティといった有望な若手を軒並み放出しながらも、彼らのサッカーのレベルが急落することはなかった。MFヨシップ・イリチッチの安定したパフォーマンス、MFブライアン・クリスタンテの成長、DFアンドレア・マジエッロ、DFマッティア・カルダラ、MFアレハンドロ・ゴメスの献身的なプレー……。要因はひとつではないが、やはり指揮官のサッカーがきちんとチームに根付いていることが2シーズン連続の好成績の最大の理由だろう。二桁ゴールを記録した選手が一人もいない中で、結果を残したことがその何よりの証拠。コッパ・イタリアでも4強に入るなど手を抜かず、そのことが最後、繰り上げでのEL出場につながった。謙虚でしたたかな戦い方こそ、昨今のアタランタの最大の武器などではないかと思う。

■8位:フィオレンティーナ 70点

フィオレンティーナ

 3月初旬、当時のチームのキャプテン、DFダヴィデ・アストーリが遠征先のホテルで心臓発作により急死。チーム内だけでなくクラブを取り巻くすべての環境に“激震”が走った。リーダーを失ったヴィオラはどうなってしまうのか? そんな不安の声が飛び交う中、選手たちは気丈だった。「勝ってダヴィデを喜ばせよう!」。それが終盤のチームの新しい目標となった。アストーリが亡くなるまで26試合の1試合平均の獲得ポイントが約1.35点だったのに対し、それ以降の平均は2点。監督のステファノ・ピオリをはじめチーム全員が一丸となり一つでも上の順位を目指した。
 結果は8位とUEFA主催試合の出場権は得られなかったが、最後の11試合の彼らの奮闘はイタリア中のファンの称賛を得た。14得点とキャリアハイを記録したFWジョバンニ・シメオネ、6点を挙げたFWフェデリコ・キエーザは、それぞれ偉大な父の名に恥じない選手に変貌を遂げ始めた。DFヘルマン・ペッセージャ、MFジョルダン・ヴェルトゥら新加入組も存在感を示した。心配なのはシメオネ、キエーザの今後の去就。複数のビッグクラブが興味を示しており、フィオレンティーナとしては最低どちらか一人でも残留させたいところ。

■9位:トリノ 55点

トリノ

 昨シーズン9位と一桁順位を記録し、今シーズンは「最低でもEL出場権獲得」という意気込みでシーズンに臨んだピエモンテの古豪であったが、結果は10位とウルバーノ・カイロ会長を満足させるものではなかった。昨シーズン、「4-3-3」を基調とする自身のサッカーを徐々にチームに根付かせつつあったシニシャ・ミハイロヴィッチ監督であったが、今シーズンは開幕から機能不全に陥り、ロッカールームでの混乱も続発。1月、コッパ・イタリアのユヴェントス戦後、監督解任が決まった。後任としてヴァルテル・マッツァーリが選ばれるが、事態が劇的に好転することはなく、グラナータ(チームカラーのえんじ色)は印象的な戦いをファンの脳裏に残さないまま彼らの17-18シーズンを終えた。
 昨シーズン26ゴールとブレイクし、今シーズンは主将に任命されたFWアンドレア・ベロッティだったが、故障にも悩まされゴールを二桁にのせるのがやっと。背番号10のMFアデム・リャイッチも後半やや調子を戻したものの、前半戦は「蚊帳の外」という感じだった。MVPは昨夏、リヨンからレンタルしたDFのニコラ・ヌクルか。守備先進国のイタリアでも自身の力が十分通用することを示した。またGKサルヴァトーレ・シリグ、DFロレンツォ・デ・シルヴェストリらDF陣はそこそこ健闘した。一方、期待外れだったのは中盤。特にMFアフリイェ・アクアーは好不調の波が大きく、ここ数年で最悪のシーズンを過ごしたといえる。

■10位:サンプドリア 70点

サンプドリア

 マルコ・ジャンパオロ監督に率いられた今シーズンのサンプドリアは2つの顔を持つチームだった。本拠地の“マラッシ”ではユヴェントス戦での勝利(第13節)も含め12勝、一方、アウェイでは11敗を喫するなど降格争いをしているクラブとほぼ同等の成績に終わった。
 ジャンパオロ監督はセリエAでも屈指の戦術家だが、決して消極的なサッカーを好むわけではなく、「4-3-1-2」を基調とする布陣で攻撃的なサッカーを繰り出してくる指揮官だ。ただ前のめりになる分、失点の確率も高い。このチームをさらなる高みへ導くためには、守備の齟齬を個人の能力でカバーできる複数のDFの存在が必要になるが、今シーズンのサンプドリアにはそれが十分に備わっていなかった。常にEL出場権をうかがう位置にいながら、最後の最後でそれを逃したは決して偶然ではなかったろう。
 来シーズンは、DF陣の再整備が課題となる。FWファビオ・クアリャレッラ、FWドゥバン・サパタの2トップは1年を通じよく機能した。中盤では、灯台役のMFルーカス・トレイラの奮闘が目立ったが、全体的には後半戦に疲れが見え始め、特に鬼門のアウェイでは苦しい試合が続いた。夏にサウサンプトンから鳴り物入りで移籍してきたMFガストン・ラミレスも、やや期待外れ感は否めなかった。

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