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【コラム】試合中に倒れたリヴォルノ選手「助かった可能性は6~7割」…4年後、救護チームに求刑

2016.12.24

25歳で亡くなったモロジーニには、各国で祈りが捧げられた。 [写真]=Getty Images

 イタリア・サッカー界に衝撃が走った2012年4月14日の悲しい出来事を覚えている方も多いのではないか。セリエB第14節ペスカーラ対リヴォルノの29分、リヴォルノMFピエルマリオ・モロジーニがピッチ上で倒れて病院に搬送されたが、還らぬ人となった。わずか25歳の若さだった。U-21イタリア代表経験もあり、ウディネーゼ、ボローニャ、ヴィチェンツァなどで選手としてプレーしていた。あれからもう4年8カ月の歳月が流れた。

 今月14日にペスカーラの裁判所で開かれた公判でラウラ・ダルカンジェロ裁判長は、救護チームにいた関係者ら3人に8カ月から1年の求刑を告げた。その理由は「適切な対応を施していれば、モロジーニの命が助かった確率は60~70%あった」というものだった。

 詳細は次の通りだ。「心臓の除細動法、除細動器を適切に使っていれば、高い確率で同選手の命は救われていた。確率にすると60~70%にあたる」とした。”除細動法”というのは、心室筋の細動を停止させ正常なリズムを回復するための薬剤、電動ショックなど、また除細動器のことだという。モロジーニは不整脈に見舞われた。しかし、事が起こってから最初の3分間でAEDなどで適切な処置をしていれば、生き延びたのではないかというのだ。

 筆者が覚えているのは当時のメディアなどで報道された以下の事柄だ。救急車がグランドに入るまでにかなりの時間を要した。もちろんスタジアムに救急スタッフはいた。しかし、モロジーニの容態が緊急を用するとすぐに判断された。ただスタジアムの緊急車両の通路となっている、本来なら開けておかなければならないスペースが違法駐車によってふさがれており、救急車がグランドにはいるまで時間がかかった。この状況下、当時ペスカーラでプレーしていたマルコ・ヴェラッティ(現パリ・サンジェルマン)が、担架の一部を持って走っていたことをよく覚えている。

 どれだけ医療スタッフの責任を問うても、モロジーニが還ってくるわけではない。だからこそ関係者は万が一、最悪の事態に備えて常日頃から緊急の場合の管理体制を整えておかなければならないのでないか。それが次の惨事を防ぐ唯一の方法だと思う。改めて故モロジーニ選手の冥福を祈りたい。

文=赤星敬子

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