2017.12.21

【コラム】監督交代は時期尚早? 復調の兆しが見えないミラン、悪夢はいつまで続くのか

ガットゥーゾ
ガットゥーゾ新監督はミランを立て直すことができるだろうか [写真]=LightRocket via Getty Images
イタリア・ジャーナリスト協会会員。ミラノ在住。

 復調の兆しはまだ見えない。ヴィンチェンツォ・モンテッラ監督を解任し、ジェンナーロ・ガットゥーゾ新監督を迎えてからも、最下位ベネヴェントと引き分け、19位のヴェローナには0-3で敗れるというふがいなさだ。もちろんセリエAでは、上位チームが下位チームに取りこぼすことが珍しいわけではない。しかしながら、開幕前の期待度が高かっただけに、今のミランはサポーターたちを大いに失望させている。裏切られた分、その情熱は憎しみに変わっており、「出て行け 我慢の限界だ」という横断幕が掲げられるほどだ。

 イタリア紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』は、ヴェローナ対ミラン戦のマッチレポートに「ミラン 終わらない地獄」という見出しをつけた。

 過去の第17節終了時の成績を振り返ると、ミランの今シーズンが緊急事態であることがわかる。ミランは第二次世界大戦前の1930-31シーズンに8敗、1938-39シーズンに9敗、1941-42シーズンに8敗、そして戦後、セリエBに降格した1981-82シーズンに8敗している。今シーズンの7敗はそれらに次ぐ悪い成績だ。

 また、17節終了時で24失点というのは、マッシミリアーノ・アッレグリ監督時代の2013-14シーズンに記録した26失点に近いものがある。そしてこの2014年1月、クラブはアッレグリ監督を解任し、後任にクラレンス・セードルフ氏を抜擢した。アッレグリとモンテッラのキャリアに差はあったものの、経験値の低い若手監督に後を託したという部分では、セードルフと今回のガットゥーゾは同じパターンと言ってもよいのではないか。

 ミランの選手たちは立ち位置を失っている。もう説明するまででもないが、元イタリア代表のガットゥーゾ監督はミランで選手生活を長く過ごした。現役時代は名前のリーノにひっかけてリンギオ(Ringhio=イタリア語で犬のうなり声)という愛称で呼ばれ、闘志あふれるプレーでファンを魅了した。だが残念なことに、そのファイティング・スピリッツだけではチームの立て直しはできない。

 同新監督就任のニュースを聞いた時、瞬時に「無理だ」と感じた。新しい中国人オーナーはイタリアのサッカーをほとんど知らない人たちだ。これがインテルとの違いである。MLS(メジャーリーグサッカー)所属DCユナイテッドの代表者でもあるインテルのエリック・トヒル会長は、結果的には蘇寧電器オーナーにクラブ経営を託したが、少なくともスポーツビジネスの世界を知っていた。それがアメリカのサッカーだとしても、だ。

 イタリアサッカーに明るくないミランの中国人オーナーたちは、インテルでの経歴があるマルコ・ファッソーネCEO(最高経営責任者)とマッシミリアーノ・ミラベッリSD(スポーツディレクター)という、現場をよく知る“業界の人間”を迎えた。そして今シーズン開幕前には大型補強を敢行し、選手を大幅に入れ替えた。だが、成績は振るわず現時点で8位と、ヨーロッパリーグ出場権を得るのさえ難しくなってきた。

 セリエAでは例年、クリスマス後から新年にかけてインターバルがとられるが、今シーズンは12月30日が2017年最後の試合となり、2018年1月第1週のゲーム後に冬休みとなる。ミラン幹部は監督交代時期を誤ったのではないか。焦らずにもう少し、しっかりと人選すべきだったかもしれない。

文=赤星敬子

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